MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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6つの海と苦難な航海
MITのミッション
昨日、Sloan class of 2009 全体でのオリエンテーションがありました。
Welcome speech はMITの総長が行い、MITのミッションは
"to develop princepled, innovative leaders who improve the world and to generate ideas that advance management practice" だ、と話しました。
前半の世界を率いるリーダーを育てる、という意味では例えば Harvard Business School の "We educate leaders who make a difference in the world" に近いものはありますが、革新(イノベーション)で世界を変えていく、と標榜するところがMITらしい、と思いました。

クラス分けとチーム分け
その後、390人の生徒が "Ocean" と呼ばれる6つの cohort group に分けられました(要はクラス分け)。
私は "Indian Ocean" で、教室に行くと2年生が待ち構え、みんなで "Indian Ocean, Indean Ocean, I-O, I-O!" と唄う元気さ。ああ、この陽気な雰囲気がアメリカだなあ、と感心してしまいました。

自己紹介や簡単なゲームをした後、今日の最大の関心事、チーム分けがありました。
多様性をチームに持たせ、密にコミュニケーションをとらせることによって、チームワークを学ぶことに加え、異なるバックグラウンドの個人間での学びの機会を大きくすることが目的です。
…ですが、6人チームで4人がコンサルタント、そのうち二人が同じファーム、金融出身者なし、という、職務経験的にはいささか多様性が低いようなチームではありました。
以下のような5人がチームメンバーです。

c0131701_13503649.jpgナッチョ (チリ): 留学生用ワークショップでも同じチームで、しかも私と同じ会社のコンサルタント。いささかクセのあるロジックを展開するものの、尊敬すべき自信と愛嬌を持っています。

エイミー (米国): MITでMS(Master of Science)を取った、やや学者肌の才媛。コンサルタント出身で、いつも存在感のある発言をしています。エネルギー問題に多大な関心をもっています。

イタイ (イスラエル): 世界最大の半導体企業、Intel のエンジニア。かなり気さくかつ気ままな人で、愛すべき存在。

パトリック (レバノン→米国): E&I (Entrepreneurship & Innovation) という特別プログラムの参加者。航空産業出身で、企業家精神溢れ、議論でもリーダーシップを発揮し、まとめ役を買って出ます。

アイリーン (米国): 経済コンサルタント出身で、やや物静か。バイオテクノロジーに深い関心を示しています。

みなさすがに頭がよく、議論も活発かつ無駄が少ないのがよいところです。
これから半年間は緊密にやり取りをするので、仲良くなってもっと色々と語り合わないと。


始めに心がけること
これまで会社のトレーニングなどで学んだり、教職にある父から言われたりしたことを肝に銘じておきます。

1. "He is quiet in the class" = "He is dull"
アメリカでは、どんなことでも質問し、発言することを通じて理解を深めていきます。勝手なAssumptionを置いて、分かったつもりになっているのは、真に学ぶことを放棄していることになります。60-70%を理解して、初めて質問ができて、そこで100%の理解に持っていく。このプロセスが米国の学習スタイルです。
仕事では「わかったつもり」を嫌っているのですが、英語だとつい億劫になってそうなりがちです。また、発言しないとますます発言できなくなっていってしまいます。始めから、どんなくだらない質問でもしていかないと後々自分の首を絞めていくので、今以上に質問しないといけない、と心しています。

2. マウンティング
「人は第一印象で決まる」と言います。この点、十分チームをimpressできなかったのではないかと反省。変に卑屈になったりネガティブになったりせず、積極的に自分をぶつけていかないといけません。
マウンティングで遅れを取った分、チーム内での自分の立ち位置を定め、チームに貢献していかないと。上の5人のリストに自分を加えたとき、何番目に自分が書かれるのかで、チームへの貢献度が決まります。得手不得手は誰でも持っているもの。得手を伸ばしていきます。

3. リスクをとる
トレーニングや授業はリスクが無い環境ですので、たとえ間違ったり、的外れなことを言ったりしても、この先に影響があるわけではありません。
頭ではそうではないと分かってはいるのですが、アジア的教育を受けた身としては、馬鹿な発言や、ベーシックな質問をしてはいけないのでは、と考えがちです(韓国人のコンサルタント出身者も同じことを言っていました)。
特に予習したことや準備していたことと全く異なる方向に議論が進んでいったとき、いかにリスクを取って(実際はリスクなどないのですが)、自分の意見を発信するのか。これが求められ、試されており、またそれを通じて学ぶ環境となっているのです。


これらを肝に銘じ、英語を厭わずに自分を奮い立たせていかないと、学べません。どんなにブロークンな英語でも、"He is noisy" と言われるくらいに(そして日本人に白い目で見られるくらいに)発言していかないと、とこの場を借りて決意表明します。

* ちなみにタイトルは、敬愛するメンデルスゾーンの「静かな海と愉快な航海」からもじりました
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by flauto_sloan | 2007-08-28 21:30 | 交友
Pre-Term
c0131701_2485857.jpg今週はPre-termの授業がありました。9月に正式な授業が始まる前に、基礎的な知識を確認または学習するためのものです。DMD(統計)、Accounting(会計)、MicroEconomics(ミクロ経済)、Finance(ファイナンス)の4教科あり、MITの教授ではなく、ゲスト講師などが授業を行っています。学んだことと、授業の形式はまさにMITらしいものでした。

学んだこと
1. DMD (Data, Models and Decisions)
統計を基に意思決定をするための分析手法を学びます。講師はPh.Dをとったばかりの女性で、確率や統計の基礎をおさらいし、ディシジョン・ツリー(意思決定の場合分けを樹状に展開し、それぞれの場合での結果(投資に対するリターンなど)の期待値を計算して、意思決定に役立てるもの)などを練習しました。
初日は足し算のしかたなど、超初歩的な数学(というか算数)から始まり、かなり面食らいましたが、最後には二項分布や正規分布を取り扱いました。

2. Accounting
これはひたすら仕分を練習。昔に受けた簿記の試験を思い出しました。会計の用語を英語でなんと言うのかの学習にはなりました。

3. Microeconomics
理系だったため、経済学を体系的に初歩から学ぶ機会がこれまでなかったので、いい機会でした。講師はSloanの卒業生で、McKinseyのボストンオフィスで現在働いている人でした。このスペイン訛りの講師がとても面白く、一番の人気授業でした。なんでも、Sloan 2年生のときに”Best TA”に選ばれた人だとか。内容的にも需要供給曲線から、独占、補助金、関税といった内容までカバーし、とてもいいものでした。

4. Finance
この授業は、ファンドのパートナーや、もとモルガン・スタンレーだった人などを3日間で一人ずつ招待し、ファイナンスに関する講義をしてもらうものでした。
スピーカーによるばらつきが極めて大きく、正直言って打率は1/3でした。初日は経済学のPh.Dのあとにモルガン・スタンレーでオプション取引をしていた人で、自分の経験に基づいた含蓄ある授業でした。特に記憶に残ったのは次の3つのアドバイス。
”Finance is hard to escape”: ビジネスをやる以上、ファイナンスは常について回る必要なものであり、また企業も幹部候補生たる者にはファイナンスの理解を期待しているので、しっかりと学ぶべき。
“Don’t be afraid of being confused”: 講師の方はミクロ経済でPh.Dを取ったときに散々頭を悩ませ、その後証券業界に入ったら、また改めて混乱したそうです。悩まない、混乱しないで意味のあるものは学べないし、いつまで経っても、その都度悩んで当然。そういうものだとして勉強すべき。
“Why am I studying this? - Almost everything is useful”: 学んでいる時には「こんなのやっていて意味あるのだろうか」と思うことがあっても、数年後には必ず何らかの役に立つので、信じて勉強すべき。

二日目は早口でお喋りなウォール・ストリートのおじさん。何を言いたいのか分からず仕舞い。三日目はボストンにあるファンドのパートナー。授業もスローで、あまり感銘を受けるものではありませんでした。


授業の形式
授業は教室だけでなく、MITのネットワーク内ならどこでも受けられるものでした。
教室の後ろからカメラで授業を撮影して、リアルタイムでネットワークに放映していたため、講堂に入りきらなかった生徒は隣の小教室でスクリーンを見ながら授業を受けることができました。
さらには、学生寮の共用テレビでもチャンネルを合わせれば見ることができたため、最終日は学校へ行かず、同じ寮の中国人と韓国人の友人と、寮のミーティングスペースで一緒にテレビを見ながら(くつろいで)授業を受けていました。ユビキタス(?)な授業というのが、MITらしいですね…


ともあれ、まずはプレタームを完了。来週はオリエンテーションです。
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by flauto_sloan | 2007-08-25 00:44 | MITでの学び(MBA)
MIT Songs
MITの新入生には、”How to Get Around MIT”という冊子が配られます。MITで学び、生活するうえでの様々な注意事項やアドバイスが載っているのですが、巻末に非常に面白いものがあったのでご紹介をば。
学部生の間で唄い継がれている歌です。バーのある寮もあるので、そこではきっとビール片手に唄っているのでしょう。そんな中から二つほど抜粋。


The Engineers’ Drinking Song (Lady Godiva)
Godiva was a lady who through Coventry did ride
To show the royal villagers her fair and pure white hide.
The most observant man of all, an engineer of course,
Was the only man who noticed that Godiva rode a horse.

(Chorus)
We are, we are, we are, we are, we are the engineers.
We can, we can, we can, we can demolish forty beers.
Drink rum, drink rum, drink rum all day and come along with us.
For we don’t give a damn for any old man who don’t give a damn for us!

She said “I’ve come a long, long way, and I shall go as far
With the man who takes me from this horse and leads me to a bar.”
The men who took her from her steed and lead her to her beer
Were a bleary eyed surveyor and a drunken engineer.

(概訳)
ゴディバ夫人はコヴェントリーを馬に乗っていた
領民に誠実さと白い肌を見せるために*1
一番観察眼が鋭い男、言うまでもなくエンジニア、
彼だけはしっかりと確認していた – ゴディバが馬に乗っていることを

我ら、我ら、我ら、我ら、我らこそはエンジニア
我ら、我ら、我ら、我ら、我らにゃビール40杯くらい軽いや
ラムを、ラムを、ラムを日がな一日飲んで一緒にいようぜ
どうせ誰も気にしちゃいないさ

彼女が「ずっとずっと乗ってきたから、どなたか馬から下ろしてバーへ連れて行って」と言ったところ
馬から下ろしてビールに誘ったのは
しょぼしょぼな目の測量士とぐでんぐでんのエンジニアさ

こんなのがずっと続く歌です


M.I.T. (To the tune of “Let It Be”)
When I find myself in times of trouble,
Charles Vest*2 comes to me,
Speaking words of wisdom: MIT.
And now I find I’m losing
What’s remaining of my sanity.
I’m told that that’s expected: MIT.
MIT, MIT, what have you done to me?
I think that I’m OD’ing; too much technology.

And even though the night is cloudy
There’s a light that shines to me.
It must be a laser: MIT.
And if the light proves dangerous
I’ll go to the infirmary
Provided it is open: MIT.
MIT, MIT, computer running free
Athena’s*3 at the stem of everything I see

I wake up to the sound of lectures
Some professor’s telling me
Du/dh = BS –du(dt)

Although the course seems difficult
The catalogue says it’s elementary
Everything’s so simple: MIT.
MIT, MIT, you weren’t true to me.
You promised me an education, and gave me misery.

And when I’m doing a problem set
I find they’re all too hard for me.
There will be an answer: MIT.
I’ll go and threaten the tool next door
And he will do them all for me.
Cheating is so simple: MIT.
MIT, MIT, I’m as desperate as can be
If a B’s a bit too much I’ll settle for a C.

I gaze at the towering building
And emotion sweeps all over me,
Standing on the campus: MIT.
How many times I’ve thought of jumping
From the building that I see*4.
That is not the answer: MIT.
MIT, MIT, you don’t agree with me.
A dome is not a home: MIT.

ビートルズの"Let It Be"の替え歌です。
訳は省略しますが、悲哀が滲み出ていますね…
こんな歌を作るあたりもオタク(Nerd)文化のMITらしい…


*1 ゴディバ夫人(チョコレートのブランドの由来でもある)の故事より。重税に悩むコヴェントリーの領民を救うべく、ゴディバ夫人が領主である夫に負担を軽くするよう求めたところ、夫に「裸で馬に乗って領内を周ったら考えてやる」と言われたため、実際に裸で街を周った、というもの。領民は感動して皆家にこもり窓を閉めて夫人を見なかったが、ただ一人ピーピング・トムという男が覗き見をし、天罰を受けて失明したとされる(歌に出てくる測量士のことだと思われる)
*2 1990年から2004年までのMIT学長
*3 MITが開発し、校内で実験しているネットワーク・システムの名称
*4 MITは不幸にも全米トップクラスの自殺率で知られています。この冊子にも、生徒がバーンアウトしないための心構えや、メンタルヘルスのサポートについて詳細かつ豊富に載せています

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by flauto_sloan | 2007-08-24 23:53 | 音楽・芸術
International Food Party
8月7日からの2週間弱、Communication and Culture Workshop (CCW) という、米国滞在経験の無い、もしくは少ない留学生向けのオリエンテーションがありました。ここでは異文化によるコミュニケーションギャップとその埋め方を皆で議論し、同時にビジネススクールで基本となるグループワークやケーススタディを実践し、9月からのコアタームへの準備を行いました。

この2週間のCCWでの学びは、クラスの中で自分が貢献できる分野を知ったことでした。ですがこの学びは別トピックで書き留めることにします。

CCW最終日だった木曜の夜に、CCW参加者で “International Food Party” を行いました。クラスメートがそれぞれの国の料理やお酒を持ち寄り、みんなで騒ぐ、というものです。もとはMIT生協のフードコートでのランチ中に、みなで日本食(もどき)、中華(もどき)、イタリアン(のアメリカ風)を食べながら、「それぞれの国のauthenticな料理を持ち寄ったら、面白いよね」という話になったことから始まりました。そこから、じゃあ場所はどこがいいか、せっかくだからクラス全員に呼びかけよう、と話が進み、ミゲルというクラスメートがリーダーになって、このIFPが企画されました。

会場には、施設の新しさ、共有キッチンの存在、アルコール許可の多目的スペースの広さで、我が寮Sidney-Pacificが選ばれました。

c0131701_13571734.jpgちょうど同じ寮なので、私は味噌汁を鍋一杯に作ることにしました。スープ類は遠くから運ぶことが難しく、また運んでも冷めやすいので、寮生である私が作るのに適していると考えたためです。さらに、作るのが簡単で美味しい。
幸い近くの韓国食材店で味噌とわかめを手に入れ、スーパーで豆腐と葱(こっちの葱は白い部分が少ないので多目に買いました)を購入し、鰹節でしっかりと出汁をとって豆腐の味噌汁を作りました。


夜7時に宴が始まると、徐々に人が増えていき、最終的には部屋から溢れるほど。60人のCCW参加者の大半が来た上に、Significant Others (同伴者)や子供も来たため、大賑わいでした。料理は手まり寿司、お好み焼き、チジミ、ブルコギ、水餃子、ロシア風ラビオリ、メキシコのチーズパン、レバノン風ちまき、ダール豆のカレー、トルコのケーキなど盛り沢山。お酒も日本酒、焼酎、マッコリ、ウォッカ、コロンビアの”Fire water”という蒸留酒、メキシコのビール(塩、ライム、タバスコを入れる)などなど、まさにグローバル。ロシア勢とラテン勢が強いお酒を一気し続け、私も時折混ざっては強烈な酒精に喉を焼きました。

私の味噌汁は好評だったのですが、二回ほどおたまがロシア勢に奪われてしまい(彼らはラビオリを掬うためのおたまを持参しなかった) 、「美味しいそうだけど飲めない…」と言う人がいるうちに、段々と冷めていってしまいました… 残念。でも最終的には、みんなに喜んでもらえました(北方領土と異なり、おたまは奪還できました)。

c0131701_13544350.jpg宴も盛りのころ、巨体のロシア人セルゲイが「静粛に!」と号令を発すると、企画をしたミゲルがスピーチ。みんな来てくれてありがとう云々と話していると、突然、
「今日は実は僕の25歳の誕生日なんだ。ケーキを買ってきたのでみんな食べて欲しい」
と告白。みんなで大喝采で “Happy birthday” を歌い、ミゲルの顔にケーキのクリームを塗りたくってお祝いしました。
それにしても、もともと水曜に予定されていたこのパーティーを、会場がとれないと木曜にわざわざ延期して、自分で盛大な誕生パーティーにしてしまうとは、ミゲル、なかなかの策士でした。


度重なる一気や、大勢の人々の熱気で、少しずつ疲れを見せる人が現れ、10時過ぎには大分人が減ってしまいました。ただ、敗退していくアジア勢に比べ、ラテン勢の元気なこと。彼らは一晩中でも飲める勢いでした。日本勢は子連れの家族が多かったこともあり、比較的早く前線縮小。寮なので帰り道の心配がなかった私も、11時ごろには顔を真っ赤にして、ふらふらしながら退散しました。

c0131701_13555414.jpgやっぱり仲良くなるには、アルコールが効きます! これは世界の真理らしいです。
ウォッカの一気のとき、セルゲイが言っていました。
“We are all different, but we are all together!”

こんな仲間たちとの、楽しい2年間が始まりそうです。
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by flauto_sloan | 2007-08-19 16:20 | 交友
英語を聴き話すための秘訣(サマースクールでの学び)
7月中はニューヨークに滞在し、コロンビア大学のサマースクール(American Language Program: English for Professional Purposes)に通っていました。
このサマースクールは、ビジネススクールに進学予定の人を対象に作られており、ビジネスで必要となる英語のスキル、特に「相手の言っていることを理解するスキル」と、「自分の考えを説明するスキル」を向上させることを主眼としていました。
c0131701_161343100.jpg

3週間のプログラムで、世界中から集まった30人弱のメンバー。MBA進学者は半分くらいで(ほとんどは当然ながらコロンビアのビジネススクール)、授業や課外活動、パーティーなどを通じてすっかり仲良くなりました。今でもNYに行くときにはコロンビアMBAの友人に会っています。

この3週間で学んだことは、何よりも「予期して英語を聴き、話す」ことの重要性でした。


予期して英語を聴き、話すこと
講師のJaneが繰り返し言っていたのは、「英語のリスニング力は、次に来る単語、文章、トピックを予期できるかどうかで大きく変わってくる」ということでした。同じダイアログも一度目よりも二度目のほうがよく聴け、未知の内容よりも土地勘のある内容の方がよく聴けます。これは二度目や土地勘のある内容だと、次に話される内容を先回りして予想することができ、その分聴いた内容の理解が早くなるためです。
授業では、スターバックス創業者のシュッツ氏のドキュメンタリーや、映画「エンロン」などを取り扱ったのですが、それらを流す前に必ず予備知識を与えられました。すると確かに聴き取りやすさ、理解のし易さが全く異なり、かなり驚きました。これまでに大学受験やTOEIC、TOEFLなどでは好成績を修めつつも、どうしても実践的な英語には苦労していた私には、なかなかに目から鱗でした。


3つの予備知識層
Janeから教わったことを自分なりに構造化すると、英語を予期するために必要な予備知識には3層あり、表層的なものから
言語層: 単語、表現、言い回し
内容層: 登場人物や取り扱われている出来事
常識層: 内容の理解や評価をする上で前提となっているアメリカ人の常識

があると考えます。

第一の言語層の理解は、大学受験や各種試験でのボキャブラリーが利いて、大きな問題はありませんでした。逆に言えば、テストであればこの層での勝負しかなかったのです。ここを強化するノウハウは自分なりに蓄積していますが、私には新たな学びではなかったので、開陳するのは別の機会にします。

第二の内容層の理解は、所謂「土地勘」の有無に大きく左右されてしまっています。ビジネスに関する内容でも、これまでコンサルティングの仕事で取り扱ったことのある、製造業や自動車業界の話であればかなり詳細に聞き取れますが、例えば経験の少ない金融の話は苦手でした。この層を強化するには、授業による勉強をしたり、ビジネス書を始めとした数多の書物を読んだり、映画を観たり、講演を聴いたりすることで、知識を豊かにしていく必要があります。私にとってMBAの二年間は、この層を豊かにすることが第一義的な目的となるのでしょう。

第三の常識層の理解は、実は極めて重要なのですが、なかなかに築きあげるのが難しいものです。誰しも、アメリカのコメディを見たり、アメリカの映画館で映画を観たりすると、「なぜここで笑いが起こるのか?」と思ったことがあるかと思います。これは笑うための常識や背景を理解していないために起こります。

例えば、授業で取り上げられた2002年ごろの風刺画に、”Accountant”と題したものがありました(スキャナーがないので載せられないのが残念ですが)。胸に”A”と書かれた服を着ている、中世の農婦が、周りの女性に白い目で見られているものです。これは二つの常識が結び付けられていました。

一つは2002年ごろのエンロン・スキャンダルで、アーサー・アンダーセンの会計士(accountant)が会計操作を行い、事実上破産していたエンロンを見かけ上超好業績企業に仕立て上げていたため、会計士に対する社会的評価が極めて悪化し、白い目で見られるようになったもの。もう一つは、中世では不義密通をした女性に対し、胸に”A”の文字を書いた服を着せることで、村八分状態の制裁を加えたという歴史的背景。この風刺画は、これら二つの常識・歴史を理解して初めて意味がわかるものでした。

別の身近な例では、スーパーのレジでデビットカードにより決済しようとしたとき、レジの人に”Cash back?”と聴かれたのですが、これが最初は全く聞き取れませんでした。面白いことに、帰国子女である妻も聞き取れませんでした(スペイン語の訛りがあったとはいえ)。”Cash back”とは、デビットカードで金額を多めに、例えば$15の買い物に対し$40で決済し、差額の$25をレジから現金で受け取るという仕組みのことでした。この仕組みを知らなければ、レジでキャッシュバックの有無を聞かれることを予期できなかったため、全く聞き取ることができませんでした。逆に、今となっては新しいスーパーに行っても、始めに聞かれるのは「スーパーのメンバーカードを持っているか」、または2品くらいなら「袋は要るか」、等々といったように、ある程度予期できるため、戸惑うことも少なくなりました。


このような常識・歴史を豊かにするには、Janeによれば、様々なジャンルの本・雑誌、スポーツ面まで含めた新聞、アメリカを舞台にした映画やドラマを読み、観ていくことが必要だとのことです。当たり前のように思えますが、改めてその重要さを知りました。長い道のりではありますが、私が留学先をアメリカの大学にしたのも「アメリカ人のものの考え方を知る」ためであり、まさにこの第三の常識層を理解するためでした。米国留学の本質的な目標はこの習得・理解にあります。


予期して話すこと
サマースクールと1ヶ月余りの米国生活で、「予期して聴くことでリスニング力が増す」のと同様のことが、話すことにも言えると感じました。初めて話す内容はたどたどしい英語しか出てきませんが、一度英語で表現をしたことがある内容はスムーズに話せます。あるいは、数回使ってみた表現は、スムーズに口をついて出てきます。

これは、英語で話すときの3つのステップ、即ち
i) 話すべき内容を想起する(無意識的にであれ日本語で)
ii) 内容を英語に変換する(ここまでを無意識的にできると「英語で考える」頭になります)
iii) 内容を英語のまま発展させて話す
の3つ目に大きく関わります。

つまり、頭を英語に切り替えて、議論をしたり、発言をしたりしていると、当初考えた内容以上のことを言わなければならなくなります。その時に、言いたいことをどう英語で表現するか、それが無意識レベルで処理されないと、つらつらと話し続けることができなくなり、詰まったり変な表現をしたり(無駄に長い後置修飾など)してしまいます。

このようなiiiステップ目での停滞を脱却して、たとえ流暢でなくとも、自分の意見を議論の中で展開できるようになるには、とにかく硬軟含めた様々な内容を、数多くの表現で話す必要があります。また、学んだ表現や友人が使った表現を自分も積極的に使い、身につける必要があります。

マレーシアに駐在して仕事をしていた時、英語、中国語、タイ語、日本語を完璧に話すアメリカ人上司が*1
「言語を習得するには、まずひたすら話すことだよ。間違いなんて気にしなくていいから、とにかく何でもいいから話し続けることで、どんどん言葉が上手くなる」
と彼なりの語学習得の秘訣を教えてくれました。とにかく話すことで、喋ることができる内容と表現がどんどん蓄積されていくのでしょう。
このマレーシアのプロジェクトでは、始めは英語で非常に苦労しましたが、この上司のアドバイスを受けてとにかくチームメンバーと話したことで、2ヵ月半でアメリカ人やインド人の同僚も感心するほどに英語が上達しました(英語で話す度胸がついたことも大きかったです)。


MBAへの意味合い
予期して聴き、話すように心がけることは、語学習得に限らず、学問の内容習得にも貢献すると思います。所謂「予習」をすることで、授業のリアルタイムでの理解のスピードと深さが増すのだと思います。

かつて高校や大学の頃は、あまり意義を考えることなく予習をしていました(しない課目も多かったですが)。今改めて英語のアナロジー(類推)から予習の意義を考えると、内容を予め学んでおくことで、授業中に教師が説明する内容を予期し、即時に深く理解し、頭に定着させる効率を上げることにあったのだと考えます。当時は「予習してしまったら授業で学ぶものがなくなる」と思うこともありましたが*2、予習をしていた効果は大きかったのだと改めて思います。

そこで、これから始まるMBAの授業では、予習をしていくことで授業中の理解力を増し、復習の効率を上げることで、次の予習や課外活動をするための時間を捻出する、という好循環を生み出していきたいと思います。


これらが、サマースクールから学んだ最も大きなことでした。


さいごに
コロンビアのサマースクールは、このような英語学習に加え、連邦準備銀行(米国の中央銀行)やNASDAQの見学、ヘッドハンティング会社の大御所のレクチャー、コロンビア大学ビジネススクール教授によるケーススタディがあり、NYに位置したコロンビアならではの多彩なカリキュラムで非常に充実し、かつ楽しいものでした。MITの友人が何人か受けていた、ハーバードのサマースクールの話を聞いていると、コロンビアの方が格段に充実しているように感じました(ライティングの比重が少ないという欠点はありますが)。留学前の肩慣らしには非常によいプログラムでした。


*1 日本でクライアントとのミーティングで「このプロジェクトにはお庭番の役割が必要だ」と発言し、日本人一同を驚かせました
*2 授業で学ぶためには学ぶ内容を予め知らなければならない、というパラドクスに陥りそうですが、予習の内容は授業によりますが、授業内容の概略、あるいは基本的な部分のみで十分効果があると考えます(ケースなどでは予習内容が当然異なります)

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by flauto_sloan | 2007-08-17 16:01 | 学びの技術
MITミュージアム
本日、ようやくMITのIDカードを交付してもらい、早速MIT Museumに行ってきました。


カード交付
ISO(International Student Office)のオリエンテーションを受けて、ようやくMITのIDカードを交付してもらいました。交付に必要な、I-20という、ビザとセットで重要な書類(在学証明書のようなもの) を、サマースクールに行っていたコロンビア大学からMITへ移籍したのですが、その過程でちょっと混乱が生じてしまい、果たして予定通り今日もらえるのかが微妙なところでした…

サマースクールは強制ではなく任意参加したため、5月ごろにI-20を申請した時点ではコロンビアに受け入れてもらえるか不明でした。そのため、MITとコロンビアの両大学にそれぞれ必要書類を提出し、I-20を申請するという安全策をとりました。これが裏目に。

コロンビアからの転籍証明書をMITのISOへ提出し、併せてMITで既にI-20を貰っていることを述べたところ、係りの女性に「これはおかしい」と、I-20を破棄され、Sloanのオリエンテーションに出るように言われてしまいました。不備があると米国に再入国できなくなるかもしれないと言われるほど重要な(少なくとも重要に思っていた)、そして取得には少なからず苦労した書類を目の前で破棄されるのは、なかなか衝撃的でした。

いずれにしてもMITのIDカードは転籍が滞りなく済んで初めて交付されるので、ひとまずISOのオリエンテーションを待つことにしました。ただIDカードがないと非常に不便で、とくにSidney-Pacificの寮は玄関などの電子錠をIDカードで開けるため、交付までは入り口で受付の人に寮の入り口を開けてもらい(しかも夜24時以降は受付がいないので入れなくなる)、自転車は室内駐輪場に置けないという不便さ。なかなかつらいものでした。


MITミュージアム
無事に今日IDを交付されると、早速寮にIDカードを登録し、その後は近所にあるMIT ミュージアムに行ってきました。学割があるのですが、MITの学生は割引というか無料(ニューヨークでは、市内の学校に通う学生はMetやMoMAに無料で入館できました。当然コロンビアのサマースクールの生徒のIDでも) 。

c0131701_23145396.jpgミュージアムはMITのこれまでのテクノロジー分野での栄光の歴史を展示してあります。人工知能に始まり、人間の触覚をシミュレートする機械や、表情でコミュニケーションをとれるロボットも。

圧巻は世界最大といわれる(といってもたかが知れてはいますが)ホログラムのコーナー。これがなかなか面白かったです。秀逸だったのは、写真を見ながら左から右へこちらが移動すると、美女が投げキッスをしてウィンクをするもの。これは見る価値がありました。

c0131701_23151229.jpgさらにはMITの「ハック」と呼ばれる文化の紹介もありました。
かつてHarvardとYaleがフットボールの試合をしたときに、MITが巨大な風船をコートに投げ込み、試合を中断させる大騒ぎに。写真の一枚目はその時の新聞記事で、「MITがハーバード・イェール戦に勝利!」と書かれています…


c0131701_23152939.jpgもう一枚は、卒業式にアル・ゴア元副大統領が来校して演説をした時に、学生が事前に”Buzzword Bingo (流行言葉のビンゴゲーム)” を作ったものです。”Paradigm,” ”standardized,” “robust”などといった言葉が並んでおり、みんなビンゴが揃うかどうか集中して聞いていたので、静粛かつ熱気溢れる聴衆だったそうです。

こういう遊び心がとても好きです。


ボストンを訪れる機会があれば、マイナーな観光地ではありますが、見学するのもよいかもしれません。
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by flauto_sloan | 2007-08-15 23:10 | MIT文化
MIT自転車事情
3日間にわたる逡巡の末、自転車を買いました。
やっぱり自転車は快適。ボストン(特にMITは)自転車がよく似合う。
そんなボストンの自転車事情。


自転車の購入先
MITの学生なら、自転車の調達先は主に4つあります。
  1. お店で買う
  2. ムービング・セールで買う
  3. MIT Police のオークションで買う
  4. 買わずにZip-bikeを利用する

2のムービング・セールはちょうど売り出されるかどうかは運次第です。残念ながら自転車はありませんでした。
3のオークションは、MIT Policeが年度末に回収した、学内に放棄された自転車をオークションにかけるというものです。これも現在予定なしとのことでした。
4のZip-bikeはSidney-Pacificの寮独自かもしれませんが、先人が寄贈(というか放棄)した自転車をストックし、廉価でレンタルするものです。たまに乗る、という程度ならこれでもよいかも知れません。ただ私は結構サイクリングが好きなので、自分でお店で買うことにしました。


自転車の値段
3日も逡巡したのは、なかなか手頃な自転車(屋さん)が見つからなかったからです。
寮の近くに Cambridge Bicycle という自転車屋さんがあるのですが、ここはかなり本格的な自転車乗りのためのお店で、新品で$500くらいから、中古でも$200くらいからと、かなり高い。
ボストンでは自転車の盗難は厳重な鍵を締めていても頻繁に起こることなので(先輩のこんぺーさんも盗まれたそうです)、盗難リスクを考えると、あまり高いものは買いたくありませんでした。

はて$250くらい出してでも、(小汚い)中古を買うべきかと悩んで2日間。今朝登校すると、ロシア人のクラスメートが自転車で通学していました。そこで「自転車って高くない?」と聞くと「Targetというディスカウントストアで買えば$150くらいで買えるよ」との答え。
早速授業が終わった後、Targetに行ってみました。すると種類も豊富で値段も手頃。
結局$150のちょっと洒落たシティバイクと太い鍵を買いました。


自転車の種類
Cambridge BicycleでもTargetでも、置いてある自転車はマウンテンバイクかシティバイクで(あとはたまに折りたたみ自転車があるくらい)、所謂ママチャリは売っていません。前傾姿勢が苦手な人は要注意です。
また、基本的に籠も荷台も着いていません。オプションで付ける事はできますが、余程しっかり固定するか、後ろに目がない限り、籠や荷台に置いた荷物を盗られてしまう可能性があるので気をつける必要があります。私はリュックを背負って移動するので、特に何もつけませんでした。
さらには、泥除けも付いていないので、これもオプションで付けるか、雨の日は乗らないか、背中が泥だらけになるのをよしとするかを選ぶ必要があります。


自転車の盗難
先ほども触れましたが、自転車の盗難はとても多いそうです。MIT Policeに購入した自転車の防犯登録はできますが、予防には強固な鍵でフェンスやポールや標識などに固定する必要があります。
タイヤ、サドル、ミラーなど部品だけ盗まれることもあるそうです。二つのタイヤに絡めて鍵をかけることが有効です。
人によってはサドルを外して持ち歩いています。中には車輪をひとつ外して持ち歩く人もいます。不完全にすることで、盗む気をなくさせています。
とはいえ、盗まれるときは盗まれるので、それも織り込んで自転車を買いましょう。


自転車の運転
日本と逆の右側通行なので、安全確認も左、右の順です。つい癖で逆に見て、今日も早速、あやうく車と接触するところでした…
基本的に車道の端を走ります。MITのキャンパスだと、自転車用のレーンがちゃんとあるので、そこを走っていれば問題ありません。
ほとんどのアメリカ人は、安全のため(派手な)ヘルメットをかぶっています。そして時にかなり傲慢です。今日も、右(内側)に自転車がいるのに右折しようとしてきた車に、容赦なく汚い言葉で罵る自転車乗りがいました。そこまで自転車優先なのでしょうかねぇ…


自転車のある生活
ボストンはさして広くない町なので、自転車があると便利です。今日もさっそく、チャールズ川沿いをサイクリングして、Harvard Bridgeを渡り、有名な "344.4 Smoots and an ear" を見てきました。橋の中間地点では"Half way to Hell"と描かれていました…
そんなハックを横目にチャールズ川を眺める、爽快なサイクリングでした。

また、こんぺーさんによると、自転車の集団で路上を占拠するイベント(?) もあるそうです。今度是非参加したいものです。


盗難リスクなど色々ありますが、安全運転を心がければ、ボストンでの自転車生活はお勧めです。
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by flauto_sloan | 2007-08-09 14:46 | ボストンでの生活
Sidney-Pacific 入寮
c0131701_23225278.jpg昨夜、ボストンに到着し、MITの寮であるSidney-Pacificへ入寮しました。
寮とはいえ2002年に建っただけあって、建物はガラスを多用した美しいもので、設備も充実しています。

私は独身ではないのですが、故あって独り暮らしをするため、Studioというタイプの独り部屋(家具、バス、トイレ、キッチン付き)を借りています。
家具付きなのですぐにこのきれいな部屋で生活を始められ、とても快適です。
ちょうど向かいの部屋に住んでいるインド人夫婦とも会え、スーパーの場所などアドバイスをもらいました。


ボストン(米国)での生活立ち上げにあたり、3つのものが必要だと思いました。
車、忍耐、毛布です。


1. 車(せめて車輪)
たとえ交通網(バス、地下鉄)が発達したボストンといえども、やはり車がないと生活はなかなか不便そうです。
生活必需品を揃えるため、ちょうど入れ違いにボストンを発つ先輩の家へ行き、台所用品など(マッサージ器、はてはマツケンサンバのCDまで)をもらい、次に近所の大型薬局で当座の必要品を買ってきました。
独りで徒歩だったので、後ろから見た人はきっと荷物が塊になって動いていると思ったことでしょう。正直言ってしんどかったです。
家電や家具は、寮のムービング・セール(退寮者が不要なものを安く売り払う)であらかた手に入りそうですが、それでも手に入らないものは少々離れたショッピングモールや大型店に買いに行かなければならず、車のありがたみを感じました。
とはいえ、ボストンの駐車場事情は悪いので、持つなら持つで苦労しそうです。

至近距離でも、カートなど車輪がついているだけで全然違います。交通の麻痺した戦時下の国では車輪が重宝されるそうですが、よくわかる気がします。


2. 忍耐
ボストンに来る前は、1ヶ月ほどNYでサマースクールに行っていました。
その間に、携帯電話の契約、学校の事務手続き、銀行口座の開設などを行ったのですが……
1日に1つのことしかできませんでした

移動に時間がかかるのもあるのですが、とにかく、なにかと手続きに時間がかかります。
アメリカ人はよくもこんなに待たされて平気だなあと感心するくらいに待ち、やっと自分の番が来たら担当の人やお店の人がなかなか要領を得ない。こちらの英語のせいもあるかもしれないけれども、それでも時間がかかりました。

加えて、特に大学の事務は一人ひとりに担当が細分化され、しかもキャンパス中にオフィスがちらばっているので、みごとな盥回しに遭います。

実際にあった一コマ(口座開設に必要なレターを発行してもらったとき)
A 「それは私の担当じゃないから、Bさんに聞いて」
B 「ああ、その件ならXX(歩いて10分くらいの距離にある建物)にあるオフィスに行って聞いてきて」
C 「Dさんじゃないとそれはわからないんだけど・・・ 今席を外してるわね。いつ帰るかわからないわ」
結局、Dさんのオフィスの前で1時間半張り込み、ようやくつかまえてレターを書いてもらいました。


3. 毛布

色々と生活用品を買ったのですが、毛布を買わなかったのは大誤算でした。
この寮は建物全体にエアコンが行き渡っているため、廊下も涼しく快適です。ただあまりに涼しいため、部屋のエアコンを切っても、かなり涼しい、いや寒いのです。 バスタオル2枚をかぶって、小さくかがみこみながら震えて眠りました。もちろん安眠とは程遠く。
建物の中も概して寒いので、羽織れるものは(特に女性は)必要でしょう。

冬場にTシャツを着るほどのアメリカ人のエアコン過稼動はよく知られているのですが、うっかりしていました…
意外な盲点。


と、苦労もしながらですが、楽しみながら寮生活の立ち上げをしています。
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by flauto_Sloan | 2007-08-05 10:36 | ボストンでの生活
序・MIT Sloan 遊学記を書くにあたり
学問には四焉(修焉、蔵焉、息焉、遊焉)の境地があるといいます*1
焉(これ)を修め、蔵し、息(いき)し、そして遊す。

学問の世界*2から実学の世界へと飛び込んで5年。
経営コンサルティング*3という、とても一筋縄ではいかない仕事に苦闘しつつ、世の中の動きを、人の営みを、智慧の偉大さを学んだ、怒涛のような日々でした。


学舎での「学問」と、ビジネスで得る「学び」。
この間には大きな隔たりがあると思われていますが、本当にそうでしょうか。

高度に複雑化した現在のビジネスは、学問での抽象化、体系化のスピードを凌駕しているのでしょうか。
MBAで身に着けたものがそうそう通用するほど、世間は甘くはないのでしょうか。

そしてこの問いは、奇しくもMITのmottoである
"Mens et Manus" (Mind and Hand)
と呼応しています。
頭脳から溢れる智慧だけではなく、手から紡ぎ出される社会への貢献も共に重要である、とするこの基本思想を掲げるMIT。

学問から実学、そして再びこのMITにて学問に浸る(そしてまた実学へ戻る)ことで、自分なりの解が出せるのではないかと思いました。
その過程では、この5年間で修めてきた学びを、
自分の中で体系立てて再構築し(蔵し)、
己の血肉となって、息をするかのように乱れずに発し(息し)、
果てはスコラの自然な流れに逆らわないままに、ゆったりと遊ぶ(遊す)境地にまで引き上げたいと思っています。


大それた望みであり、さてどこまで辿り着けるかもわかりませんが、
蔵し息する介けとして、このブログを始めたいと思っています。
そして遊すことを目指す意味も籠めて、ブログの名前は「留学記」ではなく「遊学記」にしました。

そのように自分のために立てたブログではありますが、
MIT、特にSloanに興味をお持ちの方々、MBAに興味をお持ちの方々、または米国、特にボストンでの生活に興味をお持ちの方々にとって、何らかの役に立つことができれば幸いです。


*1 『安岡正篤 一日一言』 安岡正泰監修、致知出版社 4月24日の言。もとは『礼記』の「学記」の中の、「君子の学に於けるや、焉を修め焉を蔵し焉を息し焉に遊ぶ」
*2 学部では工学部で化学を専攻し、大学院では固体物理(超伝導)の研究室に在籍しました
*3 所謂外資系経営コンサルティングであり、国内外の大手ハイテク製造業を中心に製品戦略立案、技術マーケティング戦略立案、業務効率改善などを行ってきました
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by flauto_Sloan | 2007-08-04 12:45 | 序文(初めての方へ)