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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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世界を知る - マクロ経済学、グローバル・マーケット
今学期に履修している「マクロ経済学」と「グローバル・マーケット」では、様々な国のケース・スタディを取り扱っていて面白い。特にアフリカ諸国はこれまで浅学にして知らなかったことが多いので、様々な驚きと共に、色々と考えさせられる。これまで取り上げた国の例としては…

  • ダイヤモンドの供給制御で世界トップクラスの高成長を遂げ、アフリカの大成功例とされながら、HIVの蔓延で国力が削がれ、いまや2020年までに労働力人口が4割減ると目されているボツワナ

  • 銅資源に恵まれ高成長を遂げながら、銅価格の乱高下と周辺国の紛争による輸出コストの増大で失速し、IMFの処方箋も政権交代も効果を挙げられず苦しむザンビア

  • 小国ながら地の利を活かし、リー・クワン・ユーのリーダーシップの下で直接投資を呼び込み驚異的な成長を遂げ、生産性の低さを指摘(成長が資本蓄積のみに拠るとの指摘)されると、直ちに知識産業の育成に舵を切る柔軟さを持つシンガポール

  • 豊富な石油資源から得られる利潤を資に、少ない労働時間を補うべくサービスを国外から買い労働者を受け入れ、工業発展よりも教育(特にイスラム教育)への投資を重視する結果、ほとんど成長をしないサウジアラビア

  • 軍事政権の反動から過度な地方分権が施され、自動車産業を中心とした直接投資を各州が過剰に奪い合い、また度重なる債務整理で信用を失った結果、国全体では直接投資の利益を逸失していたブラジル
これらの国のことを知りながら、マクロ経済のフレームワークやツールを学び、またビジネスへの意味合いを考える。無論、書物と二次経験でしか情報を得ていないので、まだまだ世界の片鱗を齧っている程度だが、それでも視野が広がるのが楽しい。

先進国で、しかも大企業相手のコンサルティングをしていると、ともすればビジネス(特に金融や情報産業)はグローバル化、或いはボーダーレス化が進む、という進化の先端にばかり目をやってしまう。確かに経済活動の規模や成長性で考えると、それは正しい注意の向け方だろう。

しかしまだまだ多くの国では、資源や労働集約的な産業(非サービス産業)に頼った経済であり、地政学的な視点が重要だ。マラッカ海峡の門番たるシンガポールの発展と、内陸であるがために周辺国の紛争で銅輸出が滞ったザンビアの失速を見て強く感じる。

ではそのビジネスへの意味合いは何だろうか。まだ勉強が始まったばかりなので、答えを性急に求めはしないが、様々な国から集まったクラスメート(これらの授業は途上国出身の履修者が多い)、それに日本が誇る商社マンの同期達に色々と話を聞き、見識を広めていきたい。
by flauto_sloan | 2008-02-19 23:17 | MITでの学び(MBA)
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