MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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カテゴリ:MIT文化( 14 )
MIT vs Facebook
気楽に楽しんでいる授業、"Web3.0"SNSについて議論した。日本ではmixiが先行者のGreeを抜き、最大の会員数を誇っているが、ここ米国では何と言ってもFacebookの勢いが凄まじい。そのFacebookに対し、MITの学生たちが面白い研究を行っている。

SNSの新たな覇者、Facebook
日本へも進出したFacebookは、アメリカの学生のほとんどがアカウントを持っており、新入生の8割がオリエンテーション前にアカウントを作り、入学する大学のコミュニティに所属したという調査もある。ハーバード在学中に立ち上げた創業者のMark Zuckerbergは、今やWebの世界で最も注目されている一人だ。

かつての覇者はMySpaceだったが、ついにFacebookがSNSの利用者数でトップに躍り出た。MySpaceはむしろ人数が減少している。ネットワーク外部性が強くはたらくSNSでは、このままMySpaceが凋落してしまう可能性もない訳ではない(ただしこれまでもユーザー数は増減しており、断言はできない)。Facebook上ではユーザーがアプリケーションを登録することができ、数多く(そして玉石混交)のデベロッパーが参画している。

MIT on Facebook
世界一の技術学校であるMITでは、FacebookはSNSとしても、研究対象としても高い関心を得ている。Facebookの"Friends"の表示を"Enemies"に変換するアドオンを開発したり、MIT・ハーバード・NYU・オクラホマ大学の4校の生徒のFacebookページをクローリングしてデータをダウンロードするプログラムを作り、7万件以上の個人データを取得したり(特にMITでの成功率は80%)と、色々な試みをしている。

そして授業で聞いた衝撃的な研究は、「Facebookで繋がっている人間関係から、隠された同性愛志向を暴く」というものだった。同性愛を暴くこと自体を主眼にしたのではなく、本人のコントロールできないところで個人情報が暴かれる可能性を示した点で、SNSに潜む恐ろしさを明らかにした。

Facebookには、"Interested in"という男性と女性のどちらに性的関心を持っているかを書く欄がある。男性が「女性」としていれば異性愛者だし、「男性」としていれば同性愛者だ。「何でも」という選択肢もあるが。この欄は公開にも非公開にもできるので、同性愛者の中には、オープンにしている人もいれば、隠している人もいる。

そして、友人の繋がり=ネットワーク情報から、ある個人を中心としてどのようなネットワークが広がっているのかを分析することができる。友達の友達の友達・・・と繋げて、網の目のように複雑なネットワークを図示すると、同性愛者がある区画に偏在する。同性愛者のコミュニティで友達を持つからだ。

色々な分析手法を用いると、ある人が「友人」たちの性的関心と関係の強さから、同性愛志向を持っていても隠していることを暴くことができるという。この研究では、90%以上という高い確率で「暴いた」という。

研究対象を同性愛者にしたため、政治的正しさの面で批判を受ける可能性はあるが、この研究成果の意味合いは大きい。本人が知らないところで、公開すらしていない個人情報を悪用される可能性があるからだ。

例えばある企業が同性愛者、特定の人種、思想などで採用差別をしようとした時、Facebookを用いて志願者が差別対象かどうかを知ることがありうると実証したのだ。しかも、本人がその情報を公開していなくても。

自分のプライバシーを自分で守る*、それすらも叶わぬ理想でしかないのかもしれない

* Mixiでもプライバシーに関しては数多くの事件が起こり、日本人のプライバシー漏洩への恐怖感の高さ(と個人情報保護法に関わる狂騒)から、いまや本名を載せている人は少ない。セキュリティシステムや登録項目が異なるので、Facebookと同じ分析が可能かはわからない
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by flauto_sloan | 2009-04-06 22:36 | MIT文化
卒業式のゲストスピーカー発表
MITの卒業式 - 私自身の卒業式だが - のゲストスピーカーが発表された。マサチューセッツ州のパトリック知事だ。知事はバイオテクノロジーや代替エネルギー技術をマサチューセッツで推進するための施策を打っている、先進的な知事だ。なにより彼は全米二人目の黒人の知事であり、オバマ大統領の当選・就任と呼応させて選んだのだろう。

パトリック知事は素晴らしいのだが、グローバルな知名度の点では、若干の物足りなさを感じる。技術も経済もグローバルになり、多様性を重んじ世界を導くイノベーションを生み出すMITであれば、グローバルに活躍する人をゲストスピーカーに呼んで欲しかったという思いもある。州知事はあくまで州知事であり、アメリカの北東のローカルな大人物である。

とはいえ、総長以下が慎重に選んだのだろうから、この学問とイノベーションの地に相応しい素晴らしい人物であろう。勇気付けられる名スピーチを期待したい。


卒業式のスピーチは各校かなり慎重に選び、選ばれた側は名スピーチを残すことが多い。有名どころでは、以下のようなものがある。

Apple CEOのSteve JobsによるStanford 2005 commencement speech

昨年のJ.K.Rowling女史(ハリー・ポッターの著者)によるHarvard Commencement Speech

映像はないが、他にこれまでに紹介したものでは、昨年のMITのM.Yunus氏のスピーチ、ジョージア工科大学でのB.DysonコカコーラCEOのスピーチが素晴らしい。

知事がこれらと比肩するほどの素晴らしいスピーチを残してくれれば、旅立つ上でこの上ない餞となるだろう。私がMITで聴く最後のスピーチであろうから。


参考: 直近3年間のMIT、ハーバードの卒業式スピーカー
    MIT
  • 2008: Muhammad Yunus (グラミン銀行総裁、ノーベル平和賞)
  • 2007: Charles M. Vest MIT名誉学長 (MIT Songsにも登場する、15年間MITの学長を務めた教授)
  • 2006: Ben Bernanke (連銀総裁)

    Harvard
  • 2008: J.K.Rowling (作家)
  • 2007: Bill Gates (Microsoft創業者、ゲイツ財団理事 ; 映像)
  • 2006: Jim Lehrer (作家)

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by flauto_sloan | 2009-02-13 21:46 | MIT文化
スムート原器
イベントチェッカーとして、MITやハーバードの面白そうなイベントをいつも探しているのだが、見逃していて悔しいイベントを見つけてしまった。
今月5日にあった"Smoot Celebration Day"だ。ニュースにもなっていた程のビッグイベント。

スムートといえば、MITのHackの代名詞だ。チャールズ川にかかったハーバード橋の長さを測定するため、Smoot氏を横たえて測ったという。Wikipediaにも載っている国際単位系の基本単位だ(嘘)。

ちなみに、ハーバード橋は「364.4スムート±耳」だ。今でも橋には10スムート毎に標が付けられている。

この単位の誕生50周年を祝って、スムート原器であるスムート氏を招いた祝典が行われていた。ホックフィールド総長直々に謝辞を送ったそうだ。

ああ、こんなにMITらしいイベントだったのに、逃すとはなんたる無念・・・
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by flauto_sloan | 2008-10-18 11:14 | MIT文化
Hack Goes Green!!
エネルギー問題、環境問題、貧困問題等、"sustainability"は最近のキーワードになっている。"green"は今やsustainabilityを表す色であり、"XX goes green (XXは持続可能性に本気で取り組みます)"という表現がよく見られる。

我等がMITのHackも、sustainabilityを意識するようになったらしい。

ある夜にメインキャンパスを歩いていて、ふとトイレの看板に目をやると、なにかいつもと違う。男女とも人型の頭が緑色になっていて、何か書いてある・・・
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"Save Energy
Do it in the dark"

(エネルギーを節約しよう。暗いところで用を足せ)

・・・・・・。
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by flauto_sloan | 2008-09-22 13:33 | MIT文化
Japan Week
今週はMIT Sloan Japan Weekと題して、日本を紹介する様々なイベントを催す。目玉は昨年大好評を博したスローンの公式パーティー、Japan C-functionだ。木曜のそのパーティーに向けて、日本人は浴衣で授業を受けたり、日本をよく知るスピーカーを招待したり、Tシャツや日本グッズを売ったりして盛り上げていく。

今年はHajimeデザインの雅なTシャツ、「志」と大書された団扇、浴衣などを売り出した。女性の方が購買意欲が高いのか、女性用浴衣がよく売れる。事前に需要がわからなかったため、売れ残るものと売り切れるものがはっきり分かれ、仕入れの難しさを身にしみる。


Japan C-functionのTシャツは、ネットワーク外部性が特にはたらく。このケースでは、周りにTシャツを買って着ている人が多いほど、自分がTシャツから得られる効用(一体感や昂揚感)が高まることを指す。

各コミュニティのC-functionではほぼ必ずTシャツが売られるのだが、日本はトップバッターなため、1年生は「なぜTシャツを着なければならないか」「一枚$10は高くないか」といった疑問に対する情報がない。日本人との付き合い以外に特に購入理由が見つからないと、$10のシャツを誰も買いたがらない。

火曜、水曜とTシャツを着て登校する人が増えてくると、自然と目に付くようになり、またC-functionに向けたモメンタムが生まれてきて、Tシャツを買うことで得られる一体感・昂揚感がどんどん強くなっていく。するとTシャツはどんどん売れるようになり、完売できる。

ネットワーク外部性がはたらく時、安定な均衡点は二つあり、誰も割高なTシャツを着ないか、皆Tシャツを着るかだ。その間に「クリティカル・マス」があり、その量を何とか超えないと、Tシャツ売り切れは難しい。


今回は初日売上が60枚(仕入れ300枚)。4日間で売るには出だしが鈍い。どんどん売っていくには、目に入るTシャツの数を増やしていかねばならない。無理やり買わせた友人に翌日着てきてもらう、教授に無料進呈して授業中着てもらう、といった地道なお願いで、1年生の間でクリティカル・マスにまでもっていかねば。

さあ、売り切ることができるだろうか。
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by flauto_sloan | 2008-09-15 13:18 | MIT文化
MITのアングラ
c0131701_1292641.jpgアングラ、といえば学部生(Under graduate)を指すのだが、MITにはもう一つアングラがある。地下通路(Under ground)だ。

何の目的なのか分からないが、MITのメインキャンパスの地下には地下通路が張り巡らされていて、雨の日でも濡れずに移動できる。残念ながらスローンや私の寮にまでは伸びていないため、ずっと地下というわけには行かない。が、キャンパスのど真ん中の学部生向け寮(そしてhack文化の中心)であれば、雨の日にも殆ど濡れずに授業へ出ることは可能だ。

雨が降っていたので、今日は珍しく地下通路で帰った。昔のファミコンのゲームのような感覚で通路を突き進む。
c0131701_129819.jpg時折、現在地を示す地図や、行き先の建物を示す看板があるが、確かに今どこにいるのかが分からなくなる。

東大の駒場キャンパスにも地下通路があり、雨の日でもパジャマで駒寮生が授業に出られた、という話を聞いたことがある。地下通路、とはどことなく秘めた雰囲気があり、それが学部生を惹きつけるのかもしれない。
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MIT文化でもう一つ。
先週24日に、授業の履修追加と取下げ(Add & Drop)の締切りがあった。この日はMITの伝統、Piano dropの日でもあり、今年も例年通りBaker houseという寮で行われた。新趣向として、屋上からグランドピアノを落とし、地面に置かれたもう一台のピアノに当てる、という試みが行われた。結果はこの映像にて

それにしても、音楽家の端くれとしてこの行事だけは見ていて笑えない…
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by flauto_sloan | 2008-05-01 11:57 | MIT文化
Grad Rat
c0131701_13485512.jpgMITの学生および卒業生が嵌める指輪、通称 "Grad Rat" を手に入れました。
MITの文化の一つで、MITのマスコットであるビーバーが彫られていることから(そしてそれがネズミに見えたことから)、学部生の指輪は真鍮鼠=Brass Rat、卒業生用はGrad Ratと呼び交わされています。卒業年と学部も彫られており、毎年デザインは変わります。
これを見れば、私が2009年卒業予定でMBAのコースだとわかります。

c0131701_13491966.jpgこの指輪には決まった嵌め方があります。右手の薬指に、在学中はビーバーを写真のように手首の方を向くようにし、卒業後はビーバーが指先を向くようにひっくり返して嵌めます。
この由来にはいくつか説があるらしいのですが、よく言われるのは、

1. 在学中は大変な授業や課題(ビーバーがMITを象徴)が自分にのしかかるのものの、卒業後は逆にMITで学び、得たもので世界に根を下ろす
2. 指輪の側面にボストンとケンブリッジの町並みが彫られていて、在学中は川向こうのボストンを眺め、卒業後はボストン川からケンブリッジを眺めて懐かしむ
3. その他(こちらを参照してください)

以前MITのライバル校、西の雄 Caltech まで出向いた出張Hackでは、Caltechの象徴の砲台に、このBrass Ratを嵌めて、はるばるMITまで持ってきてしまったそうです。
(その後 Caltechの学生と和睦が成立し、砲台は返却されたそうです)


就職活動や学会などでこれをしていくと、卒業生が気づいて近づいてきて、
"3, 68"
などと言って握手を求めてくる事があるそうです。
これはコースをあらわす数字の3 (Materials Sciences and Engineering)と、卒業年1968年を意味します。
何でも数字のMITらしいです。ちなみにMBAは15なので、私は "15, 09"です。


そしてなぜビーバーなのでしょうか。
MITのマスコットを決めるときに色々な意見が出たそうですが、最後は北米に住む自然界のエンジニアたるビーバーを選んだそうです。
材木を切り倒してダムの家を作るのがエンジニアリングだということです。
まあネズミに間違えられては仕方がありませんが。

ちなみにビーバーのキャラクターの名前は、MITを逆さまにして "TIM" といいます。全校のイベントなどにたまに登場します。
貸し出しもしているそうです…
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by flauto_sloan | 2007-12-05 22:29 | MIT文化
MITHENGE
c0131701_17192841.jpgMITらしいイベントに、MITHenge というものがあります。
イギリスのStonehengeになぞらえたもので、年に2回、1月と11月に、Infinite corridor と呼ばれる長い廊下(建物3つにまたがる)に対し一直線に日光が差し込んでくる現象です。
(写真はこちらより転載)

当然MITなので、いつこの現象が起きるかは、天文学的に(?)2100年まで計算されています。

先週のOrganizational Processes の授業で "Culture" を取り扱ったときに、MITの文化として紹介されました。ちょうど今日であることがわかったので、同じチームで航空宇宙エンジニアのPatrick と、半導体エンジニアのItai と3人で、授業をちょっと抜け出して見てきました。

c0131701_17141570.jpg廊下の東端の8号館3階には、すでに多くの人々が。
待つこと数分。
途中で何も知らない学生が廊下を歩いて視界を遮ることがあり、Patrickが大声で
「お前ら透明人間じゃないんだから道を塞ぐな!」と叫んでます。

遥か遠くの窓に、確かに太陽が見えました!!
上の写真のようには撮れませんでしたが、MITらしい文化を体感しました。
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c0131701_1716224.jpg帰り道、もう一つMITの文化である、有名な略語 "IHTFP" がホワイトボードに大きく書かれていました。
意味は…
"I Hate This F***ing Place"
です(リンク先には他の用例が載っています)。

まあこれもMIT、ということで。
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by flauto_sloan | 2007-11-14 21:51 | MIT文化
Demotivators
c0131701_16411393.jpgMaterials Science の建物の中を歩いていたら、液体窒素のベッセルなど、懐かしいものを見かけました(私は一応これでも Materials Science 出身)。

そして、廊下に "Demotivators" と題されたパネルが。
研究をする上で、demotivate (やる気の喪失)につながる様々な要因が、象徴的な写真と共に書かれていました。

なかなか皮肉が利いていて面白いので、ご紹介を。

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Risks: 何も新しいことを始めなければ、人生での大きな機会を失う。失望する機会を
Insane: いかれてる人を理解するのは難しい。特に君がいかれている時は
Compromise: お互いの意見を尊重し、認め合おう。例え君の方が間違っていようとも
Problems: 直面している問題がどんなに大きく複雑でも、見えているのは氷山の一角だ
Hazards: どんな困難の中にも好機はあるものだ。そしてそれを見逃すのが運命だ
Indifference: しかめ面には47の、微笑みには17の筋肉を使う。でも君に顔を向けているだけなら1つも使わなくていい
Sacrifice: 君の役目は感謝を受けないかもしれない。でも他人にすべてを与えれば、君よりも長生きする人々に成功をもたらせる
Inspiration: 天才とは1%のひらめきと99%の汗である。だからエンジニアはひどく臭う
Change: 変化を引き起こす風が充分に吹けば、ちょっとしたものでもロケットのように飛び掛ってくる
Achievement: 心に決めたことは何でも成し遂げられる。ビジョンがあり、決断力を持ち、消費されるための労働を提供すれば
Discovery: 人々のために世界の果てまででも行く企業は、そこでアメリカ人の10%の人件費の人々を見つける
Quality: 品質向上に終わりはない。行くあての無い死の行進のようなものだ
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研究者も大変です・・・
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by flauto_sloan | 2007-11-08 02:20 | MIT文化
Hack - Go Red Sox!
2004年のレッドソックス優勝時には、MITの象徴であるグレートドームの頂上にレッドソックスのマークが描かれました。
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昨日のレッドソックスの優勝を受けて、きっとなにかHackがあるのではないかと思っていたら…

やはりありました。
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最近グレートドームにLED光源を(おそらく無許可で)設置したらしく、赤いドームでした。

生ハックは初めてだったので、ちょっと嬉しかったです。
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by flauto_sloan | 2007-10-29 23:31 | MIT文化