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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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楽三夜(2/3) コリン卿/LSO
楽三夜(2/3) コリン卿/LSO_c0131701_17475183.jpg今日はNYへ移動し、Student Rush Ticket (学生用当日券)を$20で購入し、サー・コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団の演奏会に行ってきました。

水曜に妻がモーツァルトのレクイエムを聴きに行き、非常に感動していたので、楽しみにしていました。ちなみに水曜はコリン卿*1の80歳の誕生日だったらしく、途中で合唱とオケがHappy Birthdayを演奏して祝ったそうです。

曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番と、交響曲第3番「英雄」。二日続けてベートーヴェン三昧です。

ピアノ協奏曲は・・・ ピアニストがあまりに凡庸。コリン卿との格の違いが明らかで、はっきり言ってピアノが邪魔でした。
休憩時間にロビーで周りの人が話すのを聞いていると…
「才能ないわね」「ひどすぎる」「強いていいところを挙げると、トリルが細かかった。それだけ」
さんざんです。まあ、自分の耳が間違っていなかったことは証明されました。

仕切りなおしの後の英雄は、美しく力強い英雄でした。ヨーロッパの名門でありコリン卿に長年率いられたこのオケは、まさに円熟の極みに達しており、指揮者のタクト一つ一つに意図を読み取り、余すところなく表現していました。

個々のプレーヤーも素晴らしいのですが(特にフルート*2)、個性を主張するのではなく、むしろオーケストラ全体として一つの響きを生み出しています。みずみずしい音色が、完璧な音程と息の合ったリズムで、溶け合った美しいハーモニーを奏でる。その品格ある響きを聴いているだけで幸せになりました。

コリン卿は昨夜のドホナーニとは対極で、控えめで保守的な表現なのですが、それがロンドン響の豊かなハーモニーを存分に引き出していました。1楽章の不協和音ですら、色鮮やかな美しい響きに聴こえたほどです。

4楽章の変奏曲が終わると、満席のエイブリー・フィッシャー・ホールは総立ちに。ブラボーの叫びが終わらず、ますます大きくなる拍手。
ヨーロッパの歴史に育まれた、円熟した美しさを堪能しました。


*1 ナイトの称号を持つ人物は、Sir + First name で呼びます。なのでコリン卿。小倉優子が聞いたら喜びそうな響きです…
*2 フルートの本場というと、M.モイーズ、J=P.ランパル、A.ニコレ、E.パユを生み出したフランスですが、イギリスも負けていません。むしろ私にとって神に等しい存在であるJ.ゴールウェイとW.ベネット(それぞれサインを楽器ケースにもらっています)はUK出身です

by flauto_sloan | 2007-10-19 23:55 | 音楽・芸術
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