MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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BSO/Kissin/Levine - 神童と巨匠の間で
水曜日のことだが、BSOのコンサートで「神童」エフゲニー・キーシンによるブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いた。非常にパワフルでスケールが大きく、それでいて閃きに溢れた、感動的な名演だった。

キーシンは12歳でデビューし、日本でも「神童キーシン」として一世を風靡した。そんな彼も今や30代も後半なのだが、そこはただの人とはならず、天才としての実力を確立している。力強いタッチ、自由で説得力のあるテンポやフレージングといった表現力、そしてオーケストラとの協調性、どれも流石に超一流だ。何より、オーケストラに一歩も引けをとらないダイナミクス(音量の幅)が見事であり、ブラームスの構造的な音楽をずっしりと構築していた。
BSOも今日は非常にクオリティが高い。Soheiさんの行ったブラームスのPf協1番と共に、この公演のCD化を考えているのだろう。メンバーも気合も違う。弦楽器の響きは厚く、管楽器は歌に溢れる。

そしてそんなキーシンとBSOとが、真っ向勝負をしている。お互いの音楽性全てをぶつけあい、リアルタイムでのやりとりと、そこから生まれる芸術があった。レヴァインの指揮も柔軟性に溢れ、天才的なキーシンの閃きにも自在に対応し、むしろそれをレヴァインの音楽に取り込んでいる。素晴らしい演奏会だった。

高名なキーシンだけあり、観客は超満員。日本人(MITの人を多く見かけた)やロシア人が比較的多い。そんな観客たちはキーシンの熱くそれでいてどことなく冷静な音楽に惹き込まれ、熱狂していた。キーシンの世界がホールに舞い降りていたとでもいえようか。演奏が終わると、直ちに観客全員がスタンディング・オベーションで惜しみない賛辞を贈っていた。

キーシンは天才として育ったからか、見たところ不思議な人物だった。どこか人を喰ったような、やんちゃな表情を見せつつも、彼の演奏を慶んで聴いてくれる聴衆の反応に無垢に嬉しがっている。本当に音楽を愛し、音楽にのみ生きている永遠の少年、といった感じだった。そんな彼だから、アンコールも2曲と大盤振る舞いで、聴衆はさらに大興奮だった。

前プロだったブラームスの交響曲第3番も素晴らしく、今シーズンのBSOの演奏会でも、一、二を争う名演だった。
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by flauto_sloan | 2008-04-13 23:23 | 音楽・芸術
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