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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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MBA受験 (2/3) - Essay
エッセイ対策の要諦は、「いいエッセイ」のクオリティスタンダードをもつこと、自分に合ったカウンセラーを選ぶこと、そのカウンセラーと繰り返しブレインストーミングをすることと、そして少数でいいのでしっかりとエッセイを査読してくれる人を見つけることです。

「いいエッセイ」のクオリティスタンダード
あるべき姿たる「いいエッセイ」がどのようなものかを理解していないと、何をどう書いていいのかわかりません。あるべき姿なしに書き始めても、ピントがずれたり心に残らないものになってしまいます。
そこで、HBS合格者のエッセイ集を買い、一通り読むことで、どんな内容を、どういう構成で、どう表現するのが「いいエッセイ」なのか、自分なりに気づいた条件・基準を書き出し、折を見ては自分のエッセイがこれらの基準を満たしているかを確認しました。最後はみな「いいエッセイ」だったと思っています。

カウンセラー選び
カウンセラー選びはエッセイのクオリティと、長丁場のMBA受験のやる気に関わるので重要です。私はインターフェースとプリンストンレビューでカウンセラーを選び、自分の価値観との近さ、経験の豊富さ、性格、および費用でプリンストンのカウンセラーを選びました (残念ながらそのカウンセラーは退職して留学してしまったので紹介できません…)。

私は自分の根底の価値観は音楽家のそれだと思っているので、同じ芸術系で演劇のバックグラウンドを持つ方を選びました。価値観が共感できるがゆえに、鋭い指摘やあるいは賞賛があり、毎週土曜に通うのが楽しみでした。毎週土曜の13時の同じスロットを予約し続け、どんなに仕事が忙しくても必ず行くように自分を仕向けました。

ブレインストーミング
エッセイの内容は、仕事7割、課外活動2割、プライベート1割といったところです。基本的にプロジェクトの内容からとり、苦労や困難をどう乗り越えて成功に繋げたか、そこから何を学んだかを書いていきました。重要なのは題材探しとプロジェクトの意味合い出しで、カウンセラーの最大の価値はここにありました。

不思議なことに、本当に苦労したプロジェクトというものは記憶の奥底に沈めてしまっているらしく、エッセイのドラフト段階では題材にあがってきません。そこを、カウンセラーに繰り返し
「こういったリーダーシップをとったことはないの?」
「同じような話ばかりだけれども、本当は全然違う経験もしているんじゃないの?」
「自分にとっての成功プロジェクトを挙げているけれども、自分よりも会社への貢献が大きかったプロジェクトもあるんじゃない?」
等々聞かれ、一緒に過去を掘り出していくと、なかなか面白いものが出てくるものです。結果的に、あまりに辛くて、最初は思い出せなかった過酷なプロジェクトについて一番多くエッセイに書きました。実は一番インパクトの大きい題材だったのです。一人で書いていたらこうはならなかったでしょう。

また、このように途中でいい題材が見つかることも多いので、本命校を最初に持ってくるのは得策ではありません。

題材を見つけたら、なぜその題材をこのエッセイの答えとするのか、その経験を通じて何を考え、何を行い、何を得たのかについて、繰り返しカウンセラーと話し、原稿を練り上げていきました。当時は平日は九州のクライアント先にいて、帰京した金曜の夜に一気にエッセイを書き直していたため、事前に十分な推敲ができず、カウンセリングの時間とカウンセラーの頭を使って推敲する状態でした。そこでカウンセリング中はブレストに集中するため、ボイスレコーダーを持参して自分でメモは殆ど取らずに対話しました。

査読
カウンセラーにまずエッセイを査読してもらうのですが、他にも厳しい意見をつけてくれる人を、少数でいいので持つことが肝要かと思います。私の場合、父が米国の大学で教鞭を執っており、admission側だったことがあるので、最後は父に査読してもらいました。
カウンセラーはストーリーを重視し、父は論理構成を重視していたため、カウンセラーと完成させたはずの原稿ですら真っ赤になって帰ってきました。が、めげずに最後の練り上げを繰り返し、最終的には主旨と論理の明確な、それでいてストーリー性のあるエッセイになりました。
このように、見る視点の異なる査読者を複数持つことで、よりよいエッセイになっていきます。

その他
エッセイ課題は何度も読み直し、「問題の裏にある問い」を把握した上で、エッセイ全体として自分を立体的に見せることが重要です。強みも弱みも、仕事も遊びも、硬さも柔らかさも表現しました。

また、私は家族という、かなりプライベートな題材のエッセイも混ぜましたが、どうしても伝えたい熱意とメッセージがあれば構わないと思います。私は自己を表現する上で欠かすことができないことがあったので、敢えて書きました。結果的には、自己評価も周りの評価も一番高いエッセイとなりました。

MIT Sloanはカバーレターも求めてきますが、基本的に草稿から練り上げるプロセスはエッセイと同じです。ただ様式に関しては決まりがあるので、カウンセラーのいうことに素直に従いました。

(つづく)
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by flauto_sloan | 2007-10-23 16:02 | 学びの技術
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