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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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Tangible Bits - 石井裕教授講演会
以前紹介した、JaRANでの石井裕教授の講演会が大好評だったため、hajime始め有志が石井教授の講演会を企画していたので、参加した。さらに講演会に先立ち、メディアラボの石井研究室を訪問し、様々な研究成果に「触って」体験した。

メディアラボ石井研究室見学
Tangible Bits - 石井裕教授講演会_c0131701_19383178.jpg研究室は、"ambient orb" (石井研究室の発明を市販したもの) を始め、いわゆる工学系研究室とは思えない色彩感。知的生産およびコミュニケーションをタンジブル (可触的) に、創造的に行うための最先端の技術を体験でき、非常に面白い体験だった。

イノベーションの必要性があらゆる分野で叫ばれる中、知的生産を効率的かつ効果的に行う手段・メディアの重要性は増している。創造性を刺激し、アイディアの協奏・融合を促すための触媒たり得る面白さ、人間の心理や身体への刺激に溢れている。
あとは如何にこれらのコンセプトを、知的生産の場に持ち込めるかだろう。

講演会
続いて行われた講演会は、90名近い参加者という大盛況で、デザインスクール生、研究者、ビジネススクール生(同期も参加)など様々な人たちが集まった。前回の講演とも一部重なるが、卓見として以下のものがあった。

創造的な発見は、Vision < Application < Enabling Research という量と構造だが、存続する期間はそれぞれ、100年、10年、1年である。2200年までに名を残すには、Vision のレベルで革新的なものを創造しないといけない

スポンサーを集めるためには、100年のビジョンレベルで共感(resonance)してもらうことと、1年や10年レベルの実利の提供の両方が必要だ。このビジョンでの共感なしには、人は畢竟動いてくれない。

ビジョンを創造するには、何より「正しい問い」が必要である。その上でビジョンを創造するのは非常に苦しい営みだが、苦しさを情念(passion)に昇華できるような『変態』にならないといけない。

また、創造性を持つためには、あらゆる価値観を持ってくる(チームとして集める)だけでは意味がない。その価値観が個々人で混ざり合い、アイディアを徹底的に批判できる環境が重要である。一人が芸術家であり研究者でありビジネスマンである、そこに創造性の発露がある。いわば綜合芸術であり総合格闘技である。

最後に、感動を伝えることは難しい。感動するには、表現を解釈できるコンテクストが、受けて個々人に必要であるし、当然そのコンテクストは個人個人で異なる。従って誰にでも感動をもたらすことは難しいが、感動するためのレゾナンスを効果的に誘発することはでき得る。

感想
やはりメディアラボという世界の最先端をゆく技術と知の頂で、最前線を突き進む教授だけある、含蓄深い講演だった。なにより、力強い「哲学」があった。それは日本人だけに共感しやすく、説得力があった。
ビジネスにおいてビジョンを創ることが出来るか - それが自分への大きな問いとなった。
by flauto_sloan | 2008-02-03 19:20 | MITでの学び(非MBA)
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