MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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篤志家の母校愛とアメリカン・ドリーム
c0131701_238417.jpgMITの卒業生で、医療系ソフトウェア大手のMedTechの創業者である Neil Pappalardo氏の講演会があった。題は"Reflect of MIT education"であり、学部生に向けてMITの教育が彼の起業家精神と技術に如何に貢献したかを説く、というものだった。

今まで色々な講演会には顔を出してきたつもりだが、今回は中でも相当の衝撃を受けた会だった。内容ははっきりいって目から鱗ではない。ただアメリカで成功し、富を築いた人が、篤志家として母校に寄付をすることによる名声(即ちリターン)とはどのようなものかを目の当たりにした。

氏はMITの物理学科在学中、卒論研究中に心臓関連の医療機器の測定と分析を自動化・効率化する技術を開発した。卒業後、MGH(マサチューセッツ総合病院)に勤め、同技術をシステムとして作り上げたところ、他の病院からの高い引き合いを見て、このシステムを販売することを決めて独立。VCからの批判を受けて、ソフトウェアだけを販売するビジネスモデルを1970年ごろに作り、現在では南北米、欧州を中心に医療系ソフトウェア*でトップシェアを誇る大企業を創り上げた。財を成した後は、母校MITに多額の寄付をし、自らは学校の監査役となって経営に関わっている。

そんなMITにとっての重要なドナーの講演である。だがMITのもてなしは想像以上だった。

c0131701_23105173.jpg狭い会場は超満員で、異様な温かい雰囲気にあふれていた。Institute Professor の Robert Langer教授や、ノーベル賞の利根川進教授といった、生命工学系の超大物教授まで来ている。

MITの総長がオープニングスピーチと、Pappalardo氏の紹介を行う。質疑応答は工学部長と理学部長が仕切る。

スピーチはユーモアに溢れ、会場は暖かく笑う。氏の家族は全員聴きに来ていて、時折奥さんや娘、孫を紹介する。

そう、成功者が晩年に名誉を讃えられるために、MITがスーパー教授陣、家族席、レセプションといたれりつくせり用意した一大イベントだったのだ。人生の成功者とは斯くあるものなのか、と、噂には聞いていたが目の当たりにして驚愕した。


成功を妬むのではなく、皆でこうして温かく讃えるのが、アメリカン・ドリームなのだなと、初めて理屈ではなく実感する瞬間だった。やはりアメリカの資本主義は強く、懐は深い。

* あまり詳しく調べていないのだが、ERPのようなものらしい
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by flauto_sloan | 2008-04-28 22:27 | Guest Speakers
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