MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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価値観が変わる苦しみ
Vogel塾や友人との議論、様々な講演会、授業を通じて、この一年間で視点や価値観が大きく変わった。だがそれ故の苦しみに最近は悩まされている。

ボストンに来て間違いなく、世界規模での課題が何で、それについてどう考えるのかについて視野は広がった。が、所詮殆ど真剣に考えたことがなかったところからの一年間の学びであり、まだまだ何も知っていないということを日々学んでいる。マクロ経済、政治、貧困、腐敗、人権、紛争、環境問題と、複雑に絡み合う問題が何故生じ、何故解決できていないのか。何ができうるのか。残り一年、さらに学びを深め、自分にできることとできないことを見極めたい。

そうして世界を少しずつ知る中で日本を考えると、日本にいた時に比べて批判的に評価ができるようになった。ビジネススクールでの日本の取り上げ方は、経済規模に比べ小さく、正鵠を射ていないこともある。何故そういう扱いなのだろう。経済が構造的にがんじがらめになって成長できないでいる15年で、世界が日本に政治・経済でのリーダーシップを期待しなくなったことと、トヨタ・キヤノン・ホンダ・ソニー・任天堂といった、世界を席巻するビッグプレーヤーが殆ど新たに登場していないことが大きいのだろう*

ただ一方で、日本にはまだまだイノベーションの力があり、素晴らしい技術が眠っていることも知っている。だがそれは眠らせていては意味がなく、揺り起こして世界を震撼させなければならない。日本にいたときは、この埋もれた宝に過剰な期待(感情的であり非合理だった)をしていたが、ボストンというベンチャーの一大拠点に身を置くと、技術を形にしてリターンを得ない限り、人類から忘れ去られる技術や特許の一つでしかなくなるのだ、という当たり前だが客観的な見方ができるようになった。

これらの素晴らしい学びは、あまりに激しく急激に襲いかかってきて、自分の中でパラダイム転換を起こしている。価値観が大きく揺さぶられ、これまでの知識や経験を再評価させられ、自分の知恵や能力のなさに辟易する。非常に苦しい。

興味を発散させすぎてしまったのだろうか。最近では授業なり課外活動なりで自分が率先して活躍できる場が少ない、というよりも自分に自信が持てなくなってしまっている。自信がなくなると学びも少なくなり、友人も減って良いことなどなにもないのだが、この悪循環に入る前になんとか自分のバランスをとらねば、と思う。

そのため、学ぶものは世界や日本でありながら、気にしているものは自分自身という、統合しにくい状態になってしまっている。幸いにも、もうすぐ夏休みであるので、一度自分自身の再構築に時間を割いてみたいと思う。それによって、世界と日本を学ぶ効率や意欲が増すことだろう。


* ニッチプレーヤーや部材・部品メーカーなどでは世界を席巻したメーカーはあるのだが、認知度とあわせるとなかなか少ない
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by flauto_sloan | 2008-05-06 04:22 | Mens et Manus
或るMBA生の夏 - Life
MBA生とインターンシップ
多くのMBA生にとって、夏はインターンシップの季節である。インターンは就職活動の一環であるし、これまでと違った業界を知る機会である。MBAで学んだファイナンス、戦略、組織論などを実践する場でもある。

Sloanの日本人学生諸兄も、半分以上はインターンを行う。行き先はPE、投資銀行、コンサルティング等々様々である。これらはMBA生の人気業界でもあり、その一角である弊社もインターンを受け入れている。有意義な夏となることだろう。

では私はこの夏をどうするのか、とよく聞かれる。

色々考えた結果、『アメリカ一周』をすることにした。


アメリカ一周という決断
ではなぜアメリカ一周なのだろうか。悩みに悩んだが、自分が今一番したいことであり、長い人生でも重要だと思えることなので、決断した。

「王道」を嫌う性格と、2年間知識のインプットに注力したい考えとから、そもそもインターンはしないつもりだった*1。華々しく精力的な、MBAらしいブログを期待していた読者には申し訳ないが。

一方でアメリカの学校を選んだ理由は、政治・経済・軍事で世界をリードする超大国アメリカを知りたいからであり、そのために一度この国土を回りたい、という思いがある。地政学的な初期条件が思想や行動に与える影響は大きいという考えを持っているので、ぐるりと回ってその国土の広大さ、農業の効率、人種構成の違い、風土や文化の違い、人々の性格の違いなどを感じ取り、少しでも理解したい。

さらには新婚の妻と3ヶ月水入らずで過ごせるというのは、この上なく貴重な時間だ。普段はボストンとNYと離れているし、これだけ長い期間一緒にいられるのは、今回を逃せばあとは定年までないだろう*2。財布に余裕があるわけではないので、節約倹約の貧乏旅行になるだろうが、楽しみである。

決断に付きまとう不安
ただ実際は、インターンをしないというのは勇気のいる決断だった。成長の機会損失という不安が、周囲のインターンへの期待感で増幅される*3

だが最終的に自分を後押ししたのは、次のメッセージだった。

コカ・コーラのCEOによるスピーチ "Life"
激務だった新入社員の頃に同期から回ってきた、コカコーラのCEO(当時)のスピーチだ。このメッセージを読み直して、自分の中での優先順位を再確認できた。非常に深い一篇であり、とても好きなスピーチだ。
Imagine life as a game in which you are juggling some five balls in the air.
You name them – work, family, health, friends, and sprits and you are keeping all of these in the air.

You will soon understand that work is a rubber ball. If you drop it, it will bounce back. But the other four balls – family, health, friends and sprits are made of glass. If you drop one of these, they will be irrevocably scuffed, marked, nicked, damaged or even shattered. They will never be the same.


You must understand that and strive for balance in your life.

How??

Don’t undermine your worth by comparing yourself with others. It is because we are different that each of us is special.

Don’t set your goals by what other people deem important. Only you know what is best for you.

Don’t take for granted the things that are closet to your heart. Cling to them as you would your life, for without them, life is meaningless.

Don’t let your life slip through your fingers by living in the past or for the future.

By living your life one day at a time, you live All the days of your life.

Don’t give up when you still have something to give. Nothing is really over until the moment you stop trying.

Don’t be afraid to admit that you are less than perfect. It is fragile thread that binds us each together.

Don’t be afraid to encounter risks, it is by taking chances that we learn how to be brave.

Don’t shut love out of your life by saying it’s impossible to find. The quickest way to receive love is to give; the fastest way to lose love is to hold it too tightly; and the best way to keep love is to give it wings.

Don’t run through life so fast that you forget not only where you’ve been but also where you are going.

Don’t forget that a person’s greatest emotional need is to feel appreciated.

Don’t be afraid to learn. Knowledge is weightless, a treasure you can always carry easily.

Don’t use words and time carelessly. Neither can be retrieved.
Life is not a race, but a journey to be savored each step of the way.


Yesterday is History.
Tomorrow is Mystery.
Today is a gift; that is why we call it The Present.


*1 するとしたらNYPなどオーケストラの運営組織かな、とも思ったが、魅力的なポジションがないので諦めた
*2 妻の両親が米国にいた頃に、やはり米国一周をして非常に楽しかった、と語る様子を見て、益々この旅への魅力を感じた
*3 最近習った行動経済学を自分に当てはめてみて、実際の機会損失は実は大きくないのだ、などと分析もしてみたが、あまり意味は無かった

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by flauto_sloan | 2008-04-10 20:55 | MITでの学び(MBA)
IAP - 真面目にふざけて Mens et Manus
1月のMITは、Institute全体でIAP (Independent Activity Period) という期間に入り、授業はありません。
IAPでは様々なレクチャー、イベント、ワークショップが開催されます。ファカルティ(教授陣)が主催するものもあれば、学生がイニシアティブを取って立ち上げるレクチャーもあります。
内容は学術的なものからお遊びまで幅広く、対象も他学部生や家族向けの入門編から、比較的高度な応用編まであります。

面白そうなものに色々と顔を出す人、単位認定されるものにだけ参加する人、純粋な休みとして1月いっぱい帰国または旅行する人など、過ごし方も様々です。
私はMITの工学系の雰囲気を味わうチャンスなので、色々なものに顔を出そうと思っています。

そんなIAPのイベントで、いくつか興味を引いたものを紹介します。

学問系講義
"Physics Lectures for the General MIT Community"...家族を含め、物理学のホットな話題を易しく説明する講義です

"The Feynman Films"...教科書『ファインマン物理学』や著書『ご冗談でしょう、ファインマンさん』で世の理系学生(私もその一人でした)に大きな影響を与えた、リチャード・ファインマンの講義ビデオです

"The Magic of Carbon Nanotubes: Properties, Growth, and Applications"...話題のカーボンナノチューブについてです

"Professional Portfolio Selection Techniques: From Markowitz to Innovative Engineering"...実用的なポートフォリオ組成の技法を紹介します

"Supply Chain Innovation Leadership Series"...セブンイレブンの物流担当VPも招きます

"Gambling: When It Becomes a Problem"...なぜギャンブル中毒になるかをMIT Medical が論じます

"Safer-Sex Interactive Workshop"...LGBT向けです。さすがアメリカです。Interactiveとはどういうことでしょうか


学問系実習
"Home Repair Basics"...電気系統編と窓編に分かれた本格的なもの

"Adventures in scanning electron microscopy"...電子顕微鏡の使い方を基礎から教えてくれます

"Intro to PCB Layout"...電子回路の組み方です

"Introduction to Welding"...溶接実習です。東大にも同様の授業があり、たしか菊川怜も履修していました

"IMPROVE YOUR ARABIC HANDWRITING!"...これであなたもアラブ書家


息抜き系講義
"Beer Connoisseur Class"...Sam Adamsなどボストン近郊のビール醸造所から職人を呼び、ビールを飲みながら醗酵プロセスなどを論じます

"Wedding Planning 101"...学生結婚には必須。101とは入門講座の意味です

"Bang Your Head! - Heavy Metal 101"...ヘビメタです


息抜き系実習
"Mystery Hunt"...MITでは非常に有名なイベントで、4日間にわたり構内の様々な場所に置かれたパズルを解きます

"MITstache: IAP Moustache Growing Competition"...IAP初日に髭を剃り、1ヶ月でどこまで髭が伸びるかを競います。長さだけでなく、豊かさ、芸術性も評価されます。Prerequisite (事前取得が必要なもの)はandrogen(男性ホルモン)だそうです

"Ikebana: The Art of Japanese Flower Arranging"...日本人主催です

"Sock knitting...don't be scared"...4回に分け子供用靴下を編みます

"Battle of the Brownies"...参加者が自作のブラウニーを持ち寄り、教授陣が食べて優劣を判定します

"Learn Massage"...妻に取るように勧められました


挙げればきりがないのですが、真面目さとおふざけ、講義と実習のバランスがMITらしいです。
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by flauto_sloan | 2008-01-10 10:07 | MITでの学び(非MBA)
仮面(persona)
仮面はラテン語でpersonaであり、personの語源です。仮面をつけることで演劇の役が決まるように、仮面と人格は密接に関わるという思想があります。

思えばこれまで様々な仮面を、脱ぎたいと思いつつ被り続けていました。
特に「職業人格」と呼ばれる仮面は脱ぎたくて仕方がありませんでした。
この仮面を作るのに苦慮し、結果としてあまりいいものができなかった結果、石仮面のように逆にその出来損ないの仮面に自分が振り回されてしまっていた気がします。

「コンサルタントたる者、こう振舞わなければならない。こんな振る舞いはしてはならない」

先輩や上司から様々なフィードバックや指導を受け(それら一つ一つは素晴らしく有用でした)、草食獣的でソフトな私は、肉食獣的で剛胆なキャラクターの多い会社の中で仕事をしていくために、自分本来の資質とは異なる、職業人格という「仮面」を拵えてかぶっていました。
渡米してからでさえも、会社関連のイベントですと、いつのまにかこの仮面をかぶり、面白みのない人間になってしまっていました。

Temazcal で脱いだこの仮面を見てみると、妙なプライドや、一面的な職業観、同僚にもクライアントにも舐められてはいけないという強迫観念、昇進への焦り、そういった質の悪い絵の具で彩られています。


でも、僕が被りたかった仮面はそんなのではなかった。
仮面を着けている時の自分は、一番好ましい自分ではないことも知っていた。
それに、そもそも別に仮面を被りたかったわけじゃない。



今回、世界のトップクラスのエリートが集まると云われる MIT Sloanで半年間多くの人と出会い、また学科の成績も出揃ってみると、top of the tops ではありませんが、決して自分は出来損ないでも鈍くもないと自認できました。

仮面さえかぶっていなければ、自分の考えること、話すこと、為すことに自身が持て、また結果も付いてきています。対偶を取れば、駄目なときは仮面冠者です。

そもそも仮面を本当にかぶらなければならないのか、かぶる必要があるならどんな仮面であるべきか。この二つの問いを十分吟味しないまま、追い立てられて出来損ないの仮面をかぶり、花形から道化までを彷徨っていました。

仮面を剥いでみれば、仮面の醜悪さと、まだ捨てたものではない自分を見つけました。久々に皮膚呼吸する自分を労わり、仕事に復帰するときには仮面をつけないで(着けるとしたら、その時は適した仮面を手にして)勝負します。
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なれないものにはなれません。弱みは克服できないから弱みなのです。仮面でどうこうなっても、畢竟見せかけでしかありません。ならば強みをとことん伸ばして、弱みをカバーすればよいだけ、という至極当たり前のことを忘れていました。自分の強みを活かし伸ばしていくのみです。

年の初めに、色々な思い、情報、経験が重なり、この「自分」と「仮面」を自覚できたのは必然だった、と柄にもなく運命論的に捉えることとします。
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by flauto_sloan | 2008-01-07 12:49 | Mens et Manus
2007年を総括す
而立を迎えた2007年は、人生においての大きな節目となりました。
結婚、留学、受験、仕事、過労、と公私共に自分を見つめなおすことを意図するしないに関わらず求められた1年でした。而立の年でありながら、未だ立てずにいます。ただ、どうすれば立てるのかが見え始めてきました。

結婚
c0131701_3274914.jpg正直言って30前に結婚するとは想像だにしていなかったのですが、よき伴侶に恵まれ、家族を築くことができたのは、人生において非常に大きい転機でした。
妻は性格が私と対照的で底抜けに明るく、仕事は法曹関係と大きく異なりながら、価値観を共有でき、さらに音楽においてもかけがえのないパートナーです。このような佳人と今後の人生を歩むことができるのは、自分にとって大きな力となります。

自分の細君を誉めるのはこのくらいにして、家族を持ったことで独身の時とは優先順位も大きく変わり、仕事(今は学業)と家庭のバランス、自分ひとりではなく夫婦二人の幸福の最大化を考えるようになりました。
今後とも夫婦ともどもよろしくお願いいたします。

留学
c0131701_3291253.jpg私にとっては初めての長期海外生活、そして5年勤めた後の学問世界への回帰。自分のこれまでの経験や興味を再整理するとともに、様々な新しい刺激を受け続けています。

最も強く感じたのは、自分にとって「経験」は「学び」ではないということです。正確に言うと、一度一歩引いて、何が「経験」の背後にある本質だったかをしっかり考えない限り、経験は経験のまま、再現性なく限定的に記憶されるだけで、自分の知識やスキルを増やし、行動規範や価値観を変える「学び」にはならない、ということです。

世の中でも最も勉強・成長する機会に恵まれていると云われる、私の在籍するコンサルティング・ファームにおいて、私は何故だか十分に学べていないという感覚/フラストレーションを感じる時がありました。
孤独なプロジェクトが多く、範とすべき先輩と共に仕事をして業を盗む機会が少なかった、という不運もありました。が、それ以上に、ツールの使い方や業界知識といった、目の前のプロジェクトを支障なく遂行するための知識・スキルの習得に追われ、それらの背後にある本質、構成論理を考え、身に付けるための時間も手法も自分にはなかったのだと感じました。

成功も失敗も織り交ぜながら、復習するための材料 – 経験 – は十分にあります。この留学期間で、その材料を、授業・書籍・先人から新たに学ぶ思考体系や枠組で捉え直し続けています。
そうすることで、過去を蓄積として自分の中に取り込むことができ、過去の経験を無駄にせずに再起することができるのではないかと考えています。

受験
MBA受験のためにエッセイやレジュメを書くことは、自分の過去を思い返すことに非常に役立ちました。
自分が何に興味を持っているのか。それは何故なのか。自分を構成する要素はなんなのか。どうしてそれが主要な要素になったのか。何故なのか、何故なのか…
お金も時間も労力も相当量つぎ込みましたが、その価値と成果はありました。こうして今、夫婦で渡米し留学という、素晴らしい機会に結びついたのですから。

手ごたえのあった志望校から不合格を受けたときには落胆もしましたが、結果的にMIT Sloanは刺激に溢れているだけでなく、私にも合っている学校であり、今はとても満足しています。

仕事
今年はとても苛烈なプロジェクトで幕を開けました。プロジェクトマネージャーの役割を任せられつつも、自分の力不足を強く感じ、非常に反省することの多いプロジェクトでした。
自分の限界を感じたのですが、それが何の限界なのかはわかりませんでした。また、自分の中身がすっかり出尽くしてしまうような疲弊感に苛まされ、最後は過労で体調を崩し、プロジェクト終了後に休養を余儀なくされてしまいました。

今思えば、前述したように、5年間の経験をしっかりと学びとして自分の中に蓄積しきれずにいたために、入社時+αのスキルや知識では、もはやプロフェッショナルなコンサルティングをすることに限界がきており、またこれまでの自分の知識や知恵を出し切ってしまったことによる疲弊だったのではないかと感じています。

それゆえ、このSloanでの2年間で、新しいことを吸収し、出尽くしてしまった自分の智慧を蓄えると共に、知識にならずに体の中へ分散してしまった経験を再整理・再統合する必要がありました。
2年のモラトリアム期間を経た後は、再び職場に戻る予定にしています。そこでは、5年間の学びと、2年間の学びを見に修めた上での再起といたします。

過労
自分がどこまでやれて、どこまでやったら倒れるのか、その限界または境界を知りました。一人の人間として、限られた時間と体力の中で、できることはでき、できないことはできない、その単純な区別が自分の中にできました。

そして過労で休養している頃に、この5年間あまり読む機会も余裕もなかった類の本、つまりビジネス書以外、を何冊か読みました。乾いたスポンジに清涼な水が注がれたかのように、頭へ新しい世界が吸収されていったことを強烈に感じました。
自分は多くのものを見てこなかった、と自分の過去を振り返り、外へと目を向けるようになったのは、不幸中の幸いでしょうか。

死んで花見が咲くものか。家族もいる現在、自分にできる範囲で、最大の効果を出すことが大事だと自覚しました。

今年のまとめ - トランジスタ型人間 -
c0131701_3255990.jpgかつて大学院での恩師、北澤宏一教授に、
トランジスタ型人間になりなさい。人間は3本の足で立つことで、初めて豊かに生きられるし、いい仕事ができます」
と言われました。仕事をしていたときは、なんとかフルートだけはオーケストラで続けていたものの、あとは仕事の一本足でしか立っておらず、そして倒れてしまいました。

一本足で突き進む若さと迷いのなさは、家族を持ち、体力と精神力の限界を知った今、もはや諦めました。
もう一本は音楽です。私は未だに自分は何か、と問われれば、コンサルタントよりもフルート吹きだ、と思っています(MBAのインタビューではそう答えませんでしたが)。
最後の一本が何なのか。これまでの人生で見えてきたり見えなくなったりしていますが、改めてぼんやりと見えてきています。

今年は3本足で立たねばならないという教えを真に理解すると共に、その3本を検証し始めるました。その3本をしっかりと自覚し、それぞれに磨くことで、人間として立つことができる、すなわち而立ができると考えます。30には間に合いませんでしたが、そんな而立のための準備を始めることができました。


最後に、多くの友人を始め、この拙ブログをご覧いただいている皆様、どうもありがとうございました。
2008年もよろしくお願いいたします。

ふらうと拝
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by flauto_sloan | 2007-12-31 13:11 | Mens et Manus
中間試験を終えて
先週は中間試験で、これまで学んだことを振り返るいい機会でした。テストの出来はともかくも、答えが一意にある問題に対し、授業で与えられた知識をもとに、過去問や補講で示された論理構成で、解を導き出す、というプロセスを行うのが懐かしくも楽しかったです。

普段の仕事(コンサルティング)では、定まった答えがなく、必要な知識も論理構成も自分で考え出し探し出し、そクライアントが納得するような解決策を捻り出す、というプロセスです*1

それに比べれば、なんと美しい。
堅牢な論理構成と、客観的かつ一意な解。


ただ、このような美しさを現実の仕事で求めるには、相当量の抽象化、思い切った捨象、現実離れした前提が必要なことが多く、実際のところは納得感、現実感に引きずられてしまい、こうも美しくはいきません。その美しくないところが、現実世界の面白みなのでしょう。
一方で、地を這い回るだけでは知的生産者たる価値がないのも事実です。この中間試験は、しばらく忘れていた、自然科学的美意識を思い起こさせてくれました(純粋な自然科学ではないので、数学のような美しさとは異なりますが)。


以下に科目ごとの感想です。
1.Data, Models and Decisions (統計)
統計も基本的なことは学部生の頃にやっていたので、二項分布や正規分布などは記憶の箪笥の奥から引っ張り出しながら学びなおしました。
統計は仕事では数式や結果を利用するだけの「ツール」として使ってしまっていましたが、改めて基礎から学び、限られた使い方しかしていなかったな、と感じました。

よく友人に「コンサルティングでは、DMDの授業でやっているように、意思決定のシナリオごとに、確率から期待収益額を求めて、比較してレコメンデーションを作ってるの?」と聞かれますが、期待(?)通り「そうだよ」と言い切れないのが残念です。

まず、確率論を持ち込める機会が限られています。予め確率が判っている事象など、ビジネスにおいてはほとんどありません。ならば統計調査を行う必要があるのですが、それも取り扱う課題の解決に、本質的に必要かどうかで実施の可否が決まります。傾向としては、消費者向けビジネス(BtC)ではネットサーベイなどを使って大掛かりな調査をすることが間々ありますが、法人向けビジネス(BtB)では機会が限られています。
さらに、DMDで扱うような定量分析は単独でも極めてパワフルなのですが、マネジメントの意思決定においては、その定量分析からの意味合いをサポートするような定性分析や、半定量的な分析も組み合わないと、十分な判断材料がない、もしくは最後の一歩を踏み出せない、ということになりがちです。

なので、統計的手法は知っておくべきだが、それだけで答とできるほど世の中と人の心は美しくシンプルではない、というのが答えです。
それはわかった上で、純粋な定量分析を学びなおしているのが楽しいのです。


2.Financial Accounting (会計)
会計はコンサルティングの仕事で必要とされる基礎知識(私の入社時は、新入社員はすぐに日商簿記の試験を受けさせられました)なので、日米の違いはあるものの、大きな苦労はしませんでした。

会計は学問というよりは技法なので、そう割り切ってひたすら過去問や練習問題に取り組み、レターサイズのチートシート(持込可のアンチョコ用紙)を手書きで作りました。いずれ書きますが、私は手書きに拘っているので、直前に様々なチートシートがクラス内にメールで飛び交いましたが、結局自分で手書きで作りました。結果的に、変則的な問題もありましたが対応できました。
会計は技法であるがゆえに、運用方法も厳格に決まっています。ただどの方法を採択し、会計上の数字に過ぎない「利益」を、いつ、どう投資家に見せるかが、経営者の意思・裁量にかかっており、ケーススタディでは議論を生みます。
人の意思が選んで作り出した数字を、それが乗った財務諸表を見て分析し、逆に人の意思を探り出すリバースエンジニアリングはなかなか楽しいです。人の表情から感情を探り出すようで。


3.Economic Analysis for Business Decision(ミクロ経済学)
以前書いたように、経済学をちゃんと学ぶのは初めてだったので、心して取り組みました。需要供給曲線、市場介入、不完全市場… 

今学期のEcon(通称)のメインテーマは”Pricing”であり、完全/不完全市場における価格決定のメカニズムを学びました。実際のプライシングでは、個別の商品市場はデータも少なく需要・供給曲線がすぐには分からないために、様々な手法が発達しています。
新人の頃、あるニッチ素材のプライシングのプロジェクトに入ったときは、様々なプライシングのための分析手法(Value based pricing*2など)を学びました。極めてテクニカルで、かつ個々の企業の競争環境に大きく依存するそれらの手法と、需要・供給曲線による理論的なアプローチの差が新鮮でした。いきなり応用から入っていたので、あらためて基礎の理論を知ることで、プライシングという妙技を少し俯瞰できてきた感があります。


と、ハードな3科目が終わり、みな開放感に溢れています。今日はRed Soxがワールドシリーズ進出を決め、Fenway詣でに行った友人も興奮しています。街の興奮に憂いなく参加できることが嬉しく楽しい、そんな試験明けの週末でした。

*1 実際は、たとえば7つのステップと云われる問題解決のプロセスが確立しているので、体系的なアプローチがとられています
*2 プライシング手法の一つで、ある商品の便益によって顧客のビジネスに生み出される価値を計算し、その価値をもとに商品価格を決定する手法

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by flauto_sloan | 2007-10-22 03:33 | MITでの学び(MBA)
Doing WHAT matters
昨日の昼休みに、ジレットの元CEO、James M. Kilts氏がSloanで講演を行いました。氏はゼネラル・フーズ、ナビスコ、ジレットなどを次々と再生させ、今は自ら興したPE(プライベート・エクイティ)ファームのCenter View Partnersを率いています。

消費財業界では立志伝中の人で、特にブランディングの天才です。
そんなKilts氏のビジネス観は、3つのビジネスの目的と4つの基本理念で成り立っています。

3つの目的は、Growth & Innovation、Cost reduction & productivity、そしてCreating a performance culture です。
言うは易く行うは難しの典型のようなこの3つの目的を、同時に達成していくのがKilts氏の手腕です。ジレットのケースでも、オーバーヘッドを削減しながら広告費を増やしていき、シェアを大きく伸ばす一方、キャッシュマネジメントも見事なまでに徹底しています。
ではどのように行ったか。そこに4つの基本理念である、Integrity, Enthusiasm, Action, Understanding が大きく寄与しています。

Integrity は "intellectual integrity" と定義され、主に同僚の間で、客観的に正当な評価をすることを意味しています。
ジレットのCEOに就任した時、あらかじめ市場データからジレットの経営課題を分析していた氏は、取締役会で
「公表データを分析すると、この会社はオーバーヘッド費用が高すぎるように見える。この中で、確かにオーバーヘッドが高いと思っているのは何人いるか」
と聞くと30人全員が挙手をしたそうです。そこで続けて
「では、この中で自分が統括している部門のオーバーヘッドが高いと思っているのは何人いるか」と聞くと、誰も挙手しなかったそうです。
そのような、「自分は問題ない。お前が問題なのだ!」と互いに言い合う環境ではなく、誠実に真摯に経営課題を捉え、議論できる環境が必要だという理念です。

Enthusiasm は「物事は変えられる」と強く自覚して行動するための原動力です。Kilts氏はZOG (Zero Overhead Growth) やNOG (Negative Overhead Growth) と題した、管理コストを削減しながらの成長を成し遂げたのですが、オーバーヘッドの削減は得てしてモラールの低下を引き起こします。
そこで、「ここで削減したお金は、成長のために使われるのだ」と宣言し、実際に削減による余剰資金の使途を社内に公表することで、不要な管理コストを削減しながら、社員のやる気、情熱を引き出したそうです。

Actionは、「責任を持った仕事を最後まで成し遂げ、結果を出す」行動を意味します。ジレットは氏のCEO就任時に商品数が24000もあり、管理が複雑化し効率が低下していました。そこで「この商品数は減らせないのか」と聞くと、「確かに商品は多いですが、この顧客セグメントにはこれが必要だ、未だにこの商品の愛好者が多い、云々」と理由が並んだそうです。また、これまで商品数を減らそうとしたときには、コンサルタントを雇っていたそうで、「商品を減らすなら、コンサルタントを雇いましょう」との答えが返ってきたそうです。そこで氏は、
「私の住んでいた所では、蛇を見かけたら、すぐに殺していた。ここでは蛇を見たら蛇対策委員会を設置し、蛇退治のコンサルタントを雇うのか!? 必要なのは蛇を殺す者だ」
と言い、snake killer を任命し、7000にまで商品数が減ったそうです。

最後のUnderstandingは "understanding of customer and market" であり、何がそのブランドの市場における強みであり、顧客は何を望んでいるのかを知ることが重要だというものです。氏はCEOでありながら、消費財で最も重要であるマーケティングに直接関わっていき、CMの設計まで関与していたそうです。実際にいくつかの成功したCMを見ました。非常に面白い一方で、消費者の行動を巧みに捉えたものでした。

これらの基本原理に則って、やるべき目標をきちんとやりきることが成功の秘訣であり、最も難しいことなのだ、と力説していました。

そしてMBA生へのメッセージとして、「自分が心からやりたいことを見つけ、そしてそれにお金を出してくれる人を見つけなさい」と語りかけていました。


氏は流石に存在感が大きく、語り口にみなが引き込まれるカリスマを持っていました。コンサルタントという仕事柄(Kilts氏には嫌われている仕事ですが)、多くの経営者や経営層に会ってきましたが、Kilts氏ほどカリスマを感じさせる人はそうはいません。アメリカの懐の深さ、リーダーの力強さを感じた講演でした。

また、3つの目的と4つの理念もあまりに素直なものなので、ただ聞いただけでは当たり前に思えてしまいそうですが、それを実行することの難しさを日ごろ実感しているだけに、当たり前のことをやりきる手腕に感銘を受けました。

昔の上司で、産業再生機構にて多くの案件を成功に導いた方も、
「コンサルタントをしているときは、非常に難しい経営課題に、いかに優れた解を出すのかに苦心していたが、経営をする際にはそんな難しい問題などほとんどない。むしろ誰でも気がつくような、当たり前のことを実行し、結果を出すところまでやりきる。これを繰り返して本当に当たり前のことが実現している会社にすることが重要であり、かつ最も難しい」
と語っていました。

その「ほとんどない」高度に難しい経営課題ばかりに取り組むのがコンサルタントである訳で、だからこそ知的に難しく面白い仕事であります。
一方で真のリーダーに求められる資質、特に3つ目の理念の "Action" をいかにより深く身につけていくのか、それが留学前からの課題意識であっただけに、Kilts氏の講演で改めてその目的意識を思い起こしました。
まさに "Mens et Manus" です。

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講演後にKilts氏の本を$25で販売していました。一部買ってサインをしてもらったのですが、残念ながら名前を書き間違えられてしまいました……(涙)
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by flauto_sloan | 2007-10-02 22:56 | Guest Speakers
Sloan + HBS
Harvard Business School の人たちと飲んできました。
HBSの人たちは、Sloanよりも快活で体育会系のノリの人が多いように思いました。これは独身者の割合の違いにも起因しているのかもしれません。みな人物であり、流石に話していて面白いものがありました。これからも交流を深めていきたいものです。

様々な話をしたのですが、授業に関する話が最も興味深く、SloanとHBSの違いを良くも悪くも感じました。
授業が全てケーススタディで進められ、成績に対するプレッシャーも重いHBSでは、さすがにケースでの議論の深まり方、生徒の参加・貢献の仕方がSloanのそれとは全く異なり、深い洞察に満ちた議論になるようです。一方でSloanは定量的な分析手法なり理論なりをしっかりと学んで身につけていくのには適した授業の進め方ですが、定量分析の結果の数字にどのような意味を見出すのかについての議論は改善の余地を感じます。


HBSでは、生徒が自分のポジション(旗幟)を明確にして、互いの論点に自分の意見を重畳させながら、より深い議論へと到達していくそうです。そのためには優れたファシリテーターたる教授と、多様なバックグラウンドを持ち議論を好む生徒が必要です。HBSにはそれらを満たすための仕組みがあるようです。

ファイナンスや会計といった定量的な分野でさえもケースで授業が行われ、生徒は1つのケースに2時間以上の予習が必要だそうです。そうして事前に洞察し、自分なりの考え、ポジションを持った上で授業に臨みます。教授はSloanのような研究者肌というよりは、優れたファシリテーターであり、うまく生徒の意見を引き出し、対立する意見のグループを醸成し、対話を促して議論の質を高めていくスキルを備えています。

授業の後半ではアクション・プランと呼ばれる、「あなたならどう決断したか、行動したか」に関する議論が行われるそうで、そこでは生徒が多様なバックグラウンド・経験に基づいて、ポジションを明確にした、もしくはユニークな視点からの意見を述べていくことで、お互いから学びあい、マネージャーたるものの考え方、スキルを学んでいくそうです。

一方で定量的な分析などは、必要とされてはいますが、あくまで判断のためのツールであり、授業の本質ではなく、ゴリゴリと分析していくスキルは必ずしも十分な蓄積はされていないのではないか、との意見がありました。


方やSloanは、基本的に数量分析を多く学び、予習も重要ですがそれ以上に復習と宿題が中心で、学んだことを手を動かして身につけていくというスタンスです(まさにMens et Manus)。そこでの学び、習得知識は大きく、これまで断片的に何となく学んでいた知識も、非常に速いスピードで理解し、智慧にまで高められて血肉となっている実感があります。

反面、ケースも時折使っているのですが、そこでの議論も数量的な分析の説明や確認が多く、では分析結果をもとにどう考察するのか、マネージャーとして何を考えるべきか、どう決断を下すべきかに関する議論はHBSのような深みまでは至っていないと感じます。

お互いの意見をぶつけあい、重畳して深めていくプロセスに慣れていない生徒が多く、また教授陣もそこを十分に上手くモデレートしていないように思えます(もちろん上手い教授もいますが)。そのため、発言も単発であることが多く、たまにいいことを誰かが言っても、そこからさらに深めていくことが少ないです。発言内容も、自分のバックグラウンドや経験に基づいた重みのあるものよりも、教科書的な、あるいは前後の発言から脊髄反射的に口をついて出たものが比較的多いように思えます。ケース議論の深め方は、今後Sloanとして強化していく余地が多いと思います。

生徒もHBSはプロフェッショナル・ファーム(コンサルティングや投資銀行など)が多いのに対し、MITはエンジニア出身が多く、この構成も議論の質・スピードや数字へのこだわりに影響があると思います*

ただ、これらの授業形態、教授、生徒の違いは、授業を通じて何を身につけさせるのかという、各学校の目的意識の違いに由来するため、どちらがいい悪いというものではありません。
むしろそれぞれの学校を選ぶ生徒が、何を求めるのかによって、好き嫌いが現れるものです。
個人的には、数値をしっかりおさえて地に足の着いた議論をする方が好きなので、MITで楽んでおります。とはいえ、来年にでも一度HBSの授業を取ってみて、ケースの醍醐味も味わってみたいと思いました。
今後もケンブリッジ同士、仲良くしていきたいコミュニティでした。


* あるインテルの半導体設計技術者の友人は、統計の授業で教授が「この現象の確率分布は数学的に解けないので、シミュレーションをするしかない」と言ったところ、「いや、数学的に解ける」と主張し、授業の後で黒板に数式を書いて教授と議論していました。さすがにHBSにここまで数字・数式にこだわる人は少ないようです
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by flauto_sloan | 2007-09-28 01:54 | 交友
MIT Engineering & Media Lab
先週、MITのChemical Engineeringの研究室に行く機会があり、さらにはMITの最先端であるMedia Labにいる日本人の方々とお会いする機会があり、MITの「本流」を感じることができました。やはり世界一の工科系大学たるMIT。理系の人たちと交わらないと、その凄さやカルチャーがわからないな、と改めて思います。交わりはやはりビール入りで。

MIT Chemical Engineering: R. S. Langer Lab
Teck Linkという、Sloanと他学部を結びつける活動の一環で、chemical engineeringのLanger研究室へ見学に行きました。
教授の Bob Langer は、MITで15人しかいない "Institute professor" の称号を持つ一人。"The smartest guy in Boston" の賛辞とともに雑誌の表紙を飾ったこともありました。

そこは生命化学の研究室で、新薬の治験の効率化に関する研究と、組織再生技術の研究をしており、博士課程の学生が案内をしてくれました。雰囲気はまさに懐かしい化学の実験室。夏休みで人は少なかったのですが、雰囲気を味わえました。
「サウンド・オブ・ミュージック」などで有名な女優、ジュリー・アンドリュースが声帯を失ってしまった時、莫大な資産を研究室に寄付し、声帯の再生治療をサポートしたそうです。そのため研究費は潤沢で、優秀な学生や様々な分野(全米屈指の解剖のエキスパートまでいるそうです)の専門家が集まり、まさに最先端を走る研究室。

見学が終わった後、案内してくれた学生と、Sloan生7人とで技術とビジネスについて話しまたところ、学生に冗談で "you fell into the DARK SIDE" と言われ、はっとしました。
彼らの研究は人類の発展に真に役に立ち、社会に貢献しています。他方ビジネススクール(の学生)は、ビジネスという名でお金のことを考えすぎているきらいがあります。
この二つをどう結びつけるか、それはMITにいる間に考えるたい、一大テーマです。


MIT Media Lab
MITの中でも有名なMedia Labは、人工知能やロボットなど、様々な最先端の技術に取り組む学際的な研究所です。
日本からは企業派遣の方々が多く、新しい技術やその萌芽に触れ、研究に参画し、技術や知識の交流をしています。面白い、有用な技術を見つけたときには、彼らが自分の会社を動かして、研究に出資させることもあります。
そんな方々と、中華料理を囲んで語らいました。

ある機械メーカーからいらしている技術企画の方は、北米を駆け回って学会などに参加し、技術者間でのネットワークを築いているそうです。3年くらいかかってやっと一通りのネットワークを構築できるという、中長期的な取り組みです。

トヨタの人とはトヨタの強みを議論。トヨタでは「なぜを5回繰り返せ」と言われるほど有名なように、徹底的な「なぜ」の繰り返しが行われ、妥協の無い議論と探求が行われています。その思考の深みと堅さが習い性となって、トヨタの強さが生まれているようです。さすがトヨタのエンジニアの方の考え方は勉強になり、もっと突っ込んだ議論をしたいと思いました。そこで改めて飲むことと、研究室の見学を約束させてもらいました。楽しみです。


MITの本質は、当然ながら技術、イノベーションにあります。二つの交流を通じて、その一端を垣間見始めました。この人たちを中心にネットワークを広げていき、MITの文化、技術、底力を吸収していきたいと思います。
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by flauto_sloan | 2007-09-01 01:50 | 交友
MITミュージアム
本日、ようやくMITのIDカードを交付してもらい、早速MIT Museumに行ってきました。


カード交付
ISO(International Student Office)のオリエンテーションを受けて、ようやくMITのIDカードを交付してもらいました。交付に必要な、I-20という、ビザとセットで重要な書類(在学証明書のようなもの) を、サマースクールに行っていたコロンビア大学からMITへ移籍したのですが、その過程でちょっと混乱が生じてしまい、果たして予定通り今日もらえるのかが微妙なところでした…

サマースクールは強制ではなく任意参加したため、5月ごろにI-20を申請した時点ではコロンビアに受け入れてもらえるか不明でした。そのため、MITとコロンビアの両大学にそれぞれ必要書類を提出し、I-20を申請するという安全策をとりました。これが裏目に。

コロンビアからの転籍証明書をMITのISOへ提出し、併せてMITで既にI-20を貰っていることを述べたところ、係りの女性に「これはおかしい」と、I-20を破棄され、Sloanのオリエンテーションに出るように言われてしまいました。不備があると米国に再入国できなくなるかもしれないと言われるほど重要な(少なくとも重要に思っていた)、そして取得には少なからず苦労した書類を目の前で破棄されるのは、なかなか衝撃的でした。

いずれにしてもMITのIDカードは転籍が滞りなく済んで初めて交付されるので、ひとまずISOのオリエンテーションを待つことにしました。ただIDカードがないと非常に不便で、とくにSidney-Pacificの寮は玄関などの電子錠をIDカードで開けるため、交付までは入り口で受付の人に寮の入り口を開けてもらい(しかも夜24時以降は受付がいないので入れなくなる)、自転車は室内駐輪場に置けないという不便さ。なかなかつらいものでした。


MITミュージアム
無事に今日IDを交付されると、早速寮にIDカードを登録し、その後は近所にあるMIT ミュージアムに行ってきました。学割があるのですが、MITの学生は割引というか無料(ニューヨークでは、市内の学校に通う学生はMetやMoMAに無料で入館できました。当然コロンビアのサマースクールの生徒のIDでも) 。

c0131701_23145396.jpgミュージアムはMITのこれまでのテクノロジー分野での栄光の歴史を展示してあります。人工知能に始まり、人間の触覚をシミュレートする機械や、表情でコミュニケーションをとれるロボットも。

圧巻は世界最大といわれる(といってもたかが知れてはいますが)ホログラムのコーナー。これがなかなか面白かったです。秀逸だったのは、写真を見ながら左から右へこちらが移動すると、美女が投げキッスをしてウィンクをするもの。これは見る価値がありました。

c0131701_23151229.jpgさらにはMITの「ハック」と呼ばれる文化の紹介もありました。
かつてHarvardとYaleがフットボールの試合をしたときに、MITが巨大な風船をコートに投げ込み、試合を中断させる大騒ぎに。写真の一枚目はその時の新聞記事で、「MITがハーバード・イェール戦に勝利!」と書かれています…


c0131701_23152939.jpgもう一枚は、卒業式にアル・ゴア元副大統領が来校して演説をした時に、学生が事前に”Buzzword Bingo (流行言葉のビンゴゲーム)” を作ったものです。”Paradigm,” ”standardized,” “robust”などといった言葉が並んでおり、みんなビンゴが揃うかどうか集中して聞いていたので、静粛かつ熱気溢れる聴衆だったそうです。

こういう遊び心がとても好きです。


ボストンを訪れる機会があれば、マイナーな観光地ではありますが、見学するのもよいかもしれません。
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by flauto_sloan | 2007-08-15 23:10 | MIT文化