MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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コアタームの学びを習う - 組織論(OP)
組織論(Organization Processes)は、組織とは何かについて論じる授業であり、プロセスを分析対象としているところに特色がある。始めは期待していたのだが、途中からは失速した感が強い。
ただ、ミクロ経済学で学んだ内容が前提とする仮定(理性的な経済人による市場・社会)に対するアンチテーゼとして、その適用範囲を越えた世界における意思決定メカニズムを紹介するという点では、ミクロ経済学と同時に学んだ意味はあった。

授業内容
個人の意思決定におけるバイアスから、組織での意思決定プロセスへ移行。初期に紹介したように、組織プロセスは Three lenzes というMITオリジナルのフレームワークを使い、戦略、文化、政治の3視点で分析する。授業は概念の説明とケーススタディの組み合わせ。
授業での講義に加え、コアチームでプロジェクトを行った。実際の組織(企業から公益団体まで様々)をクライアントとし、Three lenzesを用いて組織課題を分析し、提言を打ち出すという短期プロジェクトである。

MITにおける組織研究
SloanはOperations researchで名を馳せている。この組織論はその一部であるとも言える。
ただ必修とされた事情は、市場(卒業生の就職先)から、「Sloan生は数字に非常強いが、ソフトスキルが他のビジネススクール生に見劣りする」との評を受けたからとも云われる。

Mark Mortensen教授
髭の似合った男前の教授であったが、ケースの捌き方は今ひとつ。最終授業のスピーチも、あまり心に残らない。

授業での学び
初期の頃の、個人の意思決定を対象にした回は(個人的な興味と合致し)面白かったが、組織課題になると目新しく感じるものは少なかった。
授業の構成も内容も、件の Three lenzesのフレームワークに拘泥しすぎていたように感じる。フレームワークとしては記述的なフレームワークで、その下位にいくつか規範的なフレームワーク(戦略的組織設計のプロセスなど)が付随したが、この手の汎用的なフレームワークは、使い方の巧拙が重要であり、実践が必要である。

ではその実践としてのプロジェクトは、うちのチームがクライアント選びに苦戦した(残り1ヶ月弱でようやく見つかった)こともあり、十分な実践の場とはならなかった。山積する課題を3つの塊に無理やり分類した間が否めない。最後の授業で各チーム発表を行ったのだが、他チームの結果を見ても多くは分類止まり。分類学から構造化へ押進め、本質的課題へ切りこむ、というレベルにはなかなか至らない。プロジェクトの主要目的が問題解決ではなく組織課題分析にあったためである。だから提言はコインの裏返し。

ただプロジェクトを通じて、完全に階層がフラットなチームのマネジメントの難しさを改めて思った。
6人のチームにコンサルタント出身者が4人。クライアントはそのうち1人の強い伝手で見つけたので、自然と彼女がリーダーに。年長で人格者だった彼女がリーダーであったのはプラスに働いたが、期限が迫っていたこともあり、タスクの振り分けは「苦手分野を伸ばすため、未経験のもの」ではなく、「期限内にできるだけよい結果を出すよう、得意なもの」を基準に行った。結局ネイティブ3人がレポートを、非ネイティブ3人が発表用資料を作った。
時間の制約と、この種のプロジェクトが初めてのメンバーが苦戦したために、チームで課題を解くプロセスを十分に回せず、回されるレポート原稿は詰めが甘いもの。非ネイティブの私と、もう一人(同じファーム出身)が拙い英語で色々と提案するものの、チームをゴロリと動かすには至らず。
結局最後はレポートをリーダーがかなり手直しし、体裁とクオリティは担保したものの、あまり有意義な進め方ではなかった。

会社のトレーニングでも思うが、完全にフラットな階層(同じ経験・職種同士など)はリーダーがリーダーとしてのauthorityを持ちにくいので、組織だった動きが難しい。
聞けば他のチームの中に、リーダー一人が全文書くと言い出し、チームメンバーの一人が「そんなのやっておれん。事務に言って公式にチームから外してもらう」と憤慨し、崩壊したところもあるとか。そんな事態は避けたが、避けるために犠牲にしたものもあった。

このような、プロジェクトを通じた組織課題の経験も、授業の目的の一つらしい。ただ特にまとめやフィードバックもなく、強弁に聞こえる。

授業の感想
Sloan生の実務経験は平均5年であるが、実感として、3年くらいにピークがあり、次に6年くらいににピークがあるように思える(特にデータによる証左なし)。前者は20代半ば、後者は30前後である。ケーススタディなどの発言を聞いていると、この二つの層で内容の深みに大きな差がある。
そして前者の多くはアメリカ人であり、授業中のparticipation は多い。小さいときから参加型の教育を受けているからだ。
結果、ケーススタディの議論はなかなか深まらない。実務経験の多い学生はそれに嫌気して、発言がますます少なくなっていく。

ケースを多く取り上げ、participation で学びを得ることを主体とするのであれば、HBSのように過度な競争環境を作り出し、優秀な生徒の口を割らせなければならないのだが、Sloanはそれを志向していない。
HBSの真似をする必要はなく、SloanはSloanなりのやり方を採ればよいのだが、少なくともこの組織論は、授業の目的・意図していることと、クラスという組織を動かすためのプロセスが一致していなかったように見えた。組織論の授業にも関わらず。
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by flauto_sloan | 2008-01-14 15:38 | MITでの学び(MBA)
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