MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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若尾さんの日本-アメリカ交流コンサート
BSOのオーボエ奏者として名高い若尾圭介さんが、日本-アメリカ交流コンサートと題して、日本からトップ演奏家を呼び、ボストンのトップ演奏家とアンサンブルをする「交流試合」を開催した。
(若尾さんご本人による記事)


BSOと若尾さん
若尾さんは、小澤征爾がいた頃からBSOで活躍し、今ではBSOの副首席奏者、ボストンポップスで首席奏者として大活躍している。彼の問題意識として、もっと日本の優れた音楽家を欧米に紹介したいし、また欧米の一流演奏家を日本人と交流させて、お互いを高めあいたいのだという。

これはボストンの地で、日本人ゆえの直接間接様々な障害や苦労をした若尾さんゆえの意識と期待なのだろう。それを結実させるステップとして、この日米交流コンサートが開かれた。

会場となったNECのジョーダン・ホールには、ボストン在住の日本人とボストニアンが多く集まり、辻井領事の姿もあった。ボストン日本人研究者交流会でお会いしている方々も結構来ている。


日米交流試合
演奏は面白く、日米双方が緊張感ある絡みあいをしていた。うまく表現できないのだが、日本人的な味付け、というか匂いといったものが、アメリカ人のそれとちょっと違う。ちょっと違うのだが、さすが皆一流だけあって、それが響きとしては豊かで明るくなる。

前半で大奮闘した若尾さんはもちろん、新日本フィルでコンマスの豊嶋さんはアメリカ勢を圧倒する存在感だ。N響首席ファゴット奏者の水谷さんも、隣で聴いていた友人が「侍のよう」と形容した、真摯で一本筋の通った音楽で日米の交流に花を添えていた。

一方米国勢では、何といってもBSO首席コントラバス奏者のエドウィン・ベーカー氏が素晴らしい。オケの中では何度も聴いていたはずだが、初めてソロで聴くと、恐ろしいほどの技術、コントラバスとは思えない暖かい音色、そして周りを深く感化していく存在感が圧倒的だった。さすが全米トップクラスのバス奏者である。感動したあまり、帰宅後すぐに彼のソロCDを買ってしまった*1
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日本が誇る演奏家
演奏後にはレセプションがあり、初めて若尾さんにご挨拶をする機会に恵まれた。若尾さんは気さくでエネルギッシュで、周りを元気にしていく。豊嶋さんと水谷さんともお話でき、日本に帰って、新日本フィルとN響を聴くのが楽しみになった。

改めて、日本の一流の音楽家が、世界を相手に活躍できる才能を持っていることを感じる*2。これが次の世代へと続く流れができ、若い才能が世界で活躍し、日本にもその果実を還流してくれる好循環ができれば素晴らしい。若尾さんの試みは、その循環のトリガーとなるだろう。

個人的には、日本を代表する管楽器奏者の若尾さんと水谷さんとに挟まれて写真をとることができ、日本人管楽器吹きのはしくれとしては大感激だった。

素晴らしい演奏会だった。


*1 このCDに収録されている、シューベルトの『アルペジョーネ・ソナタ』がまた素晴らしい。現代では絶滅した古楽器のために書かれた名曲であり、チェロではよく演奏されるのだが、コントラバスでは初めて聴いた。バスとは思えない繊細な表現力、表情豊かな音色は、私のコントラバスという楽器に対するイメージを一変させた

*2 この記事を実際に書いている6月には、樫本大進氏が、安永徹氏に続く日本人二人目のベルリン・フィルのコンサートマスターに選ばれた。妻と初めて行ったコンサートが、日本で樫本大進がチョン・ミュンフンらとチャイコフスキー『偉大な芸術家の思い出』を演奏するものだった。その時に彼の素晴らしい才能に感動し、これは大物だと思っていたのだが、ベルリン・フィルでコンマスになるとは、実に嬉しい限りだ

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by flauto_sloan | 2009-04-24 23:04 | 音楽・芸術
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