MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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第70回 日本人研究者交流会 - 貧困層へのアプローチ -
今日は自分が幹事をし、以前発表も行ったボストン日本人研究者交流会があった。今日の発表は、「経済発展・貧困解消のための金融」と「第一部:医者はこうして作られる、 第二部:パキスタンでの災害医療支援」 と題したもので、発展途上国の現場で何が行われているのかをビビッドに知るいい機会だった。

Brandais大学の方による「経済発展・貧困解消のための金融」は、金融機関が経済発展にどう貢献しているかを論じたうえで、マイクロファイナンスに代表される途上国での金融のありかたと今後の可能性について説明していた。マイクロファイナンス・マイクロクレジットは、グラミン銀行とその創立者ユヌス氏のノーベル平和賞受賞に代表されるように、近年非常に注目を集めている開発アプローチであるが、実態を聞くのは初めてだった。

金融機関の主要機能の一つであるクレジット。それが本質的にはらむ課題である、モラルハザードと情報の非対称性は、途上国で特に大きな問題となっているそうだ。クレジットヒストリーがなく、そもそも借金という概念もない途上国の人々に対して、普通はモラルハザードと情報の非対称性を懸念してお金を貸すことができない。だがお金があれば自立でき、経済活動が生まれうるのであれば、そういう人たちへいかに効果的にお金を貸し、自立を促し、それでいて持続可能な活動をするのか(貸し倒れリスクをコントロールするか)がマイクロクレジット機関の課題意識である。

グラミン銀行を始めとして非常に効果を挙げている一方で、マイクロファイナンス機関の乱立や、収益性といった問題も抱えている。まだ揺籃期であるこの金融システムをどう安定させていくかが今後の課題だろう。


聖路加からハーバード公衆衛生大学院へ留学している先生による、「第一部:医者はこうして作られる、 第二部:パキスタンでの災害医療支援」も、共通するテーマが含まれていた。
前半は、日本の医療制度を支えている研修医をどう教育すべきかについて、聖路加の例を挙げながら議論していった。特に印象的だったのは、米国の調査によると研修医の2割は鬱病を患い、7割はバーンアウトしているという調査結果と、鬱病を患っている研修医は医療過誤を起こしやすいという話だった。昨今の医療崩壊といった話にも繋がろう。これまで精神論が主流だった医学界でも、メンタルヘルスをどう扱うかへの関心が高まっているそうだ。

また、後半ではパキスタンの大地震後に医療ボランティアとして現地で医療活動をした経験を紹介していた。災害時の救援は、災害発生からの時間によってフェーズが異なり、それぞれで求められる医療技術が変わるそうだ。発生直後は救急医療が中心だが、半年ほど経つと、内科医療や歯科治療が中心となるそうだ。そのような現地のニーズを正しく見極め、フェーズに適した人材を派遣しないと、無駄になりかねない。貧困地での災害救助の重要性とインパクトを実感した。


懇親会では、発表者を初め、活発な意見交換が行われた。私も、日本の製造業の抱える課題と近い将来に見込まれるリスクを話したり、日米の医療教育の違いを聞いたりし、知的に大きな刺激を受けた。

やはりボストンという地に集まる、優秀な日本人研究者との議論は面白いし、目線が上がる。様々なトピックにより知識の幅も広がり、刺激的だ。幹事という立場も活かして、日本の将来のリーダーとの活発な意見交換を続けたい。
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by flauto_sloan | 2008-02-23 23:23 | ボストンでの生活
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