MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
Sloan + HBS
Harvard Business School の人たちと飲んできました。
HBSの人たちは、Sloanよりも快活で体育会系のノリの人が多いように思いました。これは独身者の割合の違いにも起因しているのかもしれません。みな人物であり、流石に話していて面白いものがありました。これからも交流を深めていきたいものです。

様々な話をしたのですが、授業に関する話が最も興味深く、SloanとHBSの違いを良くも悪くも感じました。
授業が全てケーススタディで進められ、成績に対するプレッシャーも重いHBSでは、さすがにケースでの議論の深まり方、生徒の参加・貢献の仕方がSloanのそれとは全く異なり、深い洞察に満ちた議論になるようです。一方でSloanは定量的な分析手法なり理論なりをしっかりと学んで身につけていくのには適した授業の進め方ですが、定量分析の結果の数字にどのような意味を見出すのかについての議論は改善の余地を感じます。


HBSでは、生徒が自分のポジション(旗幟)を明確にして、互いの論点に自分の意見を重畳させながら、より深い議論へと到達していくそうです。そのためには優れたファシリテーターたる教授と、多様なバックグラウンドを持ち議論を好む生徒が必要です。HBSにはそれらを満たすための仕組みがあるようです。

ファイナンスや会計といった定量的な分野でさえもケースで授業が行われ、生徒は1つのケースに2時間以上の予習が必要だそうです。そうして事前に洞察し、自分なりの考え、ポジションを持った上で授業に臨みます。教授はSloanのような研究者肌というよりは、優れたファシリテーターであり、うまく生徒の意見を引き出し、対立する意見のグループを醸成し、対話を促して議論の質を高めていくスキルを備えています。

授業の後半ではアクション・プランと呼ばれる、「あなたならどう決断したか、行動したか」に関する議論が行われるそうで、そこでは生徒が多様なバックグラウンド・経験に基づいて、ポジションを明確にした、もしくはユニークな視点からの意見を述べていくことで、お互いから学びあい、マネージャーたるものの考え方、スキルを学んでいくそうです。

一方で定量的な分析などは、必要とされてはいますが、あくまで判断のためのツールであり、授業の本質ではなく、ゴリゴリと分析していくスキルは必ずしも十分な蓄積はされていないのではないか、との意見がありました。


方やSloanは、基本的に数量分析を多く学び、予習も重要ですがそれ以上に復習と宿題が中心で、学んだことを手を動かして身につけていくというスタンスです(まさにMens et Manus)。そこでの学び、習得知識は大きく、これまで断片的に何となく学んでいた知識も、非常に速いスピードで理解し、智慧にまで高められて血肉となっている実感があります。

反面、ケースも時折使っているのですが、そこでの議論も数量的な分析の説明や確認が多く、では分析結果をもとにどう考察するのか、マネージャーとして何を考えるべきか、どう決断を下すべきかに関する議論はHBSのような深みまでは至っていないと感じます。

お互いの意見をぶつけあい、重畳して深めていくプロセスに慣れていない生徒が多く、また教授陣もそこを十分に上手くモデレートしていないように思えます(もちろん上手い教授もいますが)。そのため、発言も単発であることが多く、たまにいいことを誰かが言っても、そこからさらに深めていくことが少ないです。発言内容も、自分のバックグラウンドや経験に基づいた重みのあるものよりも、教科書的な、あるいは前後の発言から脊髄反射的に口をついて出たものが比較的多いように思えます。ケース議論の深め方は、今後Sloanとして強化していく余地が多いと思います。

生徒もHBSはプロフェッショナル・ファーム(コンサルティングや投資銀行など)が多いのに対し、MITはエンジニア出身が多く、この構成も議論の質・スピードや数字へのこだわりに影響があると思います*

ただ、これらの授業形態、教授、生徒の違いは、授業を通じて何を身につけさせるのかという、各学校の目的意識の違いに由来するため、どちらがいい悪いというものではありません。
むしろそれぞれの学校を選ぶ生徒が、何を求めるのかによって、好き嫌いが現れるものです。
個人的には、数値をしっかりおさえて地に足の着いた議論をする方が好きなので、MITで楽んでおります。とはいえ、来年にでも一度HBSの授業を取ってみて、ケースの醍醐味も味わってみたいと思いました。
今後もケンブリッジ同士、仲良くしていきたいコミュニティでした。


* あるインテルの半導体設計技術者の友人は、統計の授業で教授が「この現象の確率分布は数学的に解けないので、シミュレーションをするしかない」と言ったところ、「いや、数学的に解ける」と主張し、授業の後で黒板に数式を書いて教授と議論していました。さすがにHBSにここまで数字・数式にこだわる人は少ないようです
[PR]
by flauto_sloan | 2007-09-28 01:54 | 交友
<< Let's go Re... Indian Pelicans 飲み >>