MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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IAP - いつまでも好奇心と冒険心を
今日は欲張って5つも出席。さすがにオーバーヒート。

The Feynman Films "The Last Journey of a Genius"
ファインマン死去の2日前に撮られたインタビューを中心としたドキュメンタリー映像で、彼が晩年に心引かれ続けた中央アジアのTuvaという国を訪問するための奮闘記であり、晩年まで人生を楽しみ続けたファインマンの人生観が垣間見えるものだった。

ノーベル賞を受賞し、世界的な名声を得たファインマン。だが彼はそんな名声に興味はなく、むしろノーベル賞学者というに肩書きよって adventure がしにくくなることを嘆いていた。
そんな折にふとしたきっかけで、Tuvaというモンゴルの奥地の小国を知る。資料も殆どない中で、少しずつその国のことを調べていくうちに、彼の冒険心に火がついた。だが当時はまだ冷戦中であり、ソ連領であり辺境であったTuvaへ訪れるのはほぼ不可能だった。

ロシア要人との交渉など、様々な手を尽くしてみるが、どれも失敗。それでも前向きに挑戦し続けるうちに、ソ連の文化庁の要人が訪米することを知り、ディズニーランドに家族ごと招くという篭絡に成功。ついに訪問許可の可能性が高まった。

だがファインマンはついに念願のTuvaを訪れることなく、直後に急逝。ソ連から訪問許可証と旅程が届いたのは、彼の死後数日後だった…

最晩年でも好奇心と冒険心を忘れず、笑みを絶やさず、前向きでい続けたファインマンの姿に心打たれた。人間やはりいつでも笑みを絶やしてはいけない。悲しいときにも微笑み、そんなモーツァルトのピアノ協奏曲第20番の2楽章のような人生を送りたい。

"Staring at the sun a mile underground"
物理学科主催の物理入門シリーズ。太陽が輝く仕組みを解き明かすために奮戦した理論物理学者と実験物理学者たちを紹介し、素粒子物理の紹介まで行った。
この領域はあまり詳しく知らなかったので、また講師がジョーク満載で話すので非常に面白かった。
太陽を科学者がどのように考え、測定をしたか。そして中性子のβ崩壊でエネルギー保存則が成立するためにパウリが唱えたニュートリノの存在を確認するための、実験物理学者の奮戦。そしてニュートリノに質量があることを発見するためのさらなる奮戦。

恥ずかしながら今日始めて、1998年にスーパーカミオカンデでニュートリノに質量があることを発見したことの意義(それにより小柴博士がノーベル賞を受賞)を知りました。
発表者も、「ニュートリノに質量があることは、既存の標準物理学にヒビを入れた。まだ既存のものを置き換えるような新しい体系ができるのかはわからないが、このヒビが重要なのだ!」と興奮しながら説明しており、物理の最前線での熱い思いが伝わってきた。
それにしても、巨大な設備で何年も何十年も辛抱強く実験を続ける、実験物理学者たちには頭が下がる。

Engineering Economics: Using Game Theory to Help Boston Public Schools
ボストンの公立校への児童割り振り制度の欠陥を、ゲーム理論を使ってどのように解決したのかを紹介していた。
ボストンでは児童が公立校へ入るときに、第一希望から第三希望までを書き、教育委員会へ提出する。各学校は第一希望の生徒をまず受け入れるが、定員を超す場合は兄弟の有無や距離で優先順位をつけていた。この制度下で、8割の生徒が第一希望に進学できるという、逆に不自然に高いマッチング率を誇っていた。何故ならこの制度は "Game-able"だった。つまり、他の生徒の人気を考えて戦略的に動くことで利益を得られる。敢えて真の希望順位と、提出する希望順位を変えた方がよい場合があるのだ。

それでは不公平だということで、地元新聞(Boston Globe)も問題として取り上げた。そこで実際に発表者のいた研究チームが委託を受け、過去データやアンケート、聞き取り調査などから、あるべき児童の振り分け方を検討した。
ゲームができない、つまり真の希望順位を書くことが最適な戦略となる制度には、Top trading cycle というやり方と、Deferred acceptance というやり方がある(詳細は略)。
ただし前者だと「妬みの正当化(自分より希望順位が低いのに、自分が落ちた学校に進学する人がいる)」、後者だと「非効率(ある2人の児童の進学校を交換すれば、両者とも第一希望へ行けるのに、それができず二人とも第二希望に進学しないといけない)」というトレードオフがある。結局教育委員会はこのトレードオフを、「非効率は避ける」と判断して TTC 方式を選んだ。

ここまでがプロジェクトの中身だったが、面白いのはその後だった。発表者は実は身分を偽ってオンライン上のボストン父兄コミュニティに入っていて、そこでのやりとりを覗いている。
制度前の"Game-able" だった頃、あそこの学校は人気がある、第一希望は人気のない学校を選ぶべき、といった情報が盛んであった。
制度変更をしたにも拘らず、やはり同様の情報のやり取りは残っていた(以前ほど盛んではなくなったが)。
教育委員会は「新しい制度では、真の順位を書くことが最適です」とアピールしているが、やはり重要なのは制度そのものだけではなく、その制度の狙いと効果を、如何にユーザーを始めとする利害関係者(今回は児童とその親)に正しく効果的に伝えるかも重要である。

Professional Portfolio Selection (後半)
昨日に続いての後半では、エンジニアリング手法を導入してどのようにポートフォリオを組むのかの解説であった。
・・・が、今度は極端なまでの数式の羅列。ラプラス変換すら殆ど忘れてしまっていたため(悲しい…)、途中で脱落。今度ボストンにまで持参した大学時代の数学ノートを開かねば…
概念としては、気温変化をフィードバックして温度調節をするサーモスタットのように、市場のファクターの変化をポートフォリオにフィードバックするモデルを組みましょう、というものであった。

The Nuts and Bolts of Business Plans
スローン主催の、単位認定ありの課目で、スタートアップをする時に必要なビジネスプランの策定をどのように行うか、本物のMIT卒のアントレプレナーも招いて詳細に(nuts & bolts)解説する講義。私は履修していないのだが、アントレプレナーの話が聞けると聞きつけ、前半だけ聴講。
Mimioという、日本ではコクヨから発売されている、リアルタイムで白板やフリップボードに書いた文字をPC上に出力するデバイスを発明し起業した卒業生が話をしていた。

話の内容はともかく、エンジニアからもSloanからも多くの学生が参加しており、MITの企業家精神の高さを肌で感じた。

c0131701_7551330.jpg余談だが、ちょうど MIT恒例の "Mystery hunt" 期間だからか、学校のあちこちに凧にぶら下げられた鍵が飾られるという hack があった。

来週も面白そうなものが目白押しだが、帰国して出られないのが残念。
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by flauto_sloan | 2008-01-17 23:55 | MITでの学び(非MBA)
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