人気ブログランキング | 話題のタグを見る

MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
Columbia University Commencement
Columbia University Commencement_c0131701_657229.jpg妻が卒業した。コロンビアのロースクール(LLM)は一年のプログラムであるため、もう修了である。卒業式は二日間に亘り、今日はコロンビア大学全体の卒業式(Commencement: 始まりの意)だった。暑いくらいに晴れ渡った空の下、コロンビアの水色が清々しく映えた。


University
威風堂々第一番が流れる中、コロンビアの象徴・法学部図書館のドームの前に学部ごとに入場してきた。コロンビアはUniversityというだけあり、理系では医学や工学、文系は法学、国際関係学からジャーナリズムまで幅広く備えている。

Columbia University Commencement_c0131701_6551654.jpg学部ごとに特色を出そうとしており、歯学部は超巨大な歯ブラシを掲げ、工学部は風船で作ったハンマー、法学部はゴムの法槌(写真参照)、国際関係学部は各国の国旗、教育学部は生の林檎(教師の象徴)、ジャーナリズムは新聞の切れ端で作った旗を手に持っていた。

名誉教授や各表彰の受賞、総長挨拶に続いて、学部ごとに修了の承認が行われた。面白いのは、各学部長が簡単なスピーチの後に
「ここにいるXX学部の2008年度ファカルティー候補達は、用意されたカリキュラムを学び上げ、社会に貢献する準備ができました。総長、彼らに学位を許可して頂くことを望みます」
といった旨のことを総長に述べることだ。自ら認めた学生を、総長と交渉して学位を獲得する様子は、人民の代表たる代議員が大統領と交渉して権利を得るという、民主主義の縮図のようであった。

また、卒業生ではなくファカルティー候補と呼んでいるのも面白く、卒業はコロンビアというコミュニティーの正式な一員になることを意味している。まさにCommencement=始まりである。

医学部は上記のやりとりの後、有名な「ヒポクラテスの誓い」を斉唱した。噂には聞いていたが、医学への情熱と真摯な誓いが伝わり、感動的だった。
理系しかない(故にUniversityではなくInstituteの)MITとは異なる幅広さが、歴史の重みと共にコロンビアらしさを体現していた。

Make your University
そして総長の演説がまたよかった。特に印象的だった一節は
「今日この大学の門から外へ出ることは、学びの終わりを意味するのではない。社会の中で自ら学ぶことが始まることを意味するのだ。広く興味を持ち、学び続けて欲しい。書物は学ぶ一つの手段だが、仕事や友人など様々な経験から学ぶことができる。
一人一人が自分のカリキュラムを作り、知識を綜合し、自分自身の大学を作って欲しい(make your University)」
Columbia University Commencement_c0131701_7132885.jpgこの言葉は、まさに私が理系からビジネスへ転進し、今MBAに来ている動機と目的である。幅広い教養と知識を身につけたいからこそ、今までに学ばなかったことを次々と学ぼうとしている。それが自分という煉瓦を積み上げている感覚で、非常に楽しい。そうか、これはmake my Universityだったのか、と気づかせてくれるメッセージだった(私宛ではないのだが)

卒業
そうして一通りの訓示と「交渉」が終わると、総長がおもむろに学位授与を許可し、卒業が決まった。歓声が沸き起こり、帽子が投げられた。ゲスト席ではお互いに「おめでとうございます」と言い合い、皆が喜び合う最良の一日となった。


Columbia University Commencement_c0131701_7125111.jpg余談: ガウンと帽子
欧米の卒業式といえば、ガウンと角帽である。もとは暖房のない講堂で寒さをしのぐために配布されたそうだ。ガウンはスクールカラーで染められ、コロンビアは水色、イェールは黒、ハーバードは臙脂色である。教授になっても出身校のガウンを着るため、意外とイェール閥が強いな、などと見て取れる。そして、学位に対する敬意がそのまま衣裳に表れる。

ガウンは学部生と大学院生で豪華さが大きく異なり、学部生は短い袖で襟もなく、割烹着のようでいささか格好悪い。これが院生となると袖は校章入りの黒いベルベット、そして各学部の色で区別される襟を巻く。例えば法学部は紫、教育学部は青、といった具合だ。

Columbia University Commencement_c0131701_73950.jpgちなみに、介護犬には専用のガウンもあるらしい。

帽子もしっかり区別され、学部生は水色の帽子だが、院生は黒いベルベットに金の房がついた美しい帽子だ。ここまで違うと見栄えが全く異なる。

来年は自分がガウンを着ることになる。楽しみでもあるが、残り一年と思うと寂しくもある。
ともあれ、一年間頑張った妻の卒業は喜ばしい。正に佳き日であった。
by flauto_sloan | 2008-05-21 06:43 | 家族
<< Columbia Law Sc... 春学期終了 >>