ウォルト・ディズニー・ワールドには素直に感動した。
ウォルト・ディズニーという一人の男の熱く暖かい夢の結晶であり、人々に幸せを与え続けている。奇しくもアメリカの独立記念日であったため、ディズニー流の7月4日の祝福も楽しむことができた。
夢を持つだけではなく、人に夢を与えることの崇高さ、正しさを深く感じた。単純にキャラクターと会うのを楽しみ、ライドに乗る以上に感じ入ることが多かった。
Walt Disney World
4つのテーマパーク(Magic Kingdom, Epcot, Animal Kingdom, & Disney Hollywood Studios)を中心とした、オーランドの一大リゾート
WDWは、ありとあらゆるものがディズニーであり、大人も子供も楽しめる。
ちょうどMagic Extra Hoursというのをやっていて、直営リゾート宿泊者であれば、毎日どれかのパークに開園1時間前から入場でき、閉演3時間後まで残れた。お陰で、
nyuさんのDream fastpass*1のような幸運が無かったにも拘らず、最新のトイ・ストーリーのライドを含めて主要なアトラクションは全て回れた。
One Man's Dream
回っていて非常に感銘を受けたのが、
Kazさんも訪れた"
One Man's Dream"という、ウォルト・ディズニーの一生を紹介するパビリオンだった。
人々を楽しませる優れたアニメを作り続けたウォルトが、ミッキーマウスを生み出し、さらには夢の世界を現実化させるために、ディズニーランドとディズニーワールドを自ら作り上げた。夢を与えるだけではなく、自然への畏敬や科学技術への期待といった、ウォルトの信条を楽しみながら伝えるという教育的意味も持たされていた。単純なキャラクタービジネスに収まらない、スケールの大きな夢を実現したのだ。
だがそのウォルトの天才的な夢の追求には、堅実な事業家たる兄のロイ・ディズニーの支えがあった。二人の関係は日本で言えば、ソニーの井深大と盛田昭夫や、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫のようなものだろう。ロイが資金調達など底支えをして、ウォルトの発想を自由にし、そしてまたその発想をビジネスとして成立させた。ロイが手助けする前、ウォルトは騙されてミッキー前の主要キャラクターの権利を失っている。兄弟の温かい愛情と信頼に育まれてこその、この夢の世界なのだ。
ウォルトはWDWの完成直前に世を去った。WDWの落成式で、ロイがディズニー・ワールドを"ウォルト・"ディズニー・ワールドと命名すると宣言したのは、最後まで兄弟で支えあった愛情が伝わって感動的だった。クライアントの事業を裏で支えるコンサルタントという仕事柄か、このロイに対しても非常に尊敬の念を持つ。
地味で来場者も少ないアトラクションではあるが、最も印象深いものの一つとなった。
Fantasia
最もよく観たディズニー映画は何かと聞かれれば、間違いなく『
ファンタジア』(1940年)だ。幼い時と言うよりは、ある程度長じてから観たのだが(日本でのビデオ発売は1991年)、音楽と映像が美しく楽しく融合していて、忽ち見入ってしまった。あまり何度も観たため、『田園』などは指揮者の
レオポルド・ストコフスキー編曲のものの方が自然に感じられてしまったほどだ。
以前紹介した『ダニー・ケイとニューヨーク・フィルの夕べ』と並んで、私のクラシックへの興味をおおいに増幅させた映画だ。
残念ながら東京ディズニーランドでは、『魔法使いの弟子』のミッキー
*2はあまり見かけないのだが、WDW、特にHollywood Studiosではあちこちで見かけることができる。何しろパークの中央に巨大な魔法使いの帽子が鎮座しているのだ。特に
"The Magic of Disney Animation"では、魔法使いの弟子姿のミッキーに会えるし、ファンタジアでストコフスキーとミッキーが握手するシーンのブロンズ像があり、ファンとして嬉しかった。
Independence Day
7月4日の独立記念日は、アメリカで最も重要な祭日だ。あらゆる都市で花火を打ち上げて祝い、ボストンではボストン・ポップスが演奏をしていたそうだ。WDWは毎日花火やショーを各パークで行うが、独立記念日は特別バージョンだった。
3日の夜はMagic Kingdomで独立記念日を祝う花火ショーがあった。今年は連休であるため、ゲスト数も一気に増え、パークは溢れんばかり。9時に始まると、様々なアメリカの歌が流れ、音楽に合わせて花火が次々と上がる。色は青、赤、白が中心だ。
最後には『星条旗よ永遠なれ』のメロディーに合わせて、360度ぐるりと巨大な花火が盛大に打ちあがり、真昼のような明るさと爆音とで大興奮のうちに締めくくった。日本の花火大会でも数発しか見られないような大玉が、惜しみなく打ちあがるスケールの大きさに、ただただ驚き感動するばかり。
この日は明け方の4時まで営業しており、皆心行くまで独立記念日を祝うようだった。シンデレラ城も、いつもと違う装いで祝っていた。
4日の独立記念日当日は、タラハシーに居る妻の友人を訪ねた為に、エプコットやHollywood Studioの独立記念ショー(これも通常のものと異なるらしい)は見られなかったが、いつか機会があれば是非見てみたいものだ。
人々に夢を与える、というのは素晴らしいことであり、一生の仕事とするのにも価値があるだろう。
文化があるからこそ人は豊かに生きられ、笑いや感動があるからこそ人は生きる気力があるのだろう。One Man's Dreamやファンタジア、そしてこの花火を見るにつけ、そう強く思う。
*1 来場者にランダムで稀に配られる、全てのファーストパスが付いているパス。他にも、$500の商品券やシンデレラ城のスイート一泊といったサプライズギフトが存在するらしい。我が家とは縁がなかった
*2 ちなみに、ファンタジアにおいてミッキーの造形が一新され、目玉が入ったそうだ