MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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NY-Boston - バス業界の仁義なき戦い
NYとBostonは、人の行き来が多いドル箱路線なため、移動手段には以前紹介したように飛行機、電車、バスと様々な公共交通機関がある。そんな中、最近格安バスの新規参入で、とみにバス業界が波乱を含んでいる。

これまでのボストン-NY のバス業界
今年の頭まで、4社3路線がボストンとNYの間を走っていた。チャイナタウン・バスと呼ばれるLucky Star社とFung Wah社と、全米大手のPeter Pan社とGeryhound社の共同運航である。長らくチャイナタウン・バスは$15と低価格だが安全性に問題あり、Geryhoundは$33とやや高いが安全、という棲み分けだった。だがGreyhoundがウェブ予約でチャイナタウン・バスと同額の$15(後に$20)で乗車できるキャンペーンを張り、中国系以外の乗客がGreyhoundに移りつつあった*

格安バス・BoltBusの参入
そこへ今年4月、Geryhoundの子会社のBoltBus社が新規参入した。BoltBusはNYのPenn Station (W34th & 8th)とボストンのSouth Stationを繋ぎ、事前のネット予約で早い者勝ちの最安値$1というインパクトのある安さと、車内で電源と無線LANが使える快適環境、新しく清潔な車体、100時間以上の訓練を受け安全なドライバー、メンバー登録すれば8回搭乗で1回無料という顧客囲い込みで、着実に顧客を増やしている。就航当初はトラブルがあったり、まだ空いてたりしたが、1ヶ月経った現在ではもう満席だ(このブログも車内で書いている)。

チャイナタウン・バスも対抗して$1キャンペーンを打った。だが地場企業が大手に体力勝負を仕掛けるのは無謀だろうし、値下げ競争では更なる安全性の低下を招く(事故が多い話は、多少脚色されながらも学生間に広く流布されている)。

また、BoltBusは全て$1で提供しているわけでは当然なく(限界コストが$1以下である訳がない)、搭乗日が近づき残席が減るにつれ、最高$20にまで漸増する。$1の席数も数席で、いわば見せ玉である。むしろ、Greyhound社がこれまで蓄積した需要データ**に合わせて、既存のGreyhound路線を補完する形で(運行している本数はまだ1日8本程度)参入させたのだろうと想像する。平均客単価はGeryhoundと同じ$15くらいではないかと思う。このあたりの妙を見極めずに中国系が値下げすれば、猟犬の思う壺だ。

さらなる格安バス・Megabusの参入
そしてBoltBusに続いて、英米で交通機関を展開しているMegabusが5月30日にNY-ボストンに参入する。ここも最安値$1であり、無線LANと映画スクリーンがあるという(電源があるかは不明)。東海岸の主要路線でこれまで実績を上げているMegabus社が、BoltBusとどう競合していくのか、一乗客としても興味をそそられる。まさに仁義なき戦いだ。

夏休みを迎え、バス路線は5系統が併走する過当競争になり、均一価格から変動価格へと移った。老朽化したバスを多く保有する中国系が、新車両やサービスに投資するか、あるいは価格設定を需要見合いにしない限り、じりじりと値下げすればまず安全性、そして収益性で一社は市場から駆逐されることだろう。今後が見ものである。

* チャイナタウン・バスはその名の通りNYとボストンの中華街に発着するため、そこに住む中国系には便利。また車内が騒がしいことも、非中国系がGreyhoundに移った要因だと考えられる
** Greyhoundの運賃を$15に値下げしたりその後$20に上げたりしたことで、需要曲線を見積もったと思われる



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by flauto_sloan | 2008-05-23 14:29 | 旅行
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