MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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再起動
仕事への復帰までもう3ヶ月を切った。
2年間さんざんしてきたインプットをアウトプットにすることを考え始める。

コンサルティングの色々なスキルは、MBA中もプロジェクト等で使ったものの、まとまった形ではしばらく使っていない。特にMBA中はほとんどプレーヤーとして動くので、マネージャーとしてどう動くのかはついぞ忘れてしまう。勘を取り戻すと言うか、リハビリが必要だと思い始め、コンサルティングのものの考え方を確認・整理する機会に参加することにした。

いざやってみると、意外と頭も体もすぐに動いて驚いた。さすがに5年間修行していただけはあるのだな、と感心する。もちろん、最前線でクライアントと丁々発止のやり取りをし、仲間としてやる気を出してもらうまでのレベルには、職場復帰してからすぐに実地で取り戻すしかない。だが漠然とした「2年も離れて学生をし、インターンもしないでいて、ちゃんとすぐにプロとして戻れるだろうか」という懸念、というか不安は、比較的安全な環境の中で、意外とあっさりと拭い去ることができた。

むしろ、すぐにコンサルタントという仕事の面白さを思い出した。初心に戻り、こういうことをやりたかったんだよな、と感じた。さらに、リーダーシップやアダルト・デベロップメント等の学びを合わせると、チーム・マネジメントやコーチングの幅も広がったように思う。尤もここは引き続き鍛錬を要するのだが。

PCが凍ったり重くなったりしてきたとき、また新しいOSやアプリケーションをインストールした時は、再起動が必要だ。留学前からこの2年間にかけての経験は、一度再起動しないと、新しい自分として機能しなかったのかもしれない。そう思うと、スキルだけではなく職業観を合わせて、いい再起動の機会に恵まれた。
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by flauto_sloan | 2009-04-12 21:54 | NYでの生活
PEはハゲタカか救世主か
バレンタインデーの今日、スローンの親しい友人であり剃刀のように切れる頭脳の持ち主、Shintaroがボストン日本人研究者交流会にて発表してくれた。テーマはPE (Private Equity) ファンドについてであり、彼のコンサルティング、インターンでの経験から、日本におけるPEの現状と将来とを鋭く分析、紹介していた。PEは日本経済を躍進させるドライバーとなり得るのだが、今回の金融危機という擾乱をどう乗り越えるかによって、悪貨が良貨を駆逐する可能性もあると思った。

発表の詳細は割愛するが、以下の点が特に印象的だった。
  • PEファンドはそのノウハウや実行力によって、日本企業の競争力を高める可能性を持つ。企業価値向上のノウハウや人材を持っている、バイアウト・ファンド、事業再生ファンド、不良債権投資ファンドといった各種ファンドがそれぞれの強みを活かす分野で活躍していけば、日本企業の競争力は強化される
  • 日本でハゲタカと揶揄された短期に企業を解体するファンドや、少数株主として物申すアクティビスト・ファンド*1と異なり、PEは10年単位での企業の成長性を考える。投資後5年で投資先の価値向上をして、他のファンドや企業に売却するためには、買う側もその5年後にさらに価値が上がると思わないといけないからだ
  • ノウハウやグローバルなネットワークを持つ海外PEファンドも日本に参入しているが、厳しい時期にある。日本では案件の大半が、国内銀行系ファンドによる独自案件*2であり、案件生成が困難だ。加えて、円高、信用縮小による自己資金投資の増大と、利回り目標達成の困難化といった悪条件のため、海外ファンドは日本で活動しにくくなっている
  • これから最初の投資案件がexitする時期であり、この案件をPEが買う二次市場が発生すれば、PEファンド業界がさらに興隆する可能性がある。だが三洋を買ったのがパナソニックだったのは、この二次市場立ち上がりに冷や水を浴びせた。今後のPE業界の展望はまさに岐路にある
PEについて色々な場で知っていくうち、日本にはPEファンドが必要だと強く思うようになった。良くも悪くも日本企業は本質的な変化(構造改革というか体質改善)を起こしにくい。だが米国企業に比べて日本企業が圧倒的にROEが低く、(最近は調整局面だが)企業価値も低い。変わらないでいることは競合優位性をじりじりと失い、不作為のリスクを生み出す。

ならば圧倒的な実行力を発揮し、ごく当たり前のことをやりきることが必要なのだが、それを自分でできれば苦労しない。だから外部の力が必要で、コンサルティング・ファームに変革を旗振ってもらうが、それでも変われなければPEという外圧が必要だ。

だがそんな「変革の実行者」としてのPEの役割はまだ十分認識されていない。初期のファンドが張られた「ハゲタカ」「物言う株主」といったレッテルは、活動内容の違いを覆い隠して、一人歩きしている。ファンドの良い面は認識されにくく、産業再生機構の成功も「あれはガイジンじゃなくてお上がやったことだから」と価値の源泉を取り違えられかねない。そんな危うい業界で危惧されるならば、「悪貨が良貨を駆逐する」事態だ。

もし海外ファンドが(一時にしろ恒久にしろ)撤退し、国内金融機関系のファンドが中心となると、目標ROIが引き下がり、ノウハウも十分に蓄積されない可能性がある。諸々の理由で持ち込まれる案件の中には、本来価値向上の見込みが薄いものも、これまでの経緯などで投資してしまうものもあるかもしれない。そうすると、本来なら3割の案件が成功しなければ採算がとれないところを1割2割でも仕方がない、企業価値が1割しか改善しなくても仕方がない、と投資の質が下がってしまう可能性がある。

するとPEファンドの本来の名と実とが離れてしまい、ファンドで企業体質は変わらない、という誤った認識ができてしまうだろう。そうすると、なかなか本来の目的が達せられにくくなってしまうだろう。それはなんとも避けてほしい。


PEはコンサルティング時代から、同僚が転職していったり関連プロジェクトがあったりと、自然と興味を持つ分野だった。私自身は何故だか、自分が行きたいとはなかなか思わないのだが、その価値は認めている。今後PEの二時市場が立ち上がり、だが金融危機前の教訓を活かした慎重さで、「影の銀行」として活躍してほしいものだ。


*1 村上ファンドやスティール・パートナーズなどが有名
*2 他のファンドを招いて入札するのではなく、相対で売買する案件

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by flauto_sloan | 2009-02-15 21:18 | 交友
職業人格
c0131701_1521293.jpg昨年同様、ボストンの留学生向けに、東京オフィスの説明会があり、スーツを身に纏って職業人格モードに入った。同僚でSloan後輩のLilacさんとで現地参加だ。折りしも寒波が到来し、ボストン・コモンの池には氷が張っていた。

Sloan、HBS、Tuckといったビジネススクールに加え、HKSやHSPHなど他のプロフェッショナル・スクールからも参加者が集まる。コンサルティング経験を語り、質問に答えていくのだが、非常に奇妙な気持ちだった。昨年以上に、コンサルティングの経験を上手く語れない。正確には、コンサルティングの経験と、留学での学びとを綜合した自分の考えを述べてしまう。そのため、生の経験を一次情報として参加者に共有できないでいた。しかもそんな考えに限って、抽象的で判り難くなってしまう。

まあそれでも好評だったし、自分の成長も実感できたし、善しとしよう。


説明会後は、莉恵さんらHBSの1年生やHSPHの友人とお茶を楽しむ。ここからは職業人格ではなく、ただの一人の苦悩するビジネススクール生だ。女性ばかり5人に囲まれたことも、本当の人格を出し易くしていたかもしれない(虚飾の無い本当の人格かはわからないが)

皆非常に快活で頭の回転が速く、話していて楽しい。これまでなかなか接する機会がなかっただけに、こうした場であっても知り合えたのは幸運だった。これからも同じケンブリッジで語りたいものだ。


そして夜、東京から来ているパートナーや先輩の方々と激しく(?)飲んだ。ホテルの一室で何時間も飲み、語り続けたのだが(時差ぼけのために東京組はいつまでも元気だった)、思えばパートナークラスと、ここまで腹を割って飲んで話したことは殆どなかった。戯言までストラクチャーされているあたり、職業病的なものを感じもしたが、勉強になることも多かった。これも図らずもいい機会だった。

すっかり、与えるものよりも得るものの方が多くなってしまった、久々の仕事(的なもの)だった。
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by flauto_sloan | 2008-11-22 23:56 | 交友
友の学びに復愁す
Sloanの友人Shintaroが、異業種交流会というSloan日本人の勉強会にて、自らの経験を発表していた。彼は私と同業の経営コンサルティングファーム出身であり、また友人としても非常に親しいので、彼の学びを聞くのが非常に楽しみだった*

彼の発表内容自体は割愛するが、同時期に似たようなプロジェクトを行っていたこともあり、聞きながら追体験すると共に自らを振り返る機会だった。


私の過去の経験を思い出すと、上手くいったもの、反省が多いものと色々あるが、個々のプロジェクトをケースとして分析することができるようになった。上手くいったときには上手くいくなりの理由があり、逆もまた然り。当時はただに自分を責めていた失敗でも、いま一歩引いて見ると、そもそも失敗ではなかったり、自分の所為ではなかったり、自分の所為であっても仕組みとして失敗するようになっていたり、というケースがある。

過剰な自己批判は自尊心を傷つけ、却って不能にしてしまう。寧ろ責めるべきは、ろくに状況を見極めずに自分を責めて満足してしまっていた、過剰な責任感という無責任さであろう。

成功しようと失敗しようと、要因を彼我に分け、再現可能なものとそうでないもの、不易と流行とに分け、そして学ぶべきものを理解ししないことには、学んだ気になっているだけで何も学んでいない。そういう意味で、学ぶに貪欲でなかったか、戦略的に学ぼうとしていなかったのかもしれない。


今回の留学で学んでいることは、学ぶとはどういうことかだと思う。日本の学校教育、アメリカの教育、社会に出てからの学習、どれも皆異なり、一長一短がある。私はそれらを相対化できずに、学ぶことや学び方の幅を畢竟十分に広げられなかった。


コアタームでは比較的日本流学習方法が通用したために、学ぶとはそもそもどういうことか、新たな知識を知り好奇心を満たす悦びを、幸いにも思い出すことができた。

その後の一年は、アメリカにおける教育に適応するために苦労し続けてきたように思う(未だ苦労している)。だがその苦労の中で、徐々に「学ぶ」とはどういうことかを体感し体得できてきたかのように思う。

残りの期間は、社会に戻る直前として、自ら経験を通じて学び続けるとはどういうことか、どうすればよいのかを学ばねばならない。そう気づかせ、覚悟させてくれた友人の発表に感謝したい。


復愁 (杜甫)
萬國尚戎馬
故園今若何
昔歸相識少
早已戰場多


* この発表を聞くために、Emanuel AxとYefim Bronfmanの夢の競演を諦めてまでボストンに残った。ちなみにこのコンサートは、聴きに行った妻が大いに感動していた。交響的舞曲などラフマニノフはCDになっていて、グラミー賞まで取った名盤となっている。非常にお勧め
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by flauto_sloan | 2008-11-21 14:05 | MITでの学び(MBA)
retrospective
NYでの会社説明会の手伝いをしてきた。Columbia (GSB, SIPA)、NYU、Whartonといった学校から日本人や日本語が流暢な外国人が訪れる。

私は同じMBAであり、かつそれなりの職務経験を持った者として、ファームの魅力をもっと知ってもらうべく、仕事ややり甲斐などを紹介していく。だが今回は、参加者に申し訳ないことに、自分が一番多くを学んだ気がする

参加者からの質問は、時に非常に鋭いものもくるが、多くは想定の範囲内だ。仕事をしていたときの採用の手伝い、昨年の会社説明会、そして今と、同じ質問を受けながら、回答が変化していることに気づいた

仕事中は意外と、教科書的な回答に多少の色付けをした程度の回答だったと思う。日々の業務に追われ、時に挫けながらも生き延びるためにファームのよさを信じ続ける、そんな状況ではなかなか仕事の意味を振り返ることはできず、信じているものの良さを伝えようとするのが精一杯だった。

昨年は、渡米して数ヶ月だったため、少し仕事を客観的に見られたものの、振り返って学びを再認識するための手法や心構えが不十分だった。

だが今年、Sloanにてもうすぐ1年半。コアタームでの基礎科目、経済学の面白さ、理系というアイデンティティ、そして今学んでいるリーダーシップやシステム・ダイナミックス。こういった学びを基に、過去のプロジェクト経験を振り返って、何が起きていたのか、私は実は何を学んでいたのかを分析・再認識できるようになってきたのを実感する。まさに序文で企図していたことが上手く回っている。

仕事を通じて実は多くを学んでいたのに、生存に追われてそれを振り返ることができず、気づきや学びの蓄積の機会を逃していた。だが今回の会社説明会で、ファームの存在意義を改めて確認し、自分の経験を語ることによって、自ら気づき、学びを抽出して蓄積していくことができた。

参加者にとっては、コンサルタントの経験を出来うる限りの知見と共に追体験でき、ファームにしてみれば興味を持ち応募してくれる人が増え、私は美味しい食事を楽しみつつ、自らの内省を参加者の頭を借りて行える。
Win-win-winの関係とはこのことかと思う説明会だった。
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by flauto_sloan | 2008-11-09 22:31 | NYでの生活
War for talent
昨年同様、ボストンオフィス主催のスローン1年生向け会社説明会があった。投資銀行志望者が減った分、さらに盛況になるかと思ったが、参加者は200人と昨年とほぼ同じ。会社説明会は少しでもコンサルティングに興味がある1年生が皆来るであろうから、投資銀行の衰退とはほぼ独立事象で、その割合はだいたい一定なのだろう(実際に応募するとなると業種間の魅力の差が表れるのだろう)。

投資銀行志望者の苦難
では2年生は、となると投資銀行志望者はかなりの苦戦を強いられている。投資銀行は1年生の夏にインターンをすることが採用の必要条件となっている。だがインターンをしても不況の所為で採用のオファーが出なかった人が結構いる。昨年と比較できないので、どこまでオファーが減ったのかはわからないが、かなり減っているのだろう*1

そうして投資銀行に就職できなくなった人たち、特にプロフェッショナル・ファームを志望していたの人の中には、コンサルティングに軌道修正をする人も少なからずいる。私もスローンに限らず2年生の友人から、会社や業界について質問を受けることが多くなっている。

War for talent
"War for talent" という言葉はあるが、世界の優秀な人材を獲得するため、国や企業は熾烈な戦いを繰り広げている。優秀な人材を獲得できる人気企業は、獲得した優秀な人材がさらに企業を成長させるため、さらに優秀な人材を多く集められ、好循環になる。

それが業種で見ると、投資銀行でありコンサルティングであり、またグーグルやアップルであったのだが、一角の投資銀行が崩壊してしまった。コンサルティングは結果として人材に恵まれるだろう。また地域で見た場合、アメリカの失点により、アジアや中東など他の地域の人材獲得競争力が相対的に増した*2

そんな中で、少子高齢化の日本はどうやって人材を育成・確保していけるだろうか。益々熾烈になる War for talent にそもそも本気で参戦するのか、どのような戦略を描くのか、いつまで参戦し続けるのか。これは政府や官僚が計画して終わりになることではなく、国民が他民族を受け入れてでも成長していきたいのか、という決断をしなければならない大きな問題だ。


これから就職活動が本格化する。友人の検討を祈るのみ。


*1 噂では、リーマンを始めインターンの採用時点で危険水域に陥っていた投資銀行ほど、インターンを多く採用したという。安い労働力の投入が必要だったということだろうか…
*2 実際、コンサルティングの中東オフィスはかなりの競争率だった。チームメイトがその競争を突破した一人だったが、話を聞くと、一緒にインターンをした学生の多くは川向こうのビジネススクールでも指折りの人材だったという

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by flauto_sloan | 2008-11-03 23:30 | ボストンでの生活
F-1と三つ子の魂
昨年のNew Portでのセイリングと同じように、今年も私の会社から派遣されている生徒と、夏にインターンをした生徒(2年生)とでファンイベントがあった。意外なところで、人間の学習の根深さと防御本能を実感した。

今回はボストン郊外のサーキットで、ゴーカートによるF-1レーシング。結構本格的で、時速60kmくらいまで出る。個人でタイムを競い合う。

優勝したのは、コアチームメイトのパトリック。見ていて明らかにスピードが違った。では私の結果は…かなり最下位に近いところだった。理由は恐怖。

幼い時に、ゴーカート(今回同様ガソリンエンジン搭載のもの)で大事故を起こし、頬を10針縫った。顔の腫れが2年間引かなかった程の重傷だったが、20年も経つと忘れていた。だが、再びゴーカートに乗ったとき、その恐怖がざわわと蘇ってきた。スピードなんてとても出せず、ただ早く終われ、と願いながら乗っていたのだからレースにならない。

ゴーカートに乗ると大怪我をする、と本能的に学習してしまったのだろう。三つ子の魂百まで、と言うが、まさに幼少時のトラウマ的な学習が呼び覚まされたのを実感した経験だった。


F-1はそんな結果だったが、その後の懇親会は和やかで楽しい。会社の同僚も、インターンをしたクラスメートも、非常に素晴らしい連中だ。話をしていても面白いし、頭の回転も速い人が多い。シンガポールとイギリスの関係やタイの政争といった堅い話から、誰と誰が別れたといった柔らかい話まで、楽しく盛り上がる。

来年会社に戻ると、今度は同僚として仕事をするのだろう。今から楽しみだ。
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by flauto_sloan | 2008-09-12 12:54 | ボストンでの生活
シミュレーションゲーム
c0131701_18525919.jpgいま、オペレーション入門のクラスで工場のシミュレーションを行っている。先週の日曜から今週の金曜までの5日間、いかに工場の生産性を高め、どれだけキャッシュを稼げるかをチームで競い合う。私のチームは、二人ともシミュレーションゲーム好きだということもあり、かなりはまってしまっている…

なかなかよくできたシミュレーションで、機械を買うかどうか、在庫水準をどう置くか、バッチサイズはどう設定するか…色々変数をいじって、その都度納期遅れを起こしたり在庫切れをしてしまったり、となかなか面白い。自分たちがクラスの中でどのくらい業績をあげているのかも見えるため、競争心を掻き立てられ、結果的にこれまで習った、キャパシティ、在庫、バッチサイズなどの復習をし、TOC(制約条件の理論)をどう応用すべきか考えさせられる。

前に仕事で関わった工場のプロジェクトで、隣のチームが実際にキャパシティのモデルを作って、どれがボトルネックかとかいくつ機械を買うべきだとか議論していたのを横目に見ていたので、このシミュレーションがどれほど実践的に作られているのかもよく分かる。勿論、現実は桁違いに複雑だが。

私のチーム(私と韓国人SYL君)はどちらも大手コンサルティング会社出身のアジア人。寮の同じ階に住んでいるので、深夜にロビーで議論しながら進めている。今日は一緒に晩御飯で焼肉を食べたのだが、そこで二人とも光栄のゲームファンだということが発覚。信長の野望に三國志に、ゲーム話に花が咲いた。二人とも今回の工場シミュレーションに異常なまでのやる気を出してるのは、コンサルタントだからではなく、シミュレーションゲーマーの性だったか

ちなみに、コーエー(現在はカタカナ表記)の松原社長はMIT Sloanの卒業生で、個人的にかなり応援している。
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by flauto_sloan | 2008-03-03 23:22 | MITでの学び(MBA)
ゲーム理論 - 東芝 vs サムソン電子 フラッシュメモリ戦争 -
ゲーム理論の宿題で、ゲーム理論を適用する問題を作り、自分で解くというものがあった。何を題材にしようかと思案し、ちょうど最近ニュースでよく報じられる、東芝とサムソン電子のフラッシュメモリをめぐる熾烈な競合を題材にした。

限られた情報とデータのみに基づき、かなり強い前提と粗い試算、さらに憶測も入った上での結論ではあるが、東芝の1兆8000億円の巨額投資は理に適っているように見える。小が大を飲むウェスチングハウスの買収といい、HD DVDの鮮やかな幕引きといい、西田社長は本当に喧嘩が上手い。

宿題の内容をケーススタディ風にアレンジし直して書いてみる。内容は全て公表されているものであり、コンサルティングの仕事で得た情報は含んでいないことを付記しておく。

フラッシュメモリ
今や知らず知らずのうちに2-3枚は持ち歩いているフラッシュメモリは、不揮発性メモリと呼ばれ、実用上は書き換えが何度でもでき、電源を切っていても情報が失われない記録媒体である。NOR型とNAND型という二つの構造があり、どちらも東芝によって開発された。

NAND型は小型化と大容量化が進んだ結果、デジタルカメラや携帯電話のメモリ、そしてiPodに代表される携帯音楽プレーヤーに使用され、価格下落が激しいながらも、市場は非常に高い伸びで成長している。2007年のNAND型フラッシュメモリの市場規模は139億ドルで、前年比12.5%の高い伸びを示している。Appleの発注減で市場の伸びが弱まるとの見方もあるが、今後も成長が見込まれる市場である。

サムソン電子
韓国のGDPの10%以上を占めるサムソン(サムスン)グループの中核企業であるサムソン電子は、1980年代に政府主導の積極融資(輸出産業と設備投資には非常な低利が適用された…1981年までは実質金利がマイナス)と、積極的な人材確保(東芝など日本人も多く移籍したといわれる)による、国を挙げてのハイテク産業振興策で急成長した。半導体事業はそんなサムソン電子の主力事業である。

1980年代後半に日本電気(NEC)以下日本企業が世界を制したDRAM市場でに参入すると、投資の増大と価格の乱高下に耐え切れず撤退する日本企業を横目にシェアを急拡大し、ついにはDRAMで世界トップシェアを獲得。2007年度では27%のシェアを占める

世界の半導体シェアランキングでも順位を着実に伸ばし、2007年度ではインテルに次ぎ世界第2位7.7%のシェアを占めるプロセッサのインテル、DSPのテキサス・インスツルメンツ、ファンダリのTSMCとDRAMのサムスンの4社はその徹底したフォーカス戦略により、2001年以降のハイテク不況でも巨額の利益を出し続けた数少ない半導体企業である。

DRAMに続く第二の柱としてサムソンが注力しているのがNAND型フラッシュメモリであり、先駆者の東芝を追い抜き、2007年度では42%もの圧倒的な第一位シェアを誇る。需要の拡大に押されて、フラッシュメモリの売上がサムソン電子の半導体事業に占める割合は2007年度で28%に上り、41%を占めるDRAMと双璧をなしている。

東芝(セミコンダクタ社)
東芝における半導体は、総合電機企業の一角として早くからの注力分野の一つであった。1980年代の日系DRAM全盛期には、半導体市場で世界をリードしていた。その後DRAMから撤退し、ロジックメモリの苦戦もあり、シェアを失うと共に世界ランキングでの順位を大きく下げた。ただしディスクリートと呼ばれる単機能デバイス分野で大きな利益を上げていたといわれ、収益面では他の日系大手企業よりも善戦していたとみられる。

DRAM撤退後は、フラッシュメモリおよびプロセッサに注力しており、半導体事業での営業利益が東芝全体の営業利益の半分を占めているといわれる。フラッシュメモリは東芝が発明した製品であり、舛岡富士雄氏による1980年のNOR型、1986年のNAND型の開発以降、先駆者として市場を創出していった。しかし後発のサムスン電子に追い抜かれ、2007年度のフラッシュメモリ市場では27%のシェアで2番手に甘んじている。

さらに近年ではIBM・ソニーと共同開発したCellチップ(プレイステーション3のコアチップ)の工場をソニーから買い取って完全に東芝の管理下におき、プロセッサ分野での競争力も確保しようとしている。

フラッシュメモリの投資競争
最新の半導体工場の建設に必要な費用は飛躍的に増大している。ムーアの法則と呼ばれる急速かつ継続的な技術革新と、効率化のために大口径化するシリコン(原材料)によって、半導体製造装置は高度化し、新たな生産拠点の立ち上げに必要な設備投資は数千億円規模へと急激に増えている。それだけの投資を単独で行える企業は限られており、寡占化が進んでいる。設備産業、固定費ビジネスの様相が強まったことと相まって、"Winner takes all (一人勝ちして総取り)" と呼ばれる現象が起きている。フラッシュメモリの生産も最先端技術を要するため、投資競争に残れる企業は限られている。

サムソンは拡大する市場でシェアを伸ばし、不動の地位を確立すべく、2006年に35億ドル(約4300億円)の巨額投資でテキサス州オースティンに新たに工場を建設し、月産6万枚の増産を行った。その後もDRAMと合わせて8000億円前後の投資を続け、フラッシュメモリ市場でのサムソンの優位性は揺ぎないかに見えた。

それに対して東芝は競合優位性を維持すべく、2007年後半には新たなフラッシュメモリの工場建設を1兆円規模で行うと報じられた。ところが、2008年2月19日に明らかになった東芝の投資は、1兆8000億円規模、工場も岩手と三重の二棟で、見込まれる生産量は現在の4倍という、予想を大きく上回る巨額のものであった。軌道に乗り、サムソンの出方如何では、フラッシュメモリでサムソンを追い落とし、世界トップシェアを狙える規模である。昨年東芝の西田社長は、三重の四日市工場でこう語ったと報じられている

「生産規模で世界をリードする。来年にもトップシェアが視野に入ってくる」

この東芝とサムソンの投資競争は一方で、供給過多を悪化させかねない。既に市場は過剰供給で価格下落が激しく、例えば2008年1月-3月だけで20%も下落すると見られている。フラッシュメモリの最大顧客の一つであるアップルはiPodの生産計画を下方修正したと報じられ、需要がさらに縮小する可能性さえある。

もしサムソンがさらに対抗し、新工場を建設してシェアの維持を行おうものなら、需給バランスは完全に崩れてしまいかねない。サムソンはこの東芝の大決断にどう反応するのか。

ゲーム理論的考察
今後の市場成長性、戦略に伴う2社のシェア推移、両社のコスト構造などを、いくつかの強い仮定の下で非常に粗く見積もり、両社の戦略的投資に伴う見返りを推算した。宿題に「極端に簡素化すべし」とあり、データも情報も限られているため、仕事では考えられない単純化だ。

そんな概算なので数値は省略するが、もしサムソンが同じ規模の追加投資を直ちに決断できるとすると、所謂「囚人のジレンマ」に陥る。つまり、東芝は投資を(撤回することなく)行い、サムソンは追加投資をすることがdominant strategy (相手がどういう出方をしても、合理的に判断したら採らざるを得ない戦略)であるが、双方が投資をすると供給過剰で、価格下落と投資の負担で結局両社とも利益を得られない。

実際は既に東芝が動いている。東芝の投資戦略を受けながら、もしサムソンが何もしないでいると、みすみす東芝にシェアを奪われるだけであり、高い固定費が仇となって利益は大幅に縮小しうる。結局投資をした方がまだ「まし」であり、サムソンは追加投資を考えるであろう。

2006年時点から考えると、サムソンが4300億円の投資で勝負をかけてきたところ、それを受けた東芝がさらに強力な1兆8000億円というカードを切り、サムソンにゲームを降りるか割の合わない「コール」をするかの選択を突きつけている状況だ。

これだけでも西田社長の勝負強さが伺えるが、ゲーム理論的にはサムソンはゲームを降りずにコールをすると考えられる。だが視点を広げると、サムソンはゲームを降りるかもしれないと思えてくる。

サムソン包囲網: DRAMでの苦戦
前述のように、サムソンの半導体事業は、2007年度でDRAMが41%、フラッシュメモリが28%の売上を占めている。第二の柱のフラッシュメモリで東芝に勝負を仕掛けられているが、主力のDRAMではさらに厳しい戦いを強いられている。

DRAM市場はシリコンサイクルと呼ばれる、約4年周期の激しい市場の波があり、今はやや下降局面で前年比7%減の315億ドルである。市況が悪化する中で、これまでのサムソンならばむしろシェアを拡大していたのであろうが、今回はシェアを2006年度の28.2%から2007年度の27.2%に落としている。依然シェアはトップであるのだが、競合は大きくシェアを伸ばし、同じ韓国のHynix Semiconductorは16.6%から21.3%へと大躍進し、サムソンへ肉薄する2位につけている。日本のDRAM最後の砦、エルピーダ・メモリも10.4%から12.2%へとシェアを伸ばし、4番手となっている。

サムソン電子の躍進の中核であり、市場を支配していたはずのDRAM市場は、今や上位4社の市場シェア合計が73.4%という四つ巴の混戦で、サムソンはその中でも苦戦をしている。DRAM市場で戦い続けるためには、巨額の最先端の生産設備をし続けなければならない。つまり、サムソンが中核事業でこれ以上シェアを落とさないためには、巨額の継続的な投資が絶対条件である。

実際にサムソンは2008年度でDRAMとフラッシュ合計で7700億円規模の投資をすると報じられている(2007年度は約8750億円)。これは当初予定に1800億円積み増したもので、その理由は「投資なしにこれ以上のシェア低下は免れない」と判断したからだという。

一方で2007年のサムソンの半導体事業での営業利益は約470億円で、充分な投資対効果が得られているとは考えにくく、またようやく健全化されてきた自己資本比率を悪化させてまでの大幅な投資増 (たとえばDRAMへ6000億をつぎ込みながら、フラッシュで東芝並みの1兆8000億を投資するなど) は考えにくい。

DRAMとフラッシュメモリで生産ラインを切り替えることは可能とはいえ、この投資を2つの分野へどう振り分けるかが重要である。中核のDRAMを堅持し、フラッシュを明け渡すか、DRAMを放棄し、フラッシュでも泥仕合を繰り返すか、両方へ程よく投資してジリ貧に陥るか。

東芝のレコンキスタ
サムソンがどう投資を配分するのかを推測するには、残念ながらデータが足りない。従って殆ど憶測・仮説でしかないが、プライドやブランドといった無形なものまで考慮すると、フラッシュメモリ市場での投資への見返りが先述のものから変化し得る。東芝とサムソンの意思決定は「囚人のジレンマ」ではなくなり、東芝が投資し、サムソンは投資しない(DRAMへ投資する)ことがナッシュ均衡(合理的に判断した場合に落ち着く状態)になる。

つまり東芝はフラッシュメモリ市場でサムソンに投資ゲームを降りさせることに成功し、首位を奪還することができるだろう。

喩えて言うなら、サムソンの本城(DRAM)がハイニクス(韓)-キマンダ(独)-エルピーダ(日)の連合軍に執拗に攻め立てられ、劣勢になってきたため、サムソンは支城(フラッシュメモリ)に十分な兵力(資本)を割けず、本城の兵力増強を優先する。それを見て取った東芝は、サムソンの支城へ守備兵の4倍の兵力を一気に投入し、かつての居城を奪還しようとしているように見える。

稀代の勇将、西田社長の戦略が吉と出るか凶と出るか。日本の半導体産業を応援している者としては、是非これを機に失地回復(レコンキスタ)をしてほしいし、できるのではないかと思っている。
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補筆
このレポートはチェックプラスを貰えたのだが、ゲーム理論においては、投資は必ずしも合理的に行われる訳ではない(戦略的に非合理性を持ちうる)というフィードバックを教授から受けた。そのフィードバックに対する考察までは私は行っていないが、重要な視点なので補足しておく。

参考: 東芝; サムソン電子; Gartner; iSuppli; ITMedia; その他記事検索
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by flauto_sloan | 2008-02-28 11:03 | MITでの学び(MBA)
元同期との集い
義姉の家にお土産を渡し、甥っ子とペットのトイプードルと遊んだ後、夜に会社の元同期4人で集まった。私が日本食が恋しかろうという計らいで、北陸料理を囲炉裏を囲んで食べる、粋なお店にしてくれた。多謝。

偶然にも美しい女性3人に囲まれた*。特にそのうち一人が近日結婚予定であり、式には参加できないため、その場を借りてお祝いを述べることが出来てよかった。今回の一時帰国は、つくづく結婚がメインテーマだ。


皆転職後も非常に頑張っていて、輝いている。凛とした美しさはやはり、内面から沸き起こるものだと思う。みな苦労をしてきたこともよく知っているだけに、今の活躍は素直に嬉しいし、刺激になる。さらに現在の仕事だけではなく、将来に何をしたいのかも、皆どんどん発展していて、益々面白く素敵だ。

思えば自分の同期は、大半の人がやりたいことと実現に向けたプランを持ち、早めに次のステップへ踏み出した人が比較的多かった。だが世界中に散らばってからも(実際、転職先職場や留学先は先進国から途上国まで多岐に渡った)、折を見ては集まり、お互いに刺激を受けながら、楽しく支えあっている。

早くから転職先で活躍している同期を見ていたため、キャリアの広がりを早くから意識でき、いつまで何をするために会社に残るべきかも意識できた。


留学と結婚を契機に自分の将来を考える今、根を共にしつつ異業種で活躍する彼女たちを見て、勇気や安心感が生まれた。私は留学後は復職するつもりだが、自分が本当は何をやりたいのかを模索する上で、彼彼女らは佳き相談相手である。ひょっとしたらいつかどこかでビジネスパートナーになるかもしれない。そんな同期を持てて、幸せだと思う。

あと、東男に京女と謂われるが、やっぱり京都弁を話す女性は色香があると思う**。


* その3人がこのブログを読むことが予想される
** 一番仲のよい同期が京都育ちで、「もう、ややわぁ」みたいな京都弁を話してもらったら…萌えた

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by flauto_sloan | 2008-01-27 02:28 | 交友