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国境なき医師団
国境なき医師団(MSF: Medecines Sans Frontieres)、というと日本ではまだ知名度があまり高くないのかもしれません。
MSFは1999年にノーベル平和賞を受賞した、世界70カ国で活躍している人道支援団体で、その名の通り世界中の貧困地域、紛争地域等へ医療を提供すべく、世界各国から医師が集まり、危険と隣り合わせになりながら人々を救けています。

今週は Harvard/MIT MSF Week として、MSFの医師がHarvardやMITで講演をしたり、ブース展示をしたりしています。今日はHarvard Medical School へ行き、実際に活動をしている医師のお話を聴いてきました。
内容はMSFが抱えている問題についてで、崇高な志と現実とのギャップが、資金面を除くと3つの問題点として顕在化しています。

(資金面の課題はもちろん重要です。非営利団体であるため、寄付金が主要な資金源なのですが、現在は米国で79%を個人からの寄付でまかなっており、製薬企業など法人は7%に過ぎません。中立性を保つために、大部分を民間から集めているのですが、それだけに規模の急成長はできません)

1. Neglected Diseases
アフリカ南部などの地域では、症例として少なくなった(眠り病やマラリアなど)、あるいはまだ重要視されていない病気があります。当然営利を目的とする企業の研究対象にはなり得ず、研究活動の1%にも達していない、「無視された病気」となっています。
MSFは1999年以降、Anti Malaria キャンペーンを始め、これらの病気に対する研究活動を始めていますが、規模もリソースも、企業の支援もまだまだ不足しています。

2. Malnutrition
アフリカで依然深刻な栄養失調児童を助けるべく、RUTF(Ready to Use Therapeutic Food)を配り、速やかな体重増加を促しています。

3. Barriers to Access
これがMSFの目下の頭痛の種と云えるでしょう。
1995年のWTO決議によって、知的財産権が国際的に保護されるようになったのですが、医薬品に関しては、人道支援上の制約となっています。
20年の特許が、life saving medicine にも trivial goods にも区別無く適応されているため、HIVなどに苛まされるアフリカの貧困地域で医療活動をしようにも、とても高くて薬が使えなくなってしまっています。一部企業から特別提供を受けたり(ただし量は不足)、ジェネリック薬を使ったりしているのですが、並行輸入や知的財産よりも人道支援を優先するといった現象が起きた結果、「MSFは知的財産権を侵害している」とマスコミから非難されてしまっています。
薬は金持ちのためにあるのか、すると人の命は金によって差があるのか、という悔しさが医師の言外に表れており、共感するとともに、企業活動と人道支援の共生の難しさを感じました。

ちょうど前日にPfizerのR&Dのトップの方の講演があり、研究開発のアプローチを改善しても、本質的に創薬には膨大な時間と労力と資金が必要であることを聴いており*、その効果的な回収のためのターゲティングやブランド維持の必要性を感じていました。企業の事情にしてみれば、実費でアフリカへ薬を提供することは自ら市場を縮小させていることにつながり、(少なくとも短期的には)企業価値を毀損してしまいます。

しかし企業の社会的責任が問われる昨今、人道支援という大義に対して、製薬企業は何をどこまでできるのか、Barrierとなるのか否かが問われている、と思いました。


今日聞き、感じたのは以上のようなものでしたが、会社の親しい同期がMSFと縁があり、MSF日本の状況を聞いたことがあります。
日本ではユニセフなどに比べて知名度が圧倒的に低く、実際の活動のインパクトの大きさに比べて、資金(寄付金)調達に非常に苦労しています。

背景には、他の先進諸国に比べて、日本における寄付金市場が非常に小さいことがあります。富裕層の少なさ、philanthropyの未成熟、遠くの病人より近くの他人といった共同体意識、等々様々な要因はありえます。
が、まずはMSFの活動を知り、自分では行くことのできないアフリカでの崇高な活動に対して、ここでできることから始めるべきではないでしょうか。

ちょっと説教くさくなってしまいましたが、是非一度MSFウェブサイトをご覧頂くことをお勧めいたします。


* そのため全て内製することをやめ、大学や研究機関など外部とのパートナーシップを強化している
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by flauto_sloan | 2007-10-31 22:48 | Guest Speakers
Halloween
今日はハロウィーン。

学校でもハロウィーンパーティーがあり、仮装したSloan生や、Sloan生の子供たちがやってきて賑っていました。

夕方に Harvard Medical School で国境なき医師団の講演を聞いた後、近くの住宅街を散策していると(現象面だけ捉えれば、迷った、とも謂える)、可愛らしい子供たちが両親に連れられて
"Trick or Treat!"
と家々を回っています。

c0131701_1613026.jpg流石に今は必ず親同伴だな、と思いつつ、道に迷った不審者に見られないよう、平静を保って小さな魔女がはしゃぐ様を微笑ましく見ていました。

20分ほど迷った散策した挙句、ついに電車の走る大通りにでました。
するとそこには、すっかり大人になった魔女たちが(写真参照)。
これはこれで微笑ましく見つつ、電車に乗って帰りました。


c0131701_1617123.jpg寮へ戻ると、中庭に先週の日曜に行われた Pumpkin curving でできたJack-O'-Lantern が並んでいました。
可愛らしいもの、オーソドックスなもの、MITらしくπやロケットをあしらったもの、寮の名前であるS-P (Sidney Pacific)を彫ったもの、様々にありました。
そして、かぼちゃ3つを使った M-I-Tもありました。
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さすがは世界一の工科大学。かぼちゃを掘る技術も一流でした。
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by flauto_sloan | 2007-10-31 22:06 | ボストンでの生活
Hack - Go Red Sox!
2004年のレッドソックス優勝時には、MITの象徴であるグレートドームの頂上にレッドソックスのマークが描かれました。
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昨日のレッドソックスの優勝を受けて、きっとなにかHackがあるのではないかと思っていたら…

やはりありました。
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最近グレートドームにLED光源を(おそらく無許可で)設置したらしく、赤いドームでした。

生ハックは初めてだったので、ちょっと嬉しかったです。
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by flauto_sloan | 2007-10-29 23:31 | MIT文化
フィードバック
今日は学校で二つのフィードバックがありました。
一つは悔しいもので、一つは嬉しいものでした。

一つ目は、Accounting(会計)の中間試験の結果が返ってきたものです。
労力的には一番力を入れたにもかかわらず、ケアレスミス等々に泣かされ、不本意な結果でした…

Harvard には"Primal Scream (リンク先のページ中央の写真参照)" と呼ばれる、試験前の夜中に裸で構内を走り、先に恥ずかしい思いをしてしまおう、という行事があるそうです。僕も走っておけばよかった…


そんな失意の中、二つ目のフィードバックがありました。
Communication Lab.という、2年生のTAがファシリテーターとして様々なコミュニケーションの練習をするクラスがあります。今日は一学期の前半を終えた区切りとして、チーム内でフィードバックを行いました。
良いところ、直すべきところ、将来適していると思われる職業、の順にフィードバックをお互いにしていきます。

私へのフィードバックは、
良いところ: 勉強にしろチーム内での発言にしろ、常に非常に高いクオリティでプロフェッショナルなアウトプットを出せる。さらにいつも協力的で、宿題などでチームを助けている
直すべきところ: せっかく正しい意見を持っているのだから、議論のもっと早い段階でそれを言うべき。そうすれば議論がスピードアップでき、みんなの時間も短くて済む
向いている職業: コンサルタント*、経営者

自分が思った以上に、みんな私の発言やアウトプットを認めてくれており、そして皆もっと私の考えを聞きだしたい、もっと自分を出して欲しいと言ってくれました。悪戦苦闘しながらも自分の価値を認めてもらえていたのだな、と思うと気が楽になりました。

でもだからこそ、それを開陳するタイミングやディスカッションでの立ち居地も、comfort zone をどんどん踏み出していかなければいけない、と強く薦められました。

このMBA環境ではリスクは殆どないのですが、恐らく自分で自分の中に「リスク」の幻覚を作り出しているのでしょう。漫画で天使と悪魔が頭の中で葛藤するように、自分の頭の中にもう一人の自分が居て、comfort zone を踏み出そうとすると、どんどんリスクを挙げてきて、discourage しようとしてきています。
仕事という外部プレッシャーがない現状では、自分の意志によってその幻覚リスクを打破しないといけません。今のところ、残念ですが必ずしもいつも出来ているとはいえません。

コンサルティングの仕事では、新しいことをしたり、何かを変えようとすると、クライアントからできない理由が10も20も挙がってきます。
それを論破し、裁き、乗り越えて、他者をその気にさせるのはできているのに、自分に対してできないとは!

恐らくは、学歴や成績といった履歴書上の過去の記憶と、世界的コンサルティング・ファーム出身というレピュテーションに縛られているのでしょう。
就職活動も特にしない予定であり、駄目な自分をも許容してくれる仲間がいる環境であるのなら、尚のことこれらをリスクに仕立て上げてくる幻覚に別れを告げ、自己を対象とした壮大な実験を行わなければ。


学ぶものを学んでいれば、成績など副次的だし、虚栄心など邪魔なだけ。
手段を目的化することなく、本質に立ち戻って、前向きに学ぶことにします。

* それにしても、なにかコンサルタントやゼネラルマネジメント以外の向いている職業を言って欲しかった…
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by flauto_sloan | 2007-10-29 15:03 | MITでの学び(MBA)
Red Sox、World Series制覇
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ボストン・レッドソックスがワールドシリーズを制覇です!!

松坂の1勝を含む4連勝で鮮やかな快勝でした。
最後の最後では崩れたものの、今シーズンを通じての岡島の活躍は見事でした。
ボストン生活一年目で、まさか優勝を目の当たりにできるとは!
(しかも先日の地区優勝の瞬間は文字通り眼前でした)

c0131701_13493817.jpgFinanceの中間試験を控えているものの、居ても立ってもいられず、試合終了直前にFenwayへ。
しかし、警官隊がものものしく周辺を閉鎖。
それでも、少しでも聖地Fenwayへ近づきたいというファンが押し寄せ、警官の設置したフェンスぎりぎりに大勢の人が集まり、優勝の瞬間に向けてどんどん盛り上がりました。

c0131701_13501036.jpg別にテレビもスクリーンもなく、日本のワンセグのような気の利いたものもないので、誰かがラジオを聞きながら実況中継です。
どんどん盛り上がるファンは、その辺の人を片っ端から胴上げし始め、
"Let's go Red Sox!!"のあらん限りの大連呼。

1点リードのまま9回裏になり、2アウトになり、2ストライクになり、
…そして優勝!!
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みんな飛び上がり、雄たけびを上げて優勝の喜びを爆発させました。
そして続々と集まるファン。
私は途中で帰りましたが、今夜のFenwayは寝静まることはないでしょう。

優勝おめでとう!!
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by flauto_sloan | 2007-10-29 00:33 | ボストンでの生活
World Series
c0131701_13283748.jpgいよいよワールドシリーズが始まりました。
我らがBoston Red Soxは、ベケット、シリング、岡島やパペルボンといった投手陣が大活躍で、早くもニ連勝、ボストンの街は大変な大盛り上がり様です。

MITのメインビルディングは、灯りで "SOX" と応援を送ってます。
先日は、Red Sox応援のHackもあったそうです。

バスも行き先の電光表示を "GO RED SOX" にして応援しています(残念ながら写真なし)

試合開始前には、小型機が大空に "GO" を描きました。
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昨日の第一戦は同期の家でみんなで観戦し、盛り上がりました。
日本では応援する球団が巨人や阪神や横浜と分かれるのでしょうが、ここではみんな Red Sox ファンなので、連帯感は十分です。

さあ、このまま優勝へ、Let's go Red Sox!!
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by flauto_sloan | 2007-10-25 23:58 | ボストンでの生活
Presidential Campaign
民主党の大統領候補、バラック・オバマ氏がボストンに遊説に来たので、会場のボストンコモンへ行ってきました。

会場は沢山の人で溢れかえっていました。民主党が圧倒的に強いボストンだけに、人気もあるのでしょう。
そして、黒人初の大統領と期待されるオバマ氏だけあり、黒人の支持者も多く集まっていました。ボストンはそもそも黒人が非常に少ない都市だけに、かなりの割合で参加していたのではないでしょうか。

c0131701_2133078.jpgそして散々焦らされた末に、ついにオバマ候補が登場。
オバマ候補のスローガンは "Change" であり、ブッシュ政権の悪弊を変え、未来のためには苦難も厭わず変革を起こす、という強いメッセージがありました。

まずはワールドシリーズ進出を決めたレッドソックスの賞賛でボストン市民を引き入れ、ゆっくりとフレンドリーな語り口で始めました。
徐々に演説はドラマチックに盛り上がり、様々な論点に対する彼の主張が繰り広げられます。
特に印象に残ったのは次の3つ。

アメリカを一つにまとめ、誇りの持てる国に戻す。宗教、人種、思想で分裂しているアメリカを一つにし、イラク政策の転換や環境問題への取り組みなどを通して、アメリカ人であることが国際社会で恥ずかしくなく、むしろ誇りに思えるような国に戻す。
環境問題はゴア氏の「不都合な真実」で火をつけられて以来、米国の一大テーマになっています。同じ民主党のオバマ氏も、環境、エネルギー問題への真剣な取り組み(エネルギー消費の効率化やエネルギー自給率の向上など)を公約していました。

貧困をなくすと共に、医療保険制度を拡充する。懸命に働いても十分な収入も社会保障もない現状を変え、労働が報われる社会を作る。医療保険も拡充し、国民全体がカバーされるようにする。
オバマ氏の母親は氏が若いころに亡くなったそうですが、その時に医療費のことを気がかりにして満足な治療を受けられなかったことを氏は無念に思っており、医療制度改革に対しての強い決意を訴えていました。この下りは胸を打ちました。

国民一人一人の声を聴き、一人一人の声が街を、州を、国を、世界を変える力があることを示す
これは公約と言うよりもブランディングだったのですが、最後に聴衆を巻き込む熱いスピーチでこのメッセージを訴えていたのが印象的でした。

総じて、民主主義を実感しました。民衆が国家元首候補の演説を聞くために積極的に集まり、その公約を真剣に聞き、自らの意思決定に繋げていく。候補のオバマ氏は、若さ故か若干カリスマ性に欠ける感じがしましたが、熱く民衆を巻き込むコミュニケーションで、自らの立場や考えを明確に述べていきました。この双方向のインタラクションと、民衆の政治への主体性が、日本と大きく異なると感じました。

それにしても、2年間の在学中にレッドソックスがワールドシリーズへ進出したり、大統領選挙があったりと、図らずも盛りだくさんな米国経験になりそうです。
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by flauto_sloan | 2007-10-24 00:33 | ボストンでの生活
MBA受験 (1/3) - GMAT、TOEFL
MBA受験の方法について、特にどこかで書いたことがなかったので、一つの例として簡単に書いてみます。この拙ブログをお読みの受験生の方のお役に立てれば光栄です。

時間の流れ順に、 GMAT、TOEFL、Essay、推薦状、Application、インタビューと、3回に分けて記していきます。

受験での時間軸としては、
5-6月: GMATのコース受講
6月: GMAT AWAのコース受講
6月-8月: TOEFL受験(3回)
7月: GMAT受験
8月-1月: 毎週1回(以上) エッセイカウンセラーとエッセイ推敲
1月-2月: インタビューセッションを5回受講
といったところです。
予備校はプリンストン・レビュー(現AGOS)に通いました。

GMAT
GMAT、TOEFLと共通ですが、これらのテストは多分に足切りの色合いが強いと信じていましたので、自分の中でバーを定め、そこをクリアした時点で終了して、本題であるエッセイに時間を振り向けることにしていました。結果的に、両テストとも一回目の点数を使うことになりました。

GMAT対策のポイントは、頻出問題に特化することと、手広く問題を解くよりも反復することだと思います。

GMATのように、歴史があり標準化されている試験では、知見ある人に頻出問題を聞いてしまうのが一番の近道です。その点、プリンストン・レビューの授業はお勧めで、過去問に精通した講師がポイントを絞って説明してくれます。授業の最後のころにもらえる虎の巻(頻出ポイントのまとめ)も重宝しました。

実践練習としては、実は過去問を一年分も解いていません。塾で与えられた練習問題と、問題集の練習問題を、コース受講1ヶ月目ころから繰り返し2-3度解き、受験前日に一度でも間違えた問題を全てと、未着手の練習問題を一セット解き、満点は取れなくても合格点は取れる状態で臨みました。結果は自分で課したバーのぎりぎりでしたが、良しとしました。

AWAは主に2パターンしかないので、それぞれをプリンストンの授業で練習し、自分なりのストーリー展開を編み出しておきました。

TOEFL
TOEFLの勉強としては、まず一度練習問題 (過去問または形式・時間共に本番同様のもの) を解いて、時間配分と自分の強み・弱みを確認しました。問題数が多いため、時間配分が極めて重要であり、自分の中で目安(各セクションへかける時間および一つの問題にかけていい時間)を定めました。思考よりも知識を問う問題が中心なので、30秒考えて分からない問題は5分かけても分かりません。

次にリスニングの精度とリーディングのスピードを上げるため、毎日英語を聞くようにしました。iPodでリスニング強化プログラムを繰り返し聞きました。リーディングは仕事で英文に目を通すことは多いので、特に意図はしませんでした。

前日に練習問題を2-3問解き、テストの感覚を掴んで臨みました。一回目でバーを越えたのですが、引き続き2回受けました。ですが点数が上がらないので見切りをつけ、エッセイに集中することに。

(つづく)
MBA受験 (2/3) - Essay
MBA受験 (3/3) - 推薦状、Application、インタビュー
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by flauto_sloan | 2007-10-23 16:58 | 学びの技術
MBA受験 (2/3) - Essay
エッセイ対策の要諦は、「いいエッセイ」のクオリティスタンダードをもつこと、自分に合ったカウンセラーを選ぶこと、そのカウンセラーと繰り返しブレインストーミングをすることと、そして少数でいいのでしっかりとエッセイを査読してくれる人を見つけることです。

「いいエッセイ」のクオリティスタンダード
あるべき姿たる「いいエッセイ」がどのようなものかを理解していないと、何をどう書いていいのかわかりません。あるべき姿なしに書き始めても、ピントがずれたり心に残らないものになってしまいます。
そこで、HBS合格者のエッセイ集を買い、一通り読むことで、どんな内容を、どういう構成で、どう表現するのが「いいエッセイ」なのか、自分なりに気づいた条件・基準を書き出し、折を見ては自分のエッセイがこれらの基準を満たしているかを確認しました。最後はみな「いいエッセイ」だったと思っています。

カウンセラー選び
カウンセラー選びはエッセイのクオリティと、長丁場のMBA受験のやる気に関わるので重要です。私はインターフェースとプリンストンレビューでカウンセラーを選び、自分の価値観との近さ、経験の豊富さ、性格、および費用でプリンストンのカウンセラーを選びました (残念ながらそのカウンセラーは退職して留学してしまったので紹介できません…)。

私は自分の根底の価値観は音楽家のそれだと思っているので、同じ芸術系で演劇のバックグラウンドを持つ方を選びました。価値観が共感できるがゆえに、鋭い指摘やあるいは賞賛があり、毎週土曜に通うのが楽しみでした。毎週土曜の13時の同じスロットを予約し続け、どんなに仕事が忙しくても必ず行くように自分を仕向けました。

ブレインストーミング
エッセイの内容は、仕事7割、課外活動2割、プライベート1割といったところです。基本的にプロジェクトの内容からとり、苦労や困難をどう乗り越えて成功に繋げたか、そこから何を学んだかを書いていきました。重要なのは題材探しとプロジェクトの意味合い出しで、カウンセラーの最大の価値はここにありました。

不思議なことに、本当に苦労したプロジェクトというものは記憶の奥底に沈めてしまっているらしく、エッセイのドラフト段階では題材にあがってきません。そこを、カウンセラーに繰り返し
「こういったリーダーシップをとったことはないの?」
「同じような話ばかりだけれども、本当は全然違う経験もしているんじゃないの?」
「自分にとっての成功プロジェクトを挙げているけれども、自分よりも会社への貢献が大きかったプロジェクトもあるんじゃない?」
等々聞かれ、一緒に過去を掘り出していくと、なかなか面白いものが出てくるものです。結果的に、あまりに辛くて、最初は思い出せなかった過酷なプロジェクトについて一番多くエッセイに書きました。実は一番インパクトの大きい題材だったのです。一人で書いていたらこうはならなかったでしょう。

また、このように途中でいい題材が見つかることも多いので、本命校を最初に持ってくるのは得策ではありません。

題材を見つけたら、なぜその題材をこのエッセイの答えとするのか、その経験を通じて何を考え、何を行い、何を得たのかについて、繰り返しカウンセラーと話し、原稿を練り上げていきました。当時は平日は九州のクライアント先にいて、帰京した金曜の夜に一気にエッセイを書き直していたため、事前に十分な推敲ができず、カウンセリングの時間とカウンセラーの頭を使って推敲する状態でした。そこでカウンセリング中はブレストに集中するため、ボイスレコーダーを持参して自分でメモは殆ど取らずに対話しました。

査読
カウンセラーにまずエッセイを査読してもらうのですが、他にも厳しい意見をつけてくれる人を、少数でいいので持つことが肝要かと思います。私の場合、父が米国の大学で教鞭を執っており、admission側だったことがあるので、最後は父に査読してもらいました。
カウンセラーはストーリーを重視し、父は論理構成を重視していたため、カウンセラーと完成させたはずの原稿ですら真っ赤になって帰ってきました。が、めげずに最後の練り上げを繰り返し、最終的には主旨と論理の明確な、それでいてストーリー性のあるエッセイになりました。
このように、見る視点の異なる査読者を複数持つことで、よりよいエッセイになっていきます。

その他
エッセイ課題は何度も読み直し、「問題の裏にある問い」を把握した上で、エッセイ全体として自分を立体的に見せることが重要です。強みも弱みも、仕事も遊びも、硬さも柔らかさも表現しました。

また、私は家族という、かなりプライベートな題材のエッセイも混ぜましたが、どうしても伝えたい熱意とメッセージがあれば構わないと思います。私は自己を表現する上で欠かすことができないことがあったので、敢えて書きました。結果的には、自己評価も周りの評価も一番高いエッセイとなりました。

MIT Sloanはカバーレターも求めてきますが、基本的に草稿から練り上げるプロセスはエッセイと同じです。ただ様式に関しては決まりがあるので、カウンセラーのいうことに素直に従いました。

(つづく)
MBA受験 (1/3) - GMAT、TOEFL
MBA受験 (3/3) - 推薦状、Application、インタビュー
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by flauto_sloan | 2007-10-23 16:02 | 学びの技術
MBA受験 (3/3) - 推薦状、Application、インタビュー
推薦状
巷間、MIT Sloanはコミュニティ意識が強く、Sloan乃至はMIT卒業生の推薦状が有利と云われています。私は懐疑的で、他校と同じ程度だと思っています。一度こういう噂が立つと、みなMIT卒業生の推薦状を取り付けてくるため、いきおい合格者の多くがそういう推薦状を持った人になったのでしょう。不合格者にもMIT卒業生で揃えた人は多いはずです。
…とは言うものの、私も大事をとってSloanにはMIT卒の推薦者で揃えました。

推薦状を書いてもらったのは、日本人上司、日本人元上司、アメリカ人上司、クライアントです。学校ごとに条件や質問内容が異なるので、それに応じながら私を多面的に表現できるように推薦者を選びました。
言うまでもありませんが、自分のことを仕事面でよくわかっていて、かつサポートしてくれる人を選びましょう。

Application
レジュメ、エッセイ、推薦状を踏まえたうえで、カバーできていない強みや経験を最大限盛り込みました。ちょっとしたリーダー経験も、カウンセラーと相談すればもっともらしいタイトルになります。私的勉強会の幹事も、ワークショップのオーガナイザーに早変わりです。
アメリカン人のアピール力は物凄いものがあります。恥ずかしがったり、謙虚になったりせずに、臆面もなく自己アピールです。嘘をつかない程度に。

インタビュー
各校のインタビューの質問内容はネットで公開されているので、それをもとに自分なりの答えを用意し、繰り返し話す練習をしました。すぐに英語が口をついてでるようにするのが最大のポイントだと思います。

エッセイやレジュメに書いたことは全て1-2分で語れるようにしました。MIT Sloanのインタビューは、エッセイ課題のどれかについて、エッセイに書かなかった事例で語ることが求められます。一通り別の題材を用意しておきました。
英語がすぐに口をついて出てくるよう、家では帰国子女の妻と英語のみで話しました。英語開始二日目に、「なんか英語をしゃべっていると(細かい表現や婉曲表現がなく、ストレートな物言いになるので)可愛くないよね」と、( )の中身を抜かして言ってしまい、妻にえらく怒られました… ともあれ、何らかの英語をしゃべる環境を作り出せると有利です。
さらに、ビデオテープで自画撮りをし、話すときの癖やアイコンタクトなどを確認し修正しました。

これらを行いながら、予備校で模擬インタビューを行い、当日は自信を持って臨みました。面接官と和気藹々に話すつもりでちょうどよかったです。


以上が私のやり方です。
私個人のスキルや経験で最適化した勉強方法なので、誰にでも通用するとは全く思っていませんが、なんらかのヒントになれば幸いです。


MBA受験 (1/3) - GMAT、TOEFL
MBA受験 (2/3) - Essay
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by flauto_sloan | 2007-10-23 15:06 | 学びの技術