MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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中国への賛否
中国がその潜在的な経済力と顕在化した成長力とで、世界の期待と不安を集めているのに異論は無いだろう。特に今年の北京オリンピックは、大陸人だけではない中国人にアイデンティティの確認と昂揚をもたらしている。同時に様々な問題で国際社会で対立し、ナショナリズムの高まりが起きているが、捉えようによっては日中関係を改善するチャンスでもある。

スローンにおける中国コミュニティ
スローンにおいても、中国のアピールが盛んである。中国人コミュニティが今年初めて "China C-function" を開催した。C-functionは木曜夜に行われるスローンの公式パーティーで、日本人も昨年開催している。中国は昨年までAsian C-functionの一員だったのだが、今年ついに独立した*

また "China lab" というプロジェクトが発足し、中国出身のYashing教授などを巻き込み、中国の企業を訪問しコンサルティングをするといった活動を行っている。

今学期後半の、"Business in China and India" という授業(私は履修できなかった)では、毎回中国人とインド人が口角泡を飛ばしているらしい。

思えば、漢民族が世界(少なくとも自分たちに見えている世界)をリードするとしたら、明代以来350年振りだ。それだけに、中国人のエネルギーには圧倒されてしまう。時折行き過ぎを感じないわけではないが。


中国人への反発
これはスローンではないのだが、MITの校舎を歩いていると、掲示板に北京オリンピックを盛り上げるためのポスターが貼られている。恐らく、盛り上がって待ちきれなくなったMIT中国人コミュニティが作成し、国際社会でのプレゼンスが上がった中国をアピールしたかったのだろう。あくる日、そのポスターに別のポスターが重ねられていた。
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手錠で作った五輪、中国の人権侵害を糾弾する内容の文章。そして元のポスターには "Free Tibet" や "Save Darfur" の文字が。

チベットやダルフールは国際社会で度々取り上げられる問題であり、ヨーロッパでの聖火リレー妨害で改めてこの問題が浮き彫りにされた。その流れがMITにも届いている。中国がアフリカに経済支援をしているが、それが資源目当ての植民地化ではないかと疑われ、また非人道的な独裁国家を支援していると非難されている。

そういった中国の外交政策への非難に加えて、中国への恐れがあるのだろう。アメリカは日本の台頭をコントロールすることができたが、中国に対してはそれができない。アメリカ経済が翳りゆく中、中国のもたらす世界覇権への影響を感じ取っているのだろう。

翌日には抗議ポスターが全て剥がされていたが、問題が剥がされたわけではない。今後も大小様々な衝突が起きるだろう。今回のような不健全で陰湿なものでないとよいが。


孤立する中国と、日本との関係
Vogel塾で先生が仰っていた中国と日本の関係が印象的だった。曰く、中国が国際社会で孤立するのは、日中関係を改善させるチャンスである。

天安門事件で中国が世界から孤立したとき、中国国内では海外への強い反発が生まれた。そんな中で日本は表立って中国を非難しなかったため、「味方」と認識され、日中関係は非常に良好になった。

現在は似たような状況にあり、チベット政策やダルフールへの関与といった人権侵害を厳しく非難され、聖火妨害で面子を潰された中国の国内では、ナショナリズムが先鋭化し、海外諸国への非難が高まっているという。

ここでもし日本が、世界トップクラスの事なかれ主義と衝突回避能力を発揮できれば(なんて悲しい能力なんだ…)、天安門同様に中国に受け入れられ、良好な関係を築く契機となりうる。米国は大統領選を控えていて対中政策が不透明(全般に強硬化しているようだが)であるから、今のうちに対中優位を確立できるだろう。

北京オリンピックまで、さらに中国をめぐる動きが活発化するだろう。世界の反応とその日本への意味合いを考えられる冷静さと柔軟さを養わねばならない。

* 台湾人や中国系アメリカ人が開催メンバーに呼ばれないという、微妙な問題も含んでいた
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by flauto_sloan | 2008-04-06 16:50 | ボストンでの生活
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