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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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結婚と仕事
従妹の結婚式参加のために、単身で一時帰国。ボストンでは折りしもSloan日本人生の勉強会および新年会、Vogel 塾の懇親会、日本人研究者交流会とイベントが目白押しで予定されていたが、残念ながら全て参加できず。妹同然の従妹が最優先なので仕方ない。

人生を送る上で、結婚とは、家族とは何だろうか、というのを色々と考えさせられる帰国だった。自分の結婚、周りの人の結婚、それらの人生における意義。結婚という二文字に対する千差万別な解釈と実行形態。果て自分の結婚とは如何なるものであり、如何にしていきたいのか。

到着翌日は、昨年結婚された先輩と会い、お祝いを面と向かって申し上げた。この先輩とは、色々な意味で最も過酷で苛烈なプロジェクトを生き延び、戦友といえる。8ヶ月に亘る長期プロジェクト期間中、毎日のようにご飯を一緒に食べ、色々なことを話した(愚痴も多かったが)。

そんな先輩もついに結婚を、奇しくも私と同じ会場でされ、忙しいながらも楽しい家庭を築いているようで嬉しい。尤も、PEに勤める旦那さん(この方には入社前にかなりお世話になった)が、新婚旅行中もビーチで仕事をし続けていたというエピソードには驚いたが…


四方山話をしながら、結婚がキャリアに対してどう影響するのだろうかと考えた。

結婚せずに時間を目一杯使って精力的に様々な活動をする人もいるし、結婚してもあまり何も変わらず夜遅くまで仕事をしている人もいる。これらの人たちは、自分の志が高いがゆえに、結婚がトッププライオリティではないようにも見える。それだけの志を覚悟を持って生きている様は尊敬に値する。

一方、結婚することで、家族との生活を含め自分の幸福や生き甲斐を高めることに、人生の目的を括り直す人も多い。そう括り直すと、現在の仕事への姿勢だけではなく、将来の自分の姿も変わりうる。

現在の仕事に対しては、家族との時間を作るために、仕事の質を落とさずに如何に効率的に進めるかを一層考えることになる。結果、必要以上にプロジェクトの範囲を広げすぎず、意思決定も早くかつムダを排除した結論を志向する。結果として報告書は厚くなくなるかもしれないが、質は落ちず、チームも健康的になる。結婚を機とした業務効率の見直しが上手くいくケースは、他の先輩でも散見される。効率化できるだけのスキルを既に身につけていた、というのが背景にはあるだろうが。

また将来の自分の姿も、こと共働きの場合は、範囲或いはリスク許容度を広げて考えられるように見える。苦労も喜びも分かち合えることで、新しいことにリスクをとって挑戦できる余裕が生まれるのではないか。独身者の「失うものが何もないから無茶できる」リスクのとり方ではなく、「自分のことを理解・信頼してくれる人がいるので、信念に挑戦できる」という余裕か。勿論これには配偶者の収入を当てにしている側面はあるだろう。それでもよいではないか、皆が皆、生まれついてのリスクテイカーではないのだから。

自分の結婚を振り返ると後者である。仕事と家庭の両立を志し、配偶者の存在で将来の視野が広がった。自分独りで世界を変えよう、という気概に欠けているからか、働きながら自分を育てた母親を見てきたからか。いずれにせよ、結婚で仕事への観点はさらに変わり、余裕を持って仕事をしよう、と考えるようになった。


その後は、妻の職場を訪問した。

妻の留学前の上司にご挨拶をするとともに、経理課に保険証を貰いに行った。丁度午前中に歯医者に行ったため、保険証が必要だったのだ。
(MITメディカルの歯医者に行ったところ、高い上に治療後むしろ歯が痛くなってしまい、信頼している行きつけの日本の歯医者に診てもらった。アメリカの歯医者については色々言いたいが、それは後日)
私は社費留学だが留学中は無給なので、妻の扶養家族となっている。だから保険証も妻のものなのだ。恐らく人生で二度とない(と信じたい)、この「扶養夫」の身分も、先程の「家族と仕事を併せた人生の目標設定」「将来へのリスク許容増大」に一役買っているのは間違いないだろう。意識するしないに拠らず。
by flauto_sloan | 2008-01-24 01:58 | 家族
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