MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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中間試験を終えて
先週は中間試験で、これまで学んだことを振り返るいい機会でした。テストの出来はともかくも、答えが一意にある問題に対し、授業で与えられた知識をもとに、過去問や補講で示された論理構成で、解を導き出す、というプロセスを行うのが懐かしくも楽しかったです。

普段の仕事(コンサルティング)では、定まった答えがなく、必要な知識も論理構成も自分で考え出し探し出し、そクライアントが納得するような解決策を捻り出す、というプロセスです*1

それに比べれば、なんと美しい。
堅牢な論理構成と、客観的かつ一意な解。


ただ、このような美しさを現実の仕事で求めるには、相当量の抽象化、思い切った捨象、現実離れした前提が必要なことが多く、実際のところは納得感、現実感に引きずられてしまい、こうも美しくはいきません。その美しくないところが、現実世界の面白みなのでしょう。
一方で、地を這い回るだけでは知的生産者たる価値がないのも事実です。この中間試験は、しばらく忘れていた、自然科学的美意識を思い起こさせてくれました(純粋な自然科学ではないので、数学のような美しさとは異なりますが)。


以下に科目ごとの感想です。
1.Data, Models and Decisions (統計)
統計も基本的なことは学部生の頃にやっていたので、二項分布や正規分布などは記憶の箪笥の奥から引っ張り出しながら学びなおしました。
統計は仕事では数式や結果を利用するだけの「ツール」として使ってしまっていましたが、改めて基礎から学び、限られた使い方しかしていなかったな、と感じました。

よく友人に「コンサルティングでは、DMDの授業でやっているように、意思決定のシナリオごとに、確率から期待収益額を求めて、比較してレコメンデーションを作ってるの?」と聞かれますが、期待(?)通り「そうだよ」と言い切れないのが残念です。

まず、確率論を持ち込める機会が限られています。予め確率が判っている事象など、ビジネスにおいてはほとんどありません。ならば統計調査を行う必要があるのですが、それも取り扱う課題の解決に、本質的に必要かどうかで実施の可否が決まります。傾向としては、消費者向けビジネス(BtC)ではネットサーベイなどを使って大掛かりな調査をすることが間々ありますが、法人向けビジネス(BtB)では機会が限られています。
さらに、DMDで扱うような定量分析は単独でも極めてパワフルなのですが、マネジメントの意思決定においては、その定量分析からの意味合いをサポートするような定性分析や、半定量的な分析も組み合わないと、十分な判断材料がない、もしくは最後の一歩を踏み出せない、ということになりがちです。

なので、統計的手法は知っておくべきだが、それだけで答とできるほど世の中と人の心は美しくシンプルではない、というのが答えです。
それはわかった上で、純粋な定量分析を学びなおしているのが楽しいのです。


2.Financial Accounting (会計)
会計はコンサルティングの仕事で必要とされる基礎知識(私の入社時は、新入社員はすぐに日商簿記の試験を受けさせられました)なので、日米の違いはあるものの、大きな苦労はしませんでした。

会計は学問というよりは技法なので、そう割り切ってひたすら過去問や練習問題に取り組み、レターサイズのチートシート(持込可のアンチョコ用紙)を手書きで作りました。いずれ書きますが、私は手書きに拘っているので、直前に様々なチートシートがクラス内にメールで飛び交いましたが、結局自分で手書きで作りました。結果的に、変則的な問題もありましたが対応できました。
会計は技法であるがゆえに、運用方法も厳格に決まっています。ただどの方法を採択し、会計上の数字に過ぎない「利益」を、いつ、どう投資家に見せるかが、経営者の意思・裁量にかかっており、ケーススタディでは議論を生みます。
人の意思が選んで作り出した数字を、それが乗った財務諸表を見て分析し、逆に人の意思を探り出すリバースエンジニアリングはなかなか楽しいです。人の表情から感情を探り出すようで。


3.Economic Analysis for Business Decision(ミクロ経済学)
以前書いたように、経済学をちゃんと学ぶのは初めてだったので、心して取り組みました。需要供給曲線、市場介入、不完全市場… 

今学期のEcon(通称)のメインテーマは”Pricing”であり、完全/不完全市場における価格決定のメカニズムを学びました。実際のプライシングでは、個別の商品市場はデータも少なく需要・供給曲線がすぐには分からないために、様々な手法が発達しています。
新人の頃、あるニッチ素材のプライシングのプロジェクトに入ったときは、様々なプライシングのための分析手法(Value based pricing*2など)を学びました。極めてテクニカルで、かつ個々の企業の競争環境に大きく依存するそれらの手法と、需要・供給曲線による理論的なアプローチの差が新鮮でした。いきなり応用から入っていたので、あらためて基礎の理論を知ることで、プライシングという妙技を少し俯瞰できてきた感があります。


と、ハードな3科目が終わり、みな開放感に溢れています。今日はRed Soxがワールドシリーズ進出を決め、Fenway詣でに行った友人も興奮しています。街の興奮に憂いなく参加できることが嬉しく楽しい、そんな試験明けの週末でした。

*1 実際は、たとえば7つのステップと云われる問題解決のプロセスが確立しているので、体系的なアプローチがとられています
*2 プライシング手法の一つで、ある商品の便益によって顧客のビジネスに生み出される価値を計算し、その価値をもとに商品価格を決定する手法

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by flauto_sloan | 2007-10-22 03:33 | MITでの学び(MBA)
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