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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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サヨナラダケガ 人生ダ
BUのPh.Dの友人が、無事にDefense(D論発表)を終え、就職のため帰国することになった。今日はその送別会だった。

去年の後半辺りから、ボストンの日本人Ph.D軍団とは仲良くしてもらっている(私も彼らにしてみたら、社会を知っている人生の先輩と思ってもらえているのだろう)。その一人であり、これから素晴らしいキャリアが始まるとはいえ、残るものとしてはやや寂しいものだ*

特に寂しがっているのは、私が来る前から付き合いのある他のPh.D生だった。一人はgmailのコメント欄に

「さよならだけが人生だ」

と書いていた。


この一節は、高校時代に私が傾倒した、新感覚派の井伏鱒二の名訳からだ。たしか『中島健臓に捧ぐ』(手許に本がないので違っているかもしれない)と題した小編に、于武陵の『勧酒』の訳として載っていた。この詩はとても好きだったので、今でもそらで詠える
勧君金屈巵
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離

コノサカヅキヲ 受ケテクレ
ドウゾナミナミ ツガシテオクレ
ハナニアラシノ タトヘモアルゾ
サヨナラダケガ 人生ダ
そう、人生足別離だ。流石に私も老いの萌芽が見えてきている。もう10代のような、無邪気無鉄砲無尽蔵な若さはない。老いの先には別れがあり、死がある。それを受け入れることが、人生なのだろう。

ならば酒を酌み交わし、二度と来ない今を楽しみ、せめて最後の別れは楽しく、今生の別れとなっても厭わないほどの豊かな別れをしておきたい。

サヨナラダケガ 人生ダ


* 送別会はさすがに参加者が若く、やや居場所に困った30代のおじさん4人で固まり(Harvard 2人: 経産省+弁護士、MIT 2人: 物性研究者+私)、日本の素材産業の将来について熱く語り合ってしまった。主役とはあまり関係ないのに
by flauto_sloan | 2008-10-09 23:29 | ボストンでの生活
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