MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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MIT vs Facebook
気楽に楽しんでいる授業、"Web3.0"SNSについて議論した。日本ではmixiが先行者のGreeを抜き、最大の会員数を誇っているが、ここ米国では何と言ってもFacebookの勢いが凄まじい。そのFacebookに対し、MITの学生たちが面白い研究を行っている。

SNSの新たな覇者、Facebook
日本へも進出したFacebookは、アメリカの学生のほとんどがアカウントを持っており、新入生の8割がオリエンテーション前にアカウントを作り、入学する大学のコミュニティに所属したという調査もある。ハーバード在学中に立ち上げた創業者のMark Zuckerbergは、今やWebの世界で最も注目されている一人だ。

かつての覇者はMySpaceだったが、ついにFacebookがSNSの利用者数でトップに躍り出た。MySpaceはむしろ人数が減少している。ネットワーク外部性が強くはたらくSNSでは、このままMySpaceが凋落してしまう可能性もない訳ではない(ただしこれまでもユーザー数は増減しており、断言はできない)。Facebook上ではユーザーがアプリケーションを登録することができ、数多く(そして玉石混交)のデベロッパーが参画している。

MIT on Facebook
世界一の技術学校であるMITでは、FacebookはSNSとしても、研究対象としても高い関心を得ている。Facebookの"Friends"の表示を"Enemies"に変換するアドオンを開発したり、MIT・ハーバード・NYU・オクラホマ大学の4校の生徒のFacebookページをクローリングしてデータをダウンロードするプログラムを作り、7万件以上の個人データを取得したり(特にMITでの成功率は80%)と、色々な試みをしている。

そして授業で聞いた衝撃的な研究は、「Facebookで繋がっている人間関係から、隠された同性愛志向を暴く」というものだった。同性愛を暴くこと自体を主眼にしたのではなく、本人のコントロールできないところで個人情報が暴かれる可能性を示した点で、SNSに潜む恐ろしさを明らかにした。

Facebookには、"Interested in"という男性と女性のどちらに性的関心を持っているかを書く欄がある。男性が「女性」としていれば異性愛者だし、「男性」としていれば同性愛者だ。「何でも」という選択肢もあるが。この欄は公開にも非公開にもできるので、同性愛者の中には、オープンにしている人もいれば、隠している人もいる。

そして、友人の繋がり=ネットワーク情報から、ある個人を中心としてどのようなネットワークが広がっているのかを分析することができる。友達の友達の友達・・・と繋げて、網の目のように複雑なネットワークを図示すると、同性愛者がある区画に偏在する。同性愛者のコミュニティで友達を持つからだ。

色々な分析手法を用いると、ある人が「友人」たちの性的関心と関係の強さから、同性愛志向を持っていても隠していることを暴くことができるという。この研究では、90%以上という高い確率で「暴いた」という。

研究対象を同性愛者にしたため、政治的正しさの面で批判を受ける可能性はあるが、この研究成果の意味合いは大きい。本人が知らないところで、公開すらしていない個人情報を悪用される可能性があるからだ。

例えばある企業が同性愛者、特定の人種、思想などで採用差別をしようとした時、Facebookを用いて志願者が差別対象かどうかを知ることがありうると実証したのだ。しかも、本人がその情報を公開していなくても。

自分のプライバシーを自分で守る*、それすらも叶わぬ理想でしかないのかもしれない

* Mixiでもプライバシーに関しては数多くの事件が起こり、日本人のプライバシー漏洩への恐怖感の高さ(と個人情報保護法に関わる狂騒)から、いまや本名を載せている人は少ない。セキュリティシステムや登録項目が異なるので、Facebookと同じ分析が可能かはわからない
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by flauto_sloan | 2009-04-06 22:36 | MIT文化
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