MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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コアタームの学びを習う - ミクロ経済学
正式名称を "Economic Analysis for Business Decisions" と題するミクロ経済学は、ミクロ経済の基礎から説明しつつも、ビジネス上の意思決定に有効なフレームワークや考え方を紹介していきました。そのため、時には新しい概念を理論的に体系立てて説明することよりも、ケースを含めて実際にどのように実社会に適応されているのか、またどのように概念を意思決定に役立てるのかを優先して説明しました。いわば記述理論的要素(現象をどう良く説明するか)よりも、規範理論的要素(どのような判断が理論的に正しいと帰結されるか)を強調した授業でした。

授業の内容
前半は、需要供給曲線からMarginal Revenue および Marginal Cost 、市場への介入を学び、中段で競争市場および独占市場を学びました。中間試験後の後半は寡占市場およびゲーム理論の基礎、オークション、経済の外部性、情報の非対称性などの発展的内容に進みました。

MITにおける経済学
MITというとエンジニアの学校というイメージがあります。実際第一義的にはそうなのですが、経済学でも世界のトップクラスにあります。ノーベル経済学賞はこの人のために設置したと言われる P. Samuelson を始め、綺羅星のごとく偉大な経済学者がいることで知られています。
今回はその片鱗を味わったに過ぎませんが、在学中には経済学部の授業にも足を伸ばして行きたい、と強く思わせる授業でした。

Eric van den Steen教授
初めの頃最終授業でも紹介しましたが、教授はコンサルタントなど実社会での経験が豊富で、現在もいくつかのコンサルティングプロジェクトを手がけています。そのため説明は非常に分かりやすくかつ面白く、個人的には一番興味を持てた授業でした。

理論よりも実践を重視するため、例えば授業の内容によっては、クラスをいくつかのチームに分け、実際にシミュレーションをさせました。
オークションの回では、クラスから何人か選び、それぞれにreservation value (希望落札額)を書いた紙を渡して、実際にオークションを行い、オークションの形式によって落札額が如何に変わるのかを実践して見せました。
また、情報の非対称性の回では、クラス内の各チームを二つに分け、一方を中古車の売り手、一方を買い手としました。車は良い車か悪い車かのどちらかで、相場もそれにより大きく異なるのですが、売り手の側しかその車の良し悪しを知りません。そのような非対称な情報の下では、交渉は多くのチームで決裂するか悪い車の価格で落ち着くかでした。
そのように実践させておいて、授業でその背後にある理論を説明する、という効果的で面白い授業でした。

授業での学び
概論で書いたこととかなり重なりますが、意思決定に必要な分析手法及び原理原則としての考え方を学びました。
ただし今回学んだ概念は、いささか思い切った前提(市場のプレーヤーは合理的で理性的)を置いた上で現象をかなり大胆に簡素化しているので、これはこれで非常にシンプルで力強い理論だと理解しつつ、今後余力があればプロスペクト理論、行動経済学といったものへも学ぶ対象を広げていきたいと思います(薄く広くなってしまいそうですが)。


授業の感想
経済学をほとんど学んだことがなかった私でしたが、急速に興味を持つことができました。
自分がビジネスの中で学んだり感じたりしてきた、経済活動の本質ではないかと思われる概念は、これまで体系化・構造化されないまま分散した状態で私の引き出しに入っていました。
一方で大学院まで学んできた、自然科学的な記述論理としてのアプローチを、そのまま経済活動に当てはめることに対しては違和感を持っていました。

今回、初めて学問として経済学を基礎から学んだことで、この二つの違和感が止揚されていくような楽しさを覚えました。なるほど、こうやって人の営みを体系化し、理論として構築するのか、と。
今まで自分の中に欠けていた要素が填まり始めた感覚です。この気持ちのよい感覚をもう少し深耕していきたいです。
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by flauto_sloan | 2007-12-27 22:48 | MITでの学び(MBA)
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