MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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りごぼん語録
マクロ経済学の Roberto Rigobon 教授は、とてつもなく破天荒なベネズエラ人だ。私のクラスは朝8:30からなのだが、最初からハイパーテンション。隣の教室から苦情が出そうなくらいの大声で叫びながら授業をする。
話す内容は過激で、政治的に正しいかどうかなんて構いやしない。そのノリが苦手な人もいるのだろう。第1回目の授業では教室から溢れんばかりだった生徒も、第2回からはちょうど席数通りになった。
(参考: りごぼんが米国経済について語る講演の映像…一般向けなのでいつもより大人しい)

そんなリゴボン教授の、過激だが味のある発言集。実際はあまりに過激な発言のときは、「ジョークだよ」などのフォローが入る。さすがに。

(初回、教室に入る生徒を一人ひとり捕まえて)「君はどこから来た? 日本? よし、じゃあここに座れ。 君は? ブラジル? 素晴らしい! お、もう席がないようだな。そこの座ってる君、確かニューヨークだったよな。この子がそこに座るから、お前はそこの床に座れ!

「権力。権力が必要なんだよ。俺は家ではかみさんに支配され、ここ(スローン)ではディーン(学部長)に支配されちまってる。このままでは自分のバランスが取れないと思ったから、この授業では権力を振りかざす! 座席を俺が決めたのも、その権力を使ったんだ!」

「俺は君らの国について色々揶揄するが、悪く思うな。いいか、俺はベネズエラ人だ。俺がなんと言おうと、君らの国はベネズエラよりはましなんだからな!!

「俺は昔はいい男だった・・・ でも(彼が勤めていた)製薬会社の人体実験でこうなったんだよ。
製薬会社は治験する時に、動物で試して、ベネズエラ人で試して、それから人類で試すんだ!」(是非リンク先を見てみてください)

「この授業でのルールは二つ。
1. 欠席・遅刻・早退は認めない。いかなる理由があろうと、欠席は出席点にマイナスをつける。言い訳をする必要はないし、聴きたくもない。俺はこの授業を最大のプライオリティにしているし、君らにもそうして欲しい。君のプライオリティがことなるなら、それは仕方ないが、これは俺の授業だから、俺のプライオリティが優先される
2.ケースは必ず読み込んでこい。眼を通すだけじゃ駄目だ。何が起きたのか、深く理解して来い。もしケースを読んでいないのなら、授業に出るな。ケースを読んでいないとわかったら、出席点にマイナスをつける。
いいか、俺は嗅覚が鋭い。ケースを読んでいない奴の『恐怖』は確実に嗅ぎ取る。その時に俺が如何にそいつをおもちゃにするのかは、見ものだぞ。」

「ルールはこの二つだから、いわゆる『スローン・プロフェッショナル・スタンダード』は守らなくていい。授業中にPCを開けてメールをチェックしている奴がいたら、それは俺の責任だ。俺が君らを授業に集中させられなかったからだ。
それから、携帯電話に出ても構わない。ただ、君らが携帯に応える時は、俺が代わりに電話に出てやる。俺はクリエイティブな電話応対をするのには自信があるぜ。」

他の初回での発言は、友人の記事とほぼ同じなので、割愛。


1923年のドイツのハイパーインフレのケースにて、
「いいか、過去を分析する時に、『連中が馬鹿だったから、こんなことをしでかした』と言うことは簡単だ。歴史は馬鹿な行為の積み重ねだ。
だが当時は情報も知識も限られていたから、馬鹿なことをしでかしたんだ。大体、歴史の結末を馬鹿さ、無知のせいにしたところで、今後の世界への意味合いは出ない。今後の人類がどれくらい馬鹿なのかは不確定だからな!
逆に、本当に何があったのかを深く考えれば、未来に向けて使える考えが見えてくるんだ。だから、安易に馬鹿さ加減や無知の所為にするな

「1923年にドイツで起きた、政治の混乱、経済の破綻、ハイパーインフレ、軍事的緊張の高まり、これらと全く同じことは他の国でも起きている。
アルゼンチンは15年に1回デフォルト(債務不履行)している。次はもうすぐだ。ブラジルは… コロンビアは… ベネズエラでももうすぐ起きるはず。ケニアでもジンバブエでもハイパーインフレが起きている。
いいか、これらの国は人種も宗教も文化も違う。だが、全く同じ状況が生まれるんだよ。全く同じ。
だからドイツ人だから、ブラジル人だから、ベネズエラ人だから、と人種で馬鹿にしても意味はないんだ!! みんな馬鹿なんだよ!!

「ドイツがフランスにルール地方を侵略された。これは政治的にも経済的にも大きな影響があった。でもそれ以上に重要だったのは、(フランスと共同で侵略した)ベルギーに占領されたことだよ。
ベルギーだぜ!? あり得ないよなあ! あんな小国で、アコーディオン弾きばかりの連中に占領されたとあっちゃあ、ドイツ人のプライドはズタズタだよ!

「今まで聞いた中で一番衝撃的だった発言は、ビル・クリントンが大統領選挙の時に『減税をして、歳出を増やして、赤字を減らす』と言ったことだ。
どうしたらそんなことができるんだ!!と思ったよ。それができれば(モニカ・ルインスキー嬢と)セックスしようと構わない


大恐慌の回にて
「いいか、まだこの当時の中央銀行の役割については議論しない。まずはどんな背景があり、何が起きたのかを把握することが重要だ。だから授業の前半では、銀行なんて存在しないと考えろ。いいな。
おいビル、銀行とは何だ?」
何すか、それ
「素晴らしい!! それが答えだ!!」

「(各国の財政について次々と触れた中で)日本は本当に駄目な国だ。何せ奴らはダンスができないからな! 日本人はまずダンスをベネズエラ人に習え!!

「ブッシュの政策を、大統領就任当時からしっかりと確認すると、世界に民主主義を敷衍し、不況に取り組み、減税をすると言っている。9/11は大きな出来事だったし、戦費は莫大だったが、別に9/11がブッシュの政策を変えたわけではないんだよ

「(就職活動の面接のため、前回の授業で終了30分前に早退した生徒に) 就職活動は上手く行ったのか? 先週君が抜けてから、俺たちは本当に君の事を案じてたんだ。彼女はちゃんと上手くインタビューを乗り切れているだろうか、質問に的確に答えているだろうか、と。そして残り30分間、ずっと君の就職活動にどうフィードバックすればよいのかを議論し続けていたんだよ。

(生徒が手を挙げて) "Excuse me."
(りごぼん) "I'll excuse you!! - Next!!"

c0131701_12371332.jpg(金融政策説明のロールプレイにて)
「いいか、君はIRS(米国内国歳入庁)だ。棍棒をあげるから、あそこの国民から税金を取り立てて来い。迫力が足りない? この仮面(ダースベーダー)をあげよう!!
「君ら国民は、国からお金を受け取る。まてまて、ただではやらん。踊るんだ!! (そしてちゃんとクラスメートは踊った)」

ISLMについての講義にて
「遅刻した奴はコーヒーを買ってくるのがルールだ。だが数には制限を設けるぞ。以前教室に入ってきたら、41杯のコーヒーが教壇を埋め尽くしていたことがあった。しかもうち1杯は鶏がらの出汁だったんだよ!」

「某国で経済政策審議会に招待されたとき、2時間もその国の経済について講演することになった。でもその国の情報を全く仕入れてなかった。その国に関する最近の新聞記事やレポートも読んでおらず、何を話していいかも見当がつかなかった。
が、俺は開口一番言ってやったのさ。
『この国は腐ってる!! (This country sucks!!)』と。
当然みんな怒り出したよ。だから続けて
『じゃあ一体どうして腐ってると言えないんだ!?』と言ったら、参加者が次々と
『確かに財政は…であるが…』
『まあ貿易は…だけれども…』
『そりゃ国営のXX事業は…だが…』
と、まるまる2時間話せるだけの情報を向こうから教えてくれたよ
あ、真似しないようにな!」

人間は父親の経験からは学べない。人類は歴史の教訓を学べないから、悲劇は繰り返される。
たとえ歴史を知っていても、短期目標で行動し意思決定すると、陥穽に入る。
特に、人は権力を持つと、さらに求めて独裁者になりたいという誘惑に駆られる。独裁で成功した例も沢山あるが、一度誤りがあると悲惨だ。
如何に誘惑を退け、歴史から賢く学ぶかが、極めて難しいが重要なんだ」

2週間ぶりのりごぼん担当の授業にて
「また君らに教えなきゃならんが、本当は俺が教えるのが得意なのは、セックスと暴力についてだ。ただ上から暴力はいかんと言われているので、じゃあセックスについて教えようか

(経常収支の説明で)「いいか、例えばモナコ。あの小国は商品の生産は殆どないが、サービスは対外的に提供している。カジノサービス、観光サービス、それに王女のスキャンダルだ!!」

(GDPとGNPの違いについての質問で)「GDPはこの国の中での生産量だが、GNPは場所に拠らず国民が生産した量だ。だから海外で生産したのもの含む。
おいXX、君はテキサス出身だったな。いいか、テキサスはアメリカじゃないから、テキサンが生産した分は米国GNPには参入されないからな!」

(説明中に海外送金の質問をした生徒に)「俺の話の腰を折るな!! (黒板消しを投げつける) ・・・だがいい質問だ」

「うちには可愛らしい犬がいるんだ。俺は犬好きだから犬を飼いたかった。でもかみさんが許さないから、子供を篭絡して、子供から飼いたいと訴えさせたよ。これが政治というやつだ
で、ブリーダーのところへ行って犬を選んだ。メスが欲しいと思ったので、そんな話をした。そしたらブリーダーのおっさんに
『ビッチ(尻軽女)が好きか』と突然言われて、
『え!? いや… もう結婚しているし…』と答えたら、
『でも、ビッチ(雌犬)がいいんだろ?』と。
・・・初めて本来の用法を知ったよ

(通貨切り下げに伴う物価上昇に関する質問にて)「教授、何で輸入品の価格が上がると、自国で生産した商品にも便乗値上げが起きるんですか?」
「君はラテンアメリカに来たことがないのか??」

「エクアドルほど不幸な国はない。およそ思いつく災害が全て起きてるよ。
エル・ニーニョで農作物に多大な被害が出て、仕方なくエル・ニーニョでも育つような作物に変えたら、今度は逆のラ・ニャーニャが起きてまた作物が全滅しちまった。
そこで海老に注力して、世界有数の海老の産地になったと思ったら、プランクトンの大量発生で一晩にして海老が全滅。
そしたら石油が出て喜んだが、そんなのも束の間、一本しかないパイプラインが大地震で破壊されて石油もストップ。政治も不安定。
もし人類が住むべきでなかった土地を挙げるとすれば、エクアドルだ

(ベネズエラの準備金について)
俺は今45歳だ。まあ35歳のような服を着ていて、25歳のような言動をして、15歳の精神年齢を持っているがな!」

「そんな25歳のとき、ベネズエラの中央銀行に行って、準備金がいくらあるのかを確認する仕事があった。準備金といえばドルか金かSDRかだが、当時は金が中心のはずだった。大量の金塊を拝めるとあって、胸が躍ったよ。
中央銀行に行くと、2人の屈強なガードマンに囲まれながら倉庫に行った。そいつらのでかいことと言ったら、8立方メートルはあったね。2m×2m×2mだよ!! でかいったらありゃしない。

そして厳重で最新鋭のセキュリティをくぐって、倉庫の中に入った。意外とがらんどうとしている。金塊が眠るのはもっと奥なんだろうと思ってたら、係員がトランクを指差して、
これが準備金だ
と言ってきた。は? そんな馬鹿な、と思ってトランクを開けてみると、
指輪とか、時計とか、ボタンとか、金製品が何個か入っているだけなんだよ!!
ベネズエラ一国の準備金が、たったこれだけのガラクタかよ!?

普通の国では、中央銀行の回りは最も警備が行き届いていて治安がいいもんだが、当時のベネズエラで中央銀行近くをうろうろしていたら、捕まって金目のものを準備金にされかねなかったよ!!


比較優位性において、テイスト(嗜好)は一つの重要な要素だ。たとえば映画には「優れた映画」と「フランス映画」の二つがあるだろう? (以下フランス語訛りでしばらく講義)

自由貿易では、国や地域の間で比較優位なものが輸出されていく。Dr. Evil (オースティン・パワーズの悪役。禿げてるところがりごぼんそっくり)が世界をいじくって財を再配置するようなもんだ。(以下Dr. Evilのものまね)

(最終回: 日本について)
日本は俺を日銀総裁に迎えるべきだ。俺はベネズエラの中央銀行にいたので、80%のインフレをよく知っている。俺さえいれば、すぐにインフレを起こせるのさ!! 
ボストンを報道陣に囲まれて出発するだろ? 日付変更線を跨いだあたりから全て上手くいく!!


過激で面白いだけでなく、パッションに溢れる素晴らしい教授だった。


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by flauto_sloan | 2008-04-03 21:10 | MITでの学び(MBA)
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