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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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Zurich CEO - 変化に適応し、柔軟なリーダー
スイスの保険大手、ZurichのCEO、James Schiro氏の講演があった。危機に直面したリーダーシップがテーマで、いかに変化に対応するために、多様な人材を柔軟に動員するのかがリーダーシップだという。現在もっとも過酷な業界の一つだけに、言葉には重みがあった。
CEOに就任したとき、Zurichは巨額の損失で市場の信頼を失っていた。立ち直るためには、適材適所を徹底して、自信と信用を取り戻すことが必要だった。だがそれは大きな変化、価値観や仕事のやり方の変化を伴った。

人々は変化を嫌う。まして初めてのアメリカ人経営者であり、英語しか話せないCEOが変化を起こそうというのだ、抵抗があるのは当然だ。だから我々がどこへ向かっているのかを示し、かつしっかりと理解してもらった。

人は独りで何事も成し遂げられず、グループでなければ機能しない。グループの中でリーダーを見つけて、やる気を促し、共通の目標やチーム作りを通じて不安要素を取り除いてやることで、リーダーが能力を発揮できるようになる。するとそのグループは活動的なグループへと変化する

よく話を聴く技術も必要だ。あなた自身が答えを持っていなくても、誰かが答えを持っている。話をよく聴き、様々な人々をつなぐことが重要で、そこに多様性が生まれる。危機の際には様々な制約がなくなり、そんなときこそ多様性が危機を乗り越えるのに必要となる。

技術的な専門家はいつでも雇うことができるから、あなたは専門家がいないところを見つけなさい。変化に適応し、柔軟なリーダーこそが、多様な仲間を動かし、未曾有の危機に対処できるのだ。
まさにHeifetzの授業で学んでいるリーダーシップと呼応する。様々な学びが繋がってきて、実証されていく楽しさ。まさにこのMBAの2年間は、技術的なものを学ぶことよりも、環境の変化への適応に必要なものを学んでいる。まさに「専門家を雇えない」領域を学んでいる実感がある。

MBAは必要か不要かなんていう不毛な論議があるが、生涯にわたり大きな影響を与えてくれる知見が得られる場に参加できるのであれば、学位なんてさして重要ではない。むしろ知見を得るのに費やす時間を作れたことが、重要な意義を持っているのだ、と改めて確信させる、有意義な講演だった。
by flauto_sloan | 2008-10-08 10:22 | Guest Speakers
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