MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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2週間を終えて - 経済学、組織論
授業が始まってちょうど2週間が経ちました。
噂には聞いていましたが、Sloanのコアターム(必修科目のみで構成される最初の学期)は勉強する量が半端じゃなく多く、さらにこれが今後増えていくので、なかなか身が引き締まる思いです。
学びて時に之を習う、また説ばしからずや、
ということで、そんな2週間での学びの習いです。

全般
各科目とも、非常に基礎的なことから入ったために内容的にはまだ難しくないのですが、いずれも単なる講義ではなく、ケース・スタディなどを通じて「経営者の視点」を養っているところが面白いです。
中でも面白かった科目が経済学と組織論でした。

Economics (ミクロ経済学)
今学期で一番面白い授業になりそうです。
経済学をきちんと体系立てて学ぶのは初めてなのですが、元コンサルタントのベルギー人、Van den Steen教授の語り口が明快でわかりやすく、楽しみながら授業を受けています。
驚いたのは、宿題は中身を採点せず、とりあえず提出されていれば満点をつける、と宣言したこと。通常宿題はコアチームで議論していくのですが、そこで多様な視点を誰もが持ち込めるよう、完全にrisk free な環境を提供しているのです! 素晴らしい英断です。

内容に関しては、教授の「経済学はビジネスにおける根幹であり、決して古びることはない」という信念の下に、理論(授業)と実践(課題)を組み合わせた、まさに文系における Mans et Menus を体現したシラバスとなっています。

まずは市場の定義を議論し、市場の境界を定める4つの要素(製品・サービスの差別化、情報、利用方法・環境、ゲームのルール)について議論しました。
次に完全競争市場の需要供給曲線を説明し、そのまま一気に関税の市場への影響を、アメリカ政府が輸入砂糖に課した関税(本質的には割当)のケース・スタディを通じて議論しました。
学んだことをそのままケースを使って議論することで、いかに実社会に経済学のモデルが適応できるのかを感じ取ることができ、刺激的でした。


Organization Processes (組織論)
「MIT Sloanの生徒は、数字に強いがソフトスキルに弱い」という定説を覆すべく導入された授業で、人間・組織がどのようなダイナミクスで動くのかを学ぶと共に、実際に企業に対してプロジェクトを提案し、組織課題を炙り出すという実践も伴ったものです。
髭が似合った Mortensen 教授は語り口が面白く、授業を聞いていてどんどん引き込まれ、クラスメート間の議論も活発になっていきます。

最初の授業では、組織を看る上での三つの視点=レンズである、
- 戦略的レンズ: 論理的に、組織の目標や戦略がどう定まり、動いているかを見る視点
- 政治的レンズ: 利害関係者間でどのように興味が異なり、力が作用しているかを見る視点
- 文化的レンズ: 事象に対し、文化に根ざした態度や信条によってどのような意味が与えられるのかを見る視点
を学び、実際にケースを使ってある企業の組織を分析しました。
konpeさんも書いていましたが、この視点は組織のコンサルティングで我々が使っている7Sフレームワークによく似ています。さて、両方を知った上でどうプロジェクトを進めていこうかと、楽しみにしています。

最初の授業で取り上げたケースは、MBAホルダーを重要プロジェクトのリーダーに任命したら、社内政治に全く疎く、プロジェクトが破綻寸前になりました。さてどうする? というもの。
これからMBAをとって活躍するぞ、と意気込む生徒たちに冷や水を浴びせる、このケースの選び方が好きです。
議論の中で、マネジャーたる者、職分を確実にするためには上司もマネージしなければならない。また、チームを信頼しつつも、勝手にしゃべらせて何か出てくるのを待っているだけでは職務を全うしていない、ゆえにもっと直接指示出しをしていかないとならない、と改めて考えさせられました。

次の授業では人間が判断をする上での「バイアス」に関して学びました。「人間は理性的ではない。ただしある条件下では、理性的たり得る」というメッセージに始まり、さまざまなバイアスで如何に人間が誤った判断をするのかを、実例を示しながら説明し、「これらのバイアスの存在を知ることで、利用することもできるし、同時に自分の身を守ることができる」と教わりました。
そこで示した例というのが、1週間前に授業中に行ったクイズでした。巧妙に設計されたこのクイズの結果、Sloan生でもすっかりバイアスの罠にかかっていることが示され、クラスは「あぁー、してやられた」という空気に包まれました…

たとえば、「自社製品の主要部品の価格をサプライヤと交渉することになりました。交渉にはAプランとBプランとがあります」の後に、半分の生徒には
「Aプランは必ず4億円(実際は$4M)損しますが、Bプランなら2/3の確率で6億円損をし、1/3の確率で全く損害を出さないで済みます」
もう半分には「Aプランは必ず2億円利益がでますが、Bプランなら1/3の確率で6億円の利益がでるものの、2/3の確率で利益がでません。」
さて、結果はどうなったか…

同じ事象でも、損か得かを先に「フレーミング(枠組み付け)」されてしまうと、異なる判断を示す、という例でした。つまり、損するケースでは多数がBで1/3に賭ける一方、得するケースではAの利益確定を志向しました。
このような例がどんどん示され、楽しみつつ色々な心理的陥穽を学びました。

その他のファイナンス、統計/意思決定、会計については後述します。
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by flauto_sloan | 2007-09-15 11:23 | MITでの学び(MBA)
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