MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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音楽療法
バークリー音楽院のSuzan Hanser教授が、音楽療法についてMITで講演を行った。前から気になっている音楽療法がどのようなものなのか、夜遅いセッションだったが覗いてみた。面白いのだが、本当にどこまで実効的なのかはよくわからない。
病は気からというように、精神が身体に与える影響は大きく、だからこそプラセボが効果を持ち、ストレスが病気を引き起こす。原始時代にヒトを救った自律神経が、いまやヒトを殺そうとしている。
脳は共感する機能を持っており、自分や他人がとった行動から反応を起こす。音楽を聴くことで、脳が共感し、ストレスを開放し心身を新たな状態に持っていくことができる。

これを利用した音楽療法は医療現場でも取り入れられており、癌治療を専門とするダナ・ファーバー病院では、"Pod for Soul" というプレイリストを作り、癌患者の症状緩和に用いている。

特に痛みに関しては、メルザックのゲート理論が論じるように選択的であり、音楽が知覚を支配することで痛みを和らげられると考えられる。そのため、分娩時の鎮痛にも音楽が用いられる場合がある。他にも、免疫力を高める効果があるともいわれている。

音楽は録音されたものでも効果はあるが、生演奏の方が効果が大きいと思われる。ただし厳密な比較調査はまだ十分ではない。また、音楽の好みは人によって異なるので注意しなければならないのと、頭痛など病気によっては逆効果なこともある。
セッションの途中、参加者が目を閉じ、ハンセン教授の奏でるインディアン・フルートの音色に耳を傾ける実験を行った。いつものような批判的な聴き方ではなく、音の流れに身を任せると、癒されていくのを感じた。

音楽の効能は、先日の心理音響学の講演とあわせても、まだどこまで実証されているのかはなかなかわからない。だが「何かがありそう」だし、麻薬的な魅力は本能にプログラムされているものかもしれない。日本では音楽療法はまだ広まっていないが、アダージョ・カラヤンのヒットや、癒し効果を謳うCDを見ても、効果は実感されているのかもしれない。

音楽で人が変わる、という信念は実証にはまだ程遠い。
だがわからないからこそ、新しい動きになれるのかもしれない。
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by flauto_sloan | 2009-04-28 05:26 | 音楽・芸術
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