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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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Government 2.0?
Government 2.0?_c0131701_5424911.jpgベストセラー『ウィキノミクス』の著者である Don Tapscott氏が、ケネディスクールのJFKフォーラムで講演をした。
タイトルは "Government 2.0" であり、Web 2.0へと進化したインターネットと、ネット世代の台頭が政治をどう変えていくかについての議論だった。自由な言論の場であるWebは、まさに民主主義と相性がよく、"Democracy 2.0" を模索するのが今後の政治のあり方だ、とタプスコット氏は訴えていた。

Government 2.0というからには、電子政府のようなWeb 1.0的なものではなく、「デジタル育ち」の若者が政治に参画し始めた現在と今後の政府の姿勢が問われている。この世代は物心ついたときからPCがあり、マルチタスクで作業ができ、様々なメディアを同時に駆使する。一方上の世代は、そんな彼らを理解できないがために気味悪さを感じつつも、無視できない趨勢と受け止めている。

そのデジタル育ち世代が牽引するWeb 2.0によって、組織のあり方は階層構造から個人主体の組織となり、社会的・経済的価値の源泉は物理的・金銭的なものから知識へと推移している。その結果、この世代での個人と社会との関わり方はマッシュアップやコラボレーションへと進化している。新たな政治参加の形態もそれに沿ったものとなる。

すると政府のあり方も "g-web" へと進化せねばならない。「アイディアのマーケットプレイス」となった政府のウェブ上で有権者が自由に議論を行い、直接的に国政へ参加していく "democracy 2.0" がこれからの姿だ。そこでは政府の透明性が増し、有権者の当事者意識は高まり、集合知によってより優れた政策が生まれる可能性がある。

もちろん信頼性やプライバシーといった課題はあるが、国民を動かし、より民意に沿った優れた国政を行える可能性のある government 2.0、または g-web は積極的に検討すべきだ。

まさにWeb 2.0が大きな趨勢となり、民主主義の総本山であるアメリカらしい発想だ。ただまだ民主主義が十分根付いていない(ように見える)日本では、仮にこの "g-web" を取り入れても、不満の捌け口と新たな陳情の場となるのが関の山だろう。

現在 "Web 3.0" という、ネットの将来のあり方と、ビジネスおよび社会がどう変化していくかを議論する授業を履修している。日本においてはまだ Web 2.0がアメリカほど興隆していないが、日本はこの民主主義的な web 2.0をどう包摂し、社会を変えていくのだろうか。アメリカの「デジタル育ち」ではない世代が web 2.0をどう受け入れるのかとともに、非常に興味がある。
by flauto_sloan | 2009-02-24 23:35 | Guest Speakers
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