MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
生きたアジアを知る
c0131701_5213691.jpgVogel塾で議論しているアジア経済に関する研究の最終形が見えてきたため、リーダーのIさんの呼びかけでアジアからの留学生を交えたワークショップを行った。MITはPatriots Dayで休日だったが、NYから舞い戻って参加した。

参加者は塾生8人と、韓国人、香港人、インドネシア人、インド人であり、活発な議論の応酬が非常に面白い。以下印象的だった意見(無論、参加者の個人的なもの)を記しておく。


韓国人は、NAFTA、EU、メルスコールなど世界が経済ブロックを作っていく中、日中韓がいつまでもまとまらないのは自ら状況を不利にしており、課題を一つひとつ乗り越えつつ段階的に経済自由化をしていくべきだという。


インドネシア人によると、東南アジアは発展に注力している今はよいが、やがて成長を遂げて経済的に自立が成ると、先の大戦に関する政治的な批判や日本への被害感情が表に出てくる可能性があるという。政治的要因を見定めながら経済協力を進めていくバランスが日本には必要だ。


香港人による中国の政策転換の話が一番刺激的だった。これまで中国は輸出を増やし、外貨準備高を増やしてきた。昨年あたりからその政策を大きく転換させ、輸出を抑制して輸入を増やすようにしている。その結果、貿易額の成長率は輸入が輸出を上回っている。輸出関税(輸出品価格を自分で吊り上げる)を課し、輸入関税を削減しているそうだ。さらには資本に関する政策も転換させ、FDIは高付加価値な産業への投資中心にするという。

目下の中国の悩みは、人民元の切り上げをするか、あるいは為替の自由化をするかであるが、今は人民元切り上げのチャンスであり、実際に速いペースで切り上げている。外貨準備高は割安な元で1兆ドル以上にも膨れ上がっている。元を切り上げると自ら準備高を減らすことになり、エネルギー買い付けの元手が減ると共に、市場に投機資金を呼び込むことになるので、タイミングが難しい。

だが昨今の香港市場の暴落で投機資金が引き上げられ、すぐには戻らないと見られている。これは投機筋を気にせず元を切り上げる絶好の機会であり、実際に15%の市場の暴落を受けて17%の切り上げという、これまで以上の早いペースで切り上げが行われている。ではどこまで切り上げるのか。自由化するのか。今後国際金融のトリレンマをどう解消するのかが大きな課題だが、香港人は楽観的な見方であった。


Vogel塾にはいくら国際通が集まっているとはいえ、実際にアジアの人々と議論をすると、知らなかったことや新たな視点、さらには最近の中国政策のように見えていなかったものが次々と明らかになる。とても楽しく、学びも非常に多かった。

ワークショップ後にみんなで飲んだのだが、皆でキリンビールをあおり、国を背負わずに朋友として多くを語らった。素晴らしい機会だった。
[PR]
by flauto_sloan | 2008-04-21 23:14 | Harvardでの学び
<< 春は名のみの風の暑さや ローマ法王・ベネディクト16世... >>