MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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ファイナンスII - 兵站を確保せよ
今学期のファイナンスIIは、かなり技術的だった先学期(それはそれで面白かったが)と打って変わり、実践的なコーポレートファイナンスを取り扱う。走りながら学ばねばならない仕事と違って、腰を落ち着けて学ぶと、徐々に全体像が見えてくるのはMBAならではの楽しみだ。

CFOとしての役割を意識し、「いかによい財務判断を行うか」「いかによい投資判断を行うか」「いかにキャッシュを尽きさせないか」について学ぶ。特に前半の講義では資本構成のあり方から、持続的な成長についてを重点的に取り扱う。

そのため今は、様々なケースを用いて、必要な資金をどう調達すべきかを学んでいる。負債に頼りすぎて破産したケース、余剰資金で自社株買いをして大成功したケース、等々。成長と資本構成の絶妙なバランスが面白い。

CFOは、兵站を担うのだな、と思う。キャッシュという企業にとって最大のリソースを、いかに最前線の事業に送り込むか。持続可能な成長を越えて独走してしまう事業(時にはCEO)を、どうコントロールするか、あるいは突き進むための資金を捻出するか。地味かもしれないが非常に重要だ。

クラウゼヴィッツ『戦争論』で、戦争の要素として戦略、戦術、兵站を挙げた。戦略を立案するのがCEO、戦術を実行するのがCOO、兵站を確保するのがCFOと、強引になぞらえると、なかなか意義深い。

戦術上の「攻撃の限界点」と戦略上の「勝利の限界点」はファイナンスの「持続可能な成長率」に対応している。それ以上攻めてしまうと、逆に不利になってしまうという均衡点をいかに見出し、そこを維持するか。そして維持するために資金をどう送り続けるか。

戦争において偉大な戦術家が臨界点と兵站能力を見誤り、敗走した例は、ハンニバルナポレオンを挙げるだけでも充分だろう。ファイナンスでは、デルですら急激な成長を追いすぎて、資金枯渇の瀬戸際にあったことがあるという。

方や漢王朝の創立を支えた兵站のスペシャリスト、蕭何は初代の相国(最高位の執務官)になったし、秀吉の天下取りで兵站を支えた長束正家は五奉行になった。古今でいかに兵站が重要と見られているかだ。尤も、地味なために軽視されることも多かったであろうが。

喩え話ばかりになってしまったが、企業の兵站を司るための理論と実践を学ぶことは、成長戦略ほど派手ではないものの、面白い。なかなか難しいが、面白さがわかってきたので楽しんでみよう。
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by flauto_sloan | 2008-03-10 21:45 | MITでの学び(MBA)
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