MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
IAP - Living an Extraordinary Life
3日間9時間にわたり、"Living an Extraordinary Life" という授業を受けた。その名が示唆する通りの自己啓発、もといリーダーシップの授業で、Handel Group というコーチング会社がSTSのスポンサーで行っている。
「自分へのルール」と「告白」とによって、自分を欺瞞・偽善から解き放ち、誠実で楽しい人生を送ろう、というのがテーマだ。この類のセミナーに出るのは初めてだが (まあ私の会社も強烈な価値観を身につけ実践する点で似ているが)、予想以上に面白かった。

Handel GroupはIAPで教えるのは3年目で、MITではSloan Fellows に授業を持ち、他に企業の経営層向けのプライベート・コーチングや、NYUなど教育機関・大学でのコーチング授業を行っている。MITではエンジニアのリーダーシップ養成のために、授業として導入したく、まずはIAPで試行しているようである。前年度参加者からの口コミで参加した人が殆どなのも特徴的。
人数は70人だったが、2日目からは40人くらいに落ち着いた。事前の宿題と、毎日宿題が出るので少し重い。

授業の詳細は省略するが、ポイントを書き残しておく。
内容は、1) 自分や他人についている嘘や言い訳を直視し、2) その言い訳を生み出したセオリー(建前、理屈)をよりよい人生の価値観へと変え、実践のための「自分へのルール」を作り、3) 嘘をついている人に真実を「告白」し、許しを請う、という3つを実践する。と書くと短いのだが、それを納得し実践の第一歩を踏むためには、強烈なキャラクターの講師と、3日間9時間が必要だった。

1) 嘘や言い訳の直視
人生における18の側面(家族、恋愛、キャリア、経済状況など)について自己採点し、点数が低い場合は理由を考える。自分を多角的に見つめると、欠点だらけで暗くなる。

そして授業で指摘されるのは、理由として挙げたのの多くは嘘(lie)または言い訳(excuse/justification)といったBS (Bullshit)だということ。尤もらしい説明がついても、所詮は自分を正当化する言い訳に過ぎない。そこで次の式が成り立つ
いい人 = 「Xという約束」+「Yという結果」
     +「その理由」+「悲しい思い」
しかし、真実はXをするはずがYしかできなかったという事実だけで、後者二つは嘘に過ぎない。

2) 新しいセオリーと自分へのルール
それら嘘や言い訳は、自分の中のセオリー(建前、信念)から来ている。そのセオリーを直視し、本当にそれが正しいのか批判し、必要に応じ変える。
セオリーを生んだのは、自分が Chicken (臆病者)かBrat (駄々っ子) だからである。だからそれを変えるには勇気と諦めが必要だが、この価値観を変えないと前に進めない。
作り出した新しいセオリーを自分に根付かせるために、アクションアイテムを作り、自分にルールを課していく。
例えばある女性の参加者がこう言った。
「自分は育った文化が違うから、友達ができない」と。ここで真実は「友達を作りたいが、できない」である。「文化が違う」は言い訳で、正当化するセオリーは「友情は同じ文化にしか芽生えない」である。
これを疑い、なぜこのセオリーをでっち上げたか自問すると、真の原因は「友達ができないのは、自分から話しかけたり、食事やイベントに誘っていないから」だと分かった。本当は自覚していたが、直面したくない自分である。
ならば新しいセオリーは「自分から積極的に周りの人を誘えば友達になれる」であり、一歩踏み出すためのアクションアイテムとして、「2日に1回は周りの人とご飯を食べる」を設定する。さらに自分へのルールとして、「もし守れなかったら$50をルームメイトに払う」を設ける
また、自信は自分がコミットした約束を守ることで生まれる。少しずつ約束を達成した領域を増やせば、自信を持った幸せな人生を作れる。
それは自分が作家となって自分の人生を執筆することであり、ただ自分を(嘘を含めて)自分に報告するだけの天気予報とは異なる

3) 真実の「告白」
自分の嘘を暴いて前に進むのと同じように、自分が他人へついている嘘もつまびらかにし、告白する。言いにくいことでも、言ったら関係を壊してしまいそうなことでも、勇気を出して言ってしまえば、お互いに偽善、誤解やわだかまりが無くなり、誠実な関係が残る。

そして多くの場合、両親とその関係が自分の性格や価値観に影響している。そこで両親に直面することが非常に大事だ。両親は自分から変わることは難しいので、子供の世代が両親を変えなければならない。


そうして自分の周りに対して全ての嘘を告白し、誠実な関係だけになれ、自分で執筆する人生で自信が持てれば、そこに "The Extraordinary Life" がある


感想
1)と2) は、コンサルティングの問題解決アプローチと似通っており(人は変化に抵抗するために、無限に言い訳を作り出す)、それ自体で目から鱗は落ちなかった。

ただ実際に自分自身を対象に、18もの角度から分析し、自分の中のセオリー集を見るのは始めてであった。当然自分の中身なので、一つ一つは分かり切っているが、俯瞰すると色々見えてくる。如何に情けない自己欺瞞をしているのかも。この授業を取らなかったら、自発的にそこまで自分の中身を(汚いところまで)覗くことはしなかっただろう

結果、いくつかのアクションアイテムとルールを作った。一辺にはできないので、少しずつ始めることにする。恥ずかしいのでここに公言はしない。

3) の告白については、若干講師個人の強烈な価値観、つまり嘘はそれ自体悪であり、また契約によって自分を縛るべきだ、という考えが感じられ、すんなり受け入れられはしなかった。ただ他の参加者が実践した結果を聞き、どれ自分も少しやってみようと思った。どうなるか不安ではある。

ただ個人的に、嘘が悪で誠実が善だとは必ずしも思わない。嘘については最近の興味分野なのでいずれゆっくり書くが、いずれにせよ嘘についての一つの信念とその帰結を知ったのは面白かった。


9時間と宿題は正直言ってかなり負担だったが、面白い体験をしたいならお勧めの授業だ。上記の手法や理屈は文字で読んでも面白くなく、授業に参加して体験することに意味があった
また、講師の強烈なキャラクターは、「ポジションを取る(旗幟を鮮明にする)」ことの重要さと威力を、嫌が応にも教えてくれた。

来年もあるはずなので、興味がある方は是非。
[PR]
by flauto_sloan | 2008-01-31 23:18 | MITでの学び(非MBA)
<< HBS VCPE Confer... 鍋を囲む >>