MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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Sloan Follies – 最後の馬鹿騒ぎ
スローンの年度末イベント、"Sloan Follies" が行われた。昨年われらがJapan Trekチームがベスト・チーム賞を受賞したように、活躍した生徒を表彰しつつ、学生生活をネタにしたビデオで大笑いして、一年を締めくくろうというイベントだ(会場では莉恵さんともばったり遭遇)。

今日は授業最終日だったので、昼はコアチームで最後のランチをし、夕方には "Disruptive Technology" のクラスのチームメンバーで祝杯をあげた。どちらも素晴らしいチームだった。世界中に散らばってしまうのは寂しいが、いつまでも仲良くしていきたい。

そして8時から始まったFolliesは、抱腹絶倒のまま12時まで続いた。スローンのシュミットライン学部長による真面目な賞の授与が前半で、生徒の投票によるおふざけ賞が後半だ。賞にノミネートされた学生を紹介するプロモーションビデオや、イベントの間を埋める寸劇が、色々な人気テレビ番組や映画のパロディで、しかもそれがよくできていて面白い。"Sloan Dog Millionaire", "Sloan’s Next Top Model", "Sloan Idol"等々*1
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受賞者の読み上げも、後半は学生が掛け合いコメディをしながら行う。中には名物教授のケン・モース教授の物真似をしながら読み上げる一幕も。例えば美人コンテストである”Sloan’s Next Top Model”の一幕では、イスラエル人のイタイが
「トップモデルを選ぶというから、財務シミュレーション・モデルのことかと思って、クマー(ファイナンスの授業で活躍していたインド人の学生)をノミネートしちゃったよ」
などとジョークをとばす。

日本人からは、『ヘンな留学生賞』をHajimeが受賞していた。C-functionやパーティでの彼の存在感は素晴らしかった。昨年のJapan Trekのリーダーといい、アメリカ人に認められる日本人がいるのは誇らしい。

そして最後に、スローンのロックバンド "Rolling Sloans" が2年生に捧げる歌を歌い上げてくれた。いよいよ2年間のMBA生活も終わりを迎える。楽しかった思い出が、寂しさに変わっていく。この思い出を生きた学びとして、土台とし時に立ち返り、勇気を与えてくれるのだろう。だが今は、去りゆく一瞬一瞬が、ただに愛おしい。
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* 設定はイスラエル・トレックでも一緒だったクリードの家にドロシーが遊びに来て、クリードがテレビを見ながら距離を狭め、アプローチするという、ラブコメめいたものだった。観客から「クリード、なにをぐずぐずしてるんだ!」と囃されていて面白かった
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by flauto_Sloan | 2009-05-14 23:44 | 交友
スローン日本人会の送別会
スローンの日本人コミュニティでの送別会が行われ、ついに自分が送られる身になったと実感する。チャイナタウンの中華料理に集まった約40人は、子供が多く賑やかだ。この2年で小さかった子供たちも大きくなり、言葉も多く話すようになり、成長を実感する。

子供たちが成長したように、自分も成長しただろうか。長じての成長は発育とは異なるが、大人も成長し続ける、とキーガン教授のAdult Development で学んでいる。自分の場合はどうであろうか。いよいよ卒業が近くなり、この2年を振り返ることが増え、今後の自分を考えることが多くなっている。

その折り返し点が、このMBAだった。大変だった勉強生活、課外活動などを支えてくれたのは、家族や友人である。彼ら彼女らの助けなしには、この大きな自己変革はなし得なかっただろう。

この小ぢんまりとして温かいコミュニティも、もうすぐ散らばってしまう。楽しく盛り上がった送別会であるが、一抹の寂しさが残る夜だった。
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by flauto_Sloan | 2009-05-10 23:12 | 交友
ペリカン・ディナー - 信頼
c0131701_17192741.jpgわれらがコアチーム、"Indian Pelicans"でディナーをした。
思えば全員揃うディナーは、1年振りくらいかもしれない。素晴らしくも終わりつつある2年間の成功と、友情と、荒波に漕ぎ出すわれらの将来の栄光に祝杯をあげる。


仲がよく、お互いを信頼しあっていたこのチームは、ずっと定期的にランチを共にし、よく「仲がいいね」と言われた。そんな時、誰もが

"Because we are the best team!"

と答えて憚らなかった。そんなチーム・ペリカンが、最後にして本当の友情に辿り着いたと思う出来事があった。

アメリカでは政治と宗教の話はするな、といわれるが、私のチームではことさら政治の話は全くなかった。デリケートなチーム・ダイナミクスがあったため、皆政治の話題は避けていたのだ。

私のチームには、レバノン系アメリカ人のパトリックとイスラエル人のイタイとがいる。高校生の時に家族で米国に移ったパトリックは、小さい時にイスラエルの侵攻を経験している。両親があやうく死にかけたというから、かなり鮮烈な記憶なのだろう。だがそんな彼は、イタイが幹事をしたイスラエル・トレックに昨年参加した。一方でインターンではコンサルティング・ファームのドバイオフィスで働き、イスラム圏のアイデンティティも再認識したようだった。

そのパトリックとイタイとが、政治の話をしたのだ。私がイスラエル・トレックに行ったという話がきっかけだったが、イスラエルの政治について話し始めた。パトリックは極めて中道的なコメントなので、直情的なイタイと変な議論にならなかったが、この姿を見て、チームの姉貴分のエイミーが
「あんたたちが政治の話をするところって、初めて見たわね」
と驚いていた。

イタイは徴兵中は戦闘部隊にいた(スローンのイスラエル人の多くは諜報部隊出身で、戦闘部隊はイタイともう一人しかいない)。パトリックもイタイも、中東紛争は自分の命と直結した経験である。その二人が、信頼し合って、将来のことを話し合う。

非常に象徴的であり、友情とは、信頼とは何かを気づかせてくれる夜だった。
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by flauto_Sloan | 2009-05-07 23:49 | 交友
アジアの夜
偶然が重なることはあるもので、ハーバードのハイフェッツ教授のクラスでの日中韓の集まりと、MITスローンのアジア学生の集まりとが同じ日に行われた。やはりアジア人の中にいると、気楽でいられる。その気楽さは、違いよりも共通なものを意識する重要さを教えてくれる。

c0131701_23253377.jpg日中韓のハイフェッツ信徒
ハイフェッツ教授の、感情のジェットコースターのような授業を受けると、多くの人はハイフェッツ教授に心酔し、自らを冗談で「ハイフェッツ信者」と呼ぶ。そして残りの人は、教授のことを非常に嫌う。その中間はあまりいない。

日中韓の学生の集まりの2回目に来たのは、そんな授業を経てハイフェッツ信者となった人ばかりだ。信じるようになったきっかけの一つが、教授に暗に焚きつけられて始めた前回の集まりであり、そこでお互いを深く理解したことによる力を感じたことだろう。
理解しただけで、別に何も解決したわけではない。ただ、相手を理解し、事態は非常に複雑であると知ることで、共感するものが生まれてくる。その共感が、極論や思い込みから自分を掬い上げ、前進するきっかけを与えてくれる。

今回は、感情の非平衡状態から3ヶ月経っていたため、前回よりもトーンは抑え目だった。お互いの認識の違いを聴きあうことは勿論続けたが、前回議論した、戦争の解釈や領土問題、または戦後補償といった日中韓の間にある問題については、あまり話題に上がらなかった。むしろそれぞれの国の中で抱えている課題(中台関係、南北朝鮮、在日朝鮮人の地位など)を話し、お互いに聴きあった。聴くことの偉大な力を改めて感じつつ。

ここでも、何かを解決したり、共通の土台を作ったわけではない。だが対立を別の次元で解消するための可能性を作っていった。それは信頼であり、共感であり、憐れみ*なのだろう。

彼らとこうして集まるのも、これが最後かもしれない。国に戻れば立場があるが、こうして本音を語り合えたことは貴重な経験だった。


スローンのアジア飲み
c0131701_23285374.jpgハーバードスクエアからケンドールに向かい、スローン生のアジアン・パーティーに遅れて参加した。

公共政策大学院からビジネススクールに来たのだなあ、と感じるのは、パーティーの明るさと賑やかさだった。

フィリピン人のカップルのアパートにあるパーティー・ルームにて、40人くらいのアジア人スローン生が集まる。大半は2年生とその家族だ。ビールを片手に、楽しく談笑する。

酔っ払ってくると、飲みのゲームを皆でやったり、中国将棋に熱中する中華系がいたり、子供同士で遊んだりと、ますます宴は盛り上がった。楽しかった彼らとの時間も、あと少しと思うと寂しくなる。


相違
アメリカにいると、日中韓台泰馬新印の生徒すべてが「アジア人」と呼ばれる。渡米当初は、「いや一口にアジア人といっても、日中韓だけで風貌から考え方まで全く違う」と思っていたが、ここで暮らし、様々な国の人と話し、海外から日本のニュースや日本人の反応を見るにつけ、考えが変わってきた。

日本人も、韓国人も、中国人も大して変わりはない。特にネット上で中韓に向けての差別的な書き込みをよく見かけるが、彼らが投げかける侮蔑的表現は、程度の違いだけで現代日本人にも当てはまるものばかり。似たようなものだ。

文化といい民族性といい、9割くらいは共通もしくはよく似たものを持っているように感じる。だが日本、またアジアの中にいると、アジアの外から自分たちを相対的に見られないため、何共通しているかわからないし、またそこへの意識は限られ、違いにばかり目が向いてしまう。違いを見ているうちに、その違いがますます重要に思えてきて、隔絶ばかり自ら作ってしまう。もちろん教育や政治によって増幅されている面は大きく、そこを協調して是正する必要はある。

だがそもそも所詮はわれらは同じアジア人だ。脱亜入欧で周りとは違うという意識をもっていても、少なくとも近年の日本人の言動を見る限り、限りなくアジアへ戻っている。


自戒を籠めて述べると、海外に出ることが全て正しいとは思わないが、自らを相対化してみないと、なにが本当に強みや弱みであるか、優れ劣っているのかがわからない。そうすると、内向きで些細なことばかりが重要に見えて、世界の潮流を見失い、劣後していくばかりではないか。

日本に対する特別意識がなくなり、だが逆説的に愛おしさが増したことも、留学の成果だといえよう。

* 「憐れみ」は「哀れみ」とは全く異なる。憐れみはcompassionであり、その下地には愛がある
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by flauto_sloan | 2009-04-16 23:22 | 交友
チーム・ペリカン
いよいよ最終学期の後半に入ったので、オリエンテーションの時にチーム・ペリカンと名づけられたコアチームでランチを一緒に食べた。私のコアチームは非常に仲がよく、折に触れ一緒にランチをするのだが、聞けばここまで仲のいいチームもそうはないらしい。

勉強面では必ずしもベストな組み合わせではなかったのかもしれないが、勉強よりも連帯意識を強めた結果、今でもこうして集まって、身の回りのことや将来のことを話せる仲になった。ケネディのチームとはまた一味違う、いつでも気楽に立ち戻れる母港のような感覚だ。

知らない間にチームの一人が恋人と別れてクラスメートと付き合っていたり、子育ての苦労話に花が開いたり、こうして家族ぐるみの付き合いになっていくのだろう。

卒業したら、ボストン、シリコンバレー、チリ、日本、ドバイと世界中に散らばってしまう。テクノロジーのお陰で、地理的距離ほどに心的距離は離れずに済む。彼らは、社会に戻って辛いことがあるときでも、ふと立ち戻れる母港であり続けるだろうし、私も彼らを迎え入れ続けたい。
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by flauto_sloan | 2009-04-01 22:22 | 交友
PEはハゲタカか救世主か
バレンタインデーの今日、スローンの親しい友人であり剃刀のように切れる頭脳の持ち主、Shintaroがボストン日本人研究者交流会にて発表してくれた。テーマはPE (Private Equity) ファンドについてであり、彼のコンサルティング、インターンでの経験から、日本におけるPEの現状と将来とを鋭く分析、紹介していた。PEは日本経済を躍進させるドライバーとなり得るのだが、今回の金融危機という擾乱をどう乗り越えるかによって、悪貨が良貨を駆逐する可能性もあると思った。

発表の詳細は割愛するが、以下の点が特に印象的だった。
  • PEファンドはそのノウハウや実行力によって、日本企業の競争力を高める可能性を持つ。企業価値向上のノウハウや人材を持っている、バイアウト・ファンド、事業再生ファンド、不良債権投資ファンドといった各種ファンドがそれぞれの強みを活かす分野で活躍していけば、日本企業の競争力は強化される
  • 日本でハゲタカと揶揄された短期に企業を解体するファンドや、少数株主として物申すアクティビスト・ファンド*1と異なり、PEは10年単位での企業の成長性を考える。投資後5年で投資先の価値向上をして、他のファンドや企業に売却するためには、買う側もその5年後にさらに価値が上がると思わないといけないからだ
  • ノウハウやグローバルなネットワークを持つ海外PEファンドも日本に参入しているが、厳しい時期にある。日本では案件の大半が、国内銀行系ファンドによる独自案件*2であり、案件生成が困難だ。加えて、円高、信用縮小による自己資金投資の増大と、利回り目標達成の困難化といった悪条件のため、海外ファンドは日本で活動しにくくなっている
  • これから最初の投資案件がexitする時期であり、この案件をPEが買う二次市場が発生すれば、PEファンド業界がさらに興隆する可能性がある。だが三洋を買ったのがパナソニックだったのは、この二次市場立ち上がりに冷や水を浴びせた。今後のPE業界の展望はまさに岐路にある
PEについて色々な場で知っていくうち、日本にはPEファンドが必要だと強く思うようになった。良くも悪くも日本企業は本質的な変化(構造改革というか体質改善)を起こしにくい。だが米国企業に比べて日本企業が圧倒的にROEが低く、(最近は調整局面だが)企業価値も低い。変わらないでいることは競合優位性をじりじりと失い、不作為のリスクを生み出す。

ならば圧倒的な実行力を発揮し、ごく当たり前のことをやりきることが必要なのだが、それを自分でできれば苦労しない。だから外部の力が必要で、コンサルティング・ファームに変革を旗振ってもらうが、それでも変われなければPEという外圧が必要だ。

だがそんな「変革の実行者」としてのPEの役割はまだ十分認識されていない。初期のファンドが張られた「ハゲタカ」「物言う株主」といったレッテルは、活動内容の違いを覆い隠して、一人歩きしている。ファンドの良い面は認識されにくく、産業再生機構の成功も「あれはガイジンじゃなくてお上がやったことだから」と価値の源泉を取り違えられかねない。そんな危うい業界で危惧されるならば、「悪貨が良貨を駆逐する」事態だ。

もし海外ファンドが(一時にしろ恒久にしろ)撤退し、国内金融機関系のファンドが中心となると、目標ROIが引き下がり、ノウハウも十分に蓄積されない可能性がある。諸々の理由で持ち込まれる案件の中には、本来価値向上の見込みが薄いものも、これまでの経緯などで投資してしまうものもあるかもしれない。そうすると、本来なら3割の案件が成功しなければ採算がとれないところを1割2割でも仕方がない、企業価値が1割しか改善しなくても仕方がない、と投資の質が下がってしまう可能性がある。

するとPEファンドの本来の名と実とが離れてしまい、ファンドで企業体質は変わらない、という誤った認識ができてしまうだろう。そうすると、なかなか本来の目的が達せられにくくなってしまうだろう。それはなんとも避けてほしい。


PEはコンサルティング時代から、同僚が転職していったり関連プロジェクトがあったりと、自然と興味を持つ分野だった。私自身は何故だか、自分が行きたいとはなかなか思わないのだが、その価値は認めている。今後PEの二時市場が立ち上がり、だが金融危機前の教訓を活かした慎重さで、「影の銀行」として活躍してほしいものだ。


*1 村上ファンドやスティール・パートナーズなどが有名
*2 他のファンドを招いて入札するのではなく、相対で売買する案件

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by flauto_sloan | 2009-02-15 21:18 | 交友
チームディナーと空気
リーダーシップの授業のチームメンバーで、ディナーに行った。授業の課題と完全に離れた場所で、リラックスして語り合う。これもまた、信頼を醸成するためには必要な介入だったのかもしれない。

楽しく食事をしながら、ハイフェッツ教授の感想、授業とチームセッションでのグループ・ダイナミクスへの見解を話し合う。人によって見方が違うのが面白い。何人かが強く感じていたダイナミクス(ある生徒への教室全体の反感)が、ある人は全く気づいていなかったり、いつも教授のコンセプトを批判するビジネススクールの生徒の行動に対する受け止め方が、生産的と見る人と非生産的と見る人とで分かれたり・・・ と、多くの気づきがある。


日本人は基本的にグループダイナミクス(「場の空気」と呼ばれるものに近い)を読み取ることが上手い。だが、この授業ではできるだけ空気を読み過ぎないようにしている。日本人が空気を読み合えるのは、共通の価値観やコンテキストを共有しているために、相手の思考や選択肢が想定の範囲内に収まっているからであり、相手が全く別の人種の場合には、効果が限定されるばかりか、下手をすれば決め付けとなりかねない*

だがアメリカ人は多分に過剰適応してしまい、グループ・ダイナミクスを読むことを諦めて、言語やモデルで明示的に分析的に、内面や価値を記述しようとしているように思える。それは早いが浅い道でもある。秋学期は、アメリカ人に希薄なこの感覚・能力を身に着けさせる過程でもあった。

KYなんて言葉が流行ったように、空気を読むという複雑で鍛錬に時間がかかる能力は、生活や価値観の多様化(セグメント化)によって、日本人の間でも低下しているのだろう。だがアメリカ的過剰記述はまた極端だ。日本人がグローバル化に対応し、リーダーシップを発揮しようとする上で、社会が持つ空気を読む能力がどう推移していくのかを見極めることが、極めて重要になるのだろう。


ディナーの楽しい空気を愉しみつつ、そんな文化の違いを感じた。


* 「空気」と「グループ・ダイナミクス」がどういう関係にあるのかは、Soheiさんが薦めてくれた『「空気」の研究』を読んでから見解を示したい。今は混同し形で記述する
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by flauto_sloan | 2009-01-13 23:17 | 交友
職業人格
c0131701_1521293.jpg昨年同様、ボストンの留学生向けに、東京オフィスの説明会があり、スーツを身に纏って職業人格モードに入った。同僚でSloan後輩のLilacさんとで現地参加だ。折りしも寒波が到来し、ボストン・コモンの池には氷が張っていた。

Sloan、HBS、Tuckといったビジネススクールに加え、HKSやHSPHなど他のプロフェッショナル・スクールからも参加者が集まる。コンサルティング経験を語り、質問に答えていくのだが、非常に奇妙な気持ちだった。昨年以上に、コンサルティングの経験を上手く語れない。正確には、コンサルティングの経験と、留学での学びとを綜合した自分の考えを述べてしまう。そのため、生の経験を一次情報として参加者に共有できないでいた。しかもそんな考えに限って、抽象的で判り難くなってしまう。

まあそれでも好評だったし、自分の成長も実感できたし、善しとしよう。


説明会後は、莉恵さんらHBSの1年生やHSPHの友人とお茶を楽しむ。ここからは職業人格ではなく、ただの一人の苦悩するビジネススクール生だ。女性ばかり5人に囲まれたことも、本当の人格を出し易くしていたかもしれない(虚飾の無い本当の人格かはわからないが)

皆非常に快活で頭の回転が速く、話していて楽しい。これまでなかなか接する機会がなかっただけに、こうした場であっても知り合えたのは幸運だった。これからも同じケンブリッジで語りたいものだ。


そして夜、東京から来ているパートナーや先輩の方々と激しく(?)飲んだ。ホテルの一室で何時間も飲み、語り続けたのだが(時差ぼけのために東京組はいつまでも元気だった)、思えばパートナークラスと、ここまで腹を割って飲んで話したことは殆どなかった。戯言までストラクチャーされているあたり、職業病的なものを感じもしたが、勉強になることも多かった。これも図らずもいい機会だった。

すっかり、与えるものよりも得るものの方が多くなってしまった、久々の仕事(的なもの)だった。
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by flauto_sloan | 2008-11-22 23:56 | 交友
好奇心の塊
MITの友人に紹介され、今日は非常に面白い人と知り合えた。KGCというNGOの創立者の柴田さんという方だ。世界の全てを知りたいという、人間の究極の欲求をまっすぐに追い続けている人で、知識といい交友関係といい、スケール大きい人物だった。こういう人と日本では知り合えないのに、ボストンでは出会えるのが不思議だ。

非常識な研究
この日経BPの記事が紹介しているように、KGCは非常識な研究を支援している団体だ。気功や場 (場が読めない、場の雰囲気という時の場) など、現在の科学では未解明の問題をテーマに様々な分野の研究者を集め、議論を通じて理解を進めると共に、興味を持ってくれるスポンサーを引き込んで資金援助をする。

ルネッサンス期に自らパトロンとはならずに、パトロンと芸術家を引き合わせ、文化を花開かせる役目を果たしたロレンツォ・デ・メディチをモデルにしていると言う。いまや日本内外の多くの企業(大企業から中小企業まで)や政府をスポンサーにもち、参加する研究者の規模も増えてきたそうだ。


正直言って、最初は「気功」と聞いてやや胡散臭いものを感じていた。研究室時代は強磁場の研究をしていたのだが、応用物理学会で「気功が電磁場かどうか」、といった研究があったのを見て以来、なんと変な研究をする人がいるのかと思ったものだ。私のような多くの研究者に異端視され、「非常識な研究者」達は同志や資金に苦しんでいた。

だがKGCは、既存の常識、学問体系を根底から覆すものがあるとしたら、こうした非常識な研究ではないか、と考える。今見えていない、理解できていない現実を知識として把握できれば、より完全な世界の認識ができるはずだからだ。そう聞くと、なるほど少なくとも異端であることそれ自体は、否定する理由足りえない、と思うようになった。


社会の表と裏
学問分野で世界の表と裏を探求しようとしているのと同時に、柴田さんの好奇心は社会の表と裏にも向けられている。「表」の社会である政治や経済への理解・造詣が深いのは勿論のこと、「裏」の社会である秘密結社等にも詳しく、独特のネットワークを持っている。私も「裏」の社会には個人的に興味を持っていたため、非常に話が盛り上がる。

裏社会の構成要素をどう区分するのか皆目見当もつかないが、ここは犯罪者や暴力団など裏の社会が裏の経済への影響に閉じている地価経済団体と、特定の個人・団体の目的のために表の社会の意思決定に影響力を及ぼす秘密結社と大別してみる。

地下経済の経済規模は様々に言われているが、多く見積もった説にはGDP比4-5%と看過できない規模であるとも言う。その真偽を含めて、経済の表と裏がどれ位の規模でどう係わり合っていいるのかを知ろうとするのは、社会全体を知る上で必要なのかも知れない。無論、現実を知ろうとすることと是非善悪を認めることとは全く異なる。

秘密結社が実際にどのように動いているのかは、トートロジーだが秘密なので知りえない。だが言うなればコンサルティング・ファームも、メディアや表にでることなく全世界の主要企業の意思決定に関わっている、秘密結社のようなものかも知れない。他にも大富豪の私家財団も家の維持のために政治・経済に影響力を及ぼしているという噂だが、その実態は謎だ(あまり書くと色々と問題がありそうなのでこのあたりにしておく)


人間の表と裏
私のファームの大御所がかつて、
「人間ってのは、予想もつかないような一面が垣間見えたときに、面白い人間だと思われるんだよ。単純に割り切れるような考え方を持ったり、何を言うか予想できたりするコンサルタントほど詰まらない人間はいない」
旨のことを言っていた。まったく同感だ。周りの友人を見ていても、全く意外な一面を垣間見たときに人間の奥深さを感じるし、逆もまた然り。

ではどうやって奥深い人間が生まれてくるかと言えば、幅広い知識と思慮深さにあり、その根本は知的好奇心にあると思う。研究者と話していて面白いのは、この好奇心が際限なく拡大してしまった人たちが多いからだ。だからボストン日本人研究者交流会の幹事までやって、私自身の好奇心を研究者の好奇心と共鳴させて愉しんでいる。


柴田さんという無限の好奇心を持った人物と話して、非常に共感するところがあった。ビールを飲みながら2時間ほど話しただけで、意気投合してしまった。柴田さんの好奇心に育まれた人間的魅力が、KGCを育て、世界中の表や裏の要人とネットワークを広げせしめたのだろう。

いい酒を飲んだ夜だった。
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by flauto_sloan | 2008-11-12 23:27 | 交友
景気判断
この週末は、全米最大の日本人向け就職イベントである、ボストン・キャリア・フォーラムがあった。昨年は興味本位で足を踏み入れたが、今年は特に何もせず。西海岸から来た会社の元後輩と遅くまで飲んだ。

聞くところによると、景気の後退のため昨年に比べて大分規模が縮小しているらしい。特に金融はブースの規模もぐっと小さくなり、活気も衰えているという。どこも人員削減を行っている状況では、なかなか採用も行えないのだろう。

景気判断は、データの収集・分析・判断それぞれに時間がかかるため、実質的に不況になってから不況が宣言されるまでには時間の遅れが生じる。業種によって差はあるが、採用活動の縮小は、目に見える景気の先行指標だ。来年の帰国時にどうなっているのか、なかなか気がかりではある。
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by flauto_sloan | 2008-11-02 04:01 | 交友