MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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Charismatic Visioning
先週Leadership CenterのDeborah Anconna教授による"Charismatic Visioning"という特別講義に参加した。MIT Sloanが掲げる"Distributed Leadership"の一翼である"Visioning"について、それがカリスマ的であるとはどういうことか。講義と実践によって意識付けをするセッションだった。

Anconna教授はカリスマ的リーダーを、情熱に溢れ、人々を感化する使命感を持ち、道徳へ訴求し、活き活きとした話し振りで、言葉以外でも訴えかけることができる人物だとする。

例としてApple創業者ののSteve Jobsが挙がり、彼と同僚のビデオを見て議論したのだが、確かに彼のリーダーシップは目を見張る。先学期の組織論でも取り上げられたが、特にマッキントッシュ発表時の使命感と、それを効果的に訴える能力には感嘆した。そして確かに、上記の要素を備えている。

今脚光を浴びているカリスマ的リーダーといえば、民主党大統領指名候補のオバマ上院議員だが、彼もカリスマの要素を満たしている。「目的が実行可能なことを論理立てて説明する」はカリスマの要件でないこともよくわかるが。

さらに興味深いのは、これまでのアメリカ大統領で「カリスマ」と看做されている人物(ジェファーソン、ジャクソン、両ルーズベルト、リンカーン、ケネディ)は、皆再選したか ― もしくは暗殺されたかのどちらかだ。暗殺が神格化を強めている面はあり得るが、もしオバマ氏が大統領になった場合、きちんと身辺警護をしなければなるまい。

カリスマ的リーダーには当然、制約もある。諫言する側近を得にくい、非現実的な期待感を持たれる、常に「裏切り」に悩まされる、等々だ。韓非子やマキャベリはこれらの制約の克服方法を多様に示していることから、古今のリーダーに付きまとう運命なのだろう。

そして実践編として、カリスマ的スピーチを行った。キング牧師の伝説的名演説"I have a dream"のように、普遍的価値へ訴え、比喩や物語を用い、修辞したキーワードを繰り返し盛り上げ…等々、なかなか面白い。そして確かにカリスマ風味にはなる。

人々の根幹を揺さぶる物語で人が動く。これは政治でもビジネスでも、家庭でさえも当てはまるだろう(父親の威厳がまだ幻想でないとすれば)。

若手の頃に仕事を一緒にした、ドイツ人の大パートナーが、
「人はデータでは動かない。ストーリーを理解して初めて動く。だから我々は分析ではなくストーリーを作るのが仕事だ」
と言っていた。データが信条だった当時の私には非常に衝撃的で、重く受け止めたのをよく覚えている。

魅力と毒を兼ね持つ「カリスマ性」をどのように作り出すか、そのプロセスと、そのプロセスが機能する原理を学び、考えるのはなかなか面白いかもしれない。
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by flauto_sloan | 2008-03-04 21:45 | MITでの学び(MBA)
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