MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
Web2.0
今日のランチタイムに、Boston Consulting Group のシニアディレクターのPhilip Evans氏が来て、Web2.0 に関する講演をしました。日本でも「ウェブ進化論」など様々な本が出版された、今後のビジネスおよびテクノロジーの最重要テーマの一つであり、楽しみにしていったところ、期待を裏切らないものでした。

Web2.0が騒がれ始めてから時を経て、様々な形態、ビジネスモデルのベンチャーが登場した結果、何が本質なのかという議論がだいぶ深まった感があります。

彼によれば、Web2.0は3つの要素が複合した結果生まれてきた領域で、その3つとは
1. 基礎となるテクノロジーの発展: 特に広帯域化とコネクティビティの進化
2. 自由度の高いアーキテクチャ: "small pieces loosely joined"
3. コミュニティの発達: 特にIP(知的所有権)の共有、賛辞によるモチベーション、Reputationの可視化による信頼の醸成

特に3.のコミュニティ化が面白く、これまでは売り手と買い手だけだった関係に、中間層が登場(というよりも顕在化)し、その中間層もコンテンツやコミュニティの発展への「貢献」に対し様々なレベルで関与しています。

BCGの分類では、貢献度の低いほうからその動機付けを consumption; fun/sense of community; skill building; reputation/advertisement; stand-alone product profits としています。
Linuxのハッカーに関する動機の調査では、reputation 21%, skill-building 21%, fun 25% だったそうです。

つまり、買い手だった人が売り手にもなり、あるいはその中間の貢献者にもなりうる。このゆるやかな遷移が生じる仕組みが、Web2.0である、とのことでした。

その仕組みに重要なのが、APIといったIPの共有やモジュール化と言った、いいアイディアがあればそれを簡単かつ低コストで実現することができるアーキテクチャの存在です。

例として出されていた、trulia という不動産仲介サービスは、全国の不動産屋に対して簡単に物件情報をアップロードできるようなAPIを利用し、さらにGoogle mapを組み合わせた結果、消費者が不動産に関する様々な情報および立地を、一括で検索・比較できるようにしたものです。
これなど、様々に公開されている技術を組み合わせて、アイディアを実現したものです。そのBCGの方が
「APIの組み合わせを表にして、まだ埋まっていないところを見つけてそれをビジネスにすれば、すぐにチャンスを掴んでMBAなんて取らなくてもよくなるよ(笑)」
と言っていたのが印象的でした。

他にもebayなどのreputationシステムなどに言及しましたが、最後に彼が挙げた例が非常に興味をそそりました。

INNOcentive という企業があり、製薬会社などの大企業が、自社のR&Dで解決できない課題を"Seeker"としてINNOcentiveに登録すると、"Solver"として登録している7000人超の科学者がそれらを見て、解決法を提供するというものです(もちろんその過程には秘密保持契約や、成功報酬がありますが)。
この仕組みによって、23%の課題が解決され、しかもSolverが解決にかけた時間は平均して80時間だそうです(大企業のR&Dが長い時間をかけて解けなかった問題をです)。その結果、ROI(投資対効果)は2000%という驚異的な数字を記録しています。
その中には、製薬会社の問題を固体物理の学者が解いた、というように、バックグラウンドの多様性が為せる結果だったものもあるそうです。

ここでのポイントは、Solverが勝手に問題を見つけて、解決するということです。様々なバックグラウンドの人が、色々な興味レベルで(上記のfunからreputationまで)問題を探して取り組み、解決をする生態系を作り出しています。その結果、自由な形でinnovationが起きているのです。


私がMITで学びたいテーマである、技術(およびそれを持つ科学者・技術者)をどのように流動化し、その技術を求めている企業や研究所とマッチングする「市場」を形成するのか、そこへの重要なポイントだと思いました。非常に興味深いテーマです。
[PR]
by flauto_sloan | 2007-09-25 14:00 | Guest Speakers
<< Indian Pelicans 飲み Japan C-function >>