MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
ボストン日本人研究者交流会での学び
c0131701_555032.jpg今回のボストン日本人研究者交流会は参加者が過去最高で、124人収容の教室が満席になる程だった。
そんな人気のテーマは、ハーバード・ケネディスクールの友人二人による開発支援の話と、ハーバード公衆衛生大学院卒業生と産科医の方による妊婦さんのケアの話だ。

途上国支援を志す熱い人から、お腹の大きな妊婦さんまで、いつも以上に幅広い参加者だった。内容も素晴らしく、開発援助を通じた日本のプレゼンスについて考えさせられる素晴らしい機会だった。

私個人としても非常に意義深い回であった。1年ちょっとこの交流会の幹事を務めてきたが、今回から次期幹事グループに業務のほとんどを引き継いだ。新幹事にとっては初めてのことなので、時折サポートはしたものの、結果的には記録的な大盛況であり、幸先のいいスタートだった。

幹事としての学び
引継ぎにあたって色々とデータを眺め、思うところをまとめたのだが、この非営利団体を1年間引っ張ってきて学んだことは実に多かった。

まず、この1年の最大の成果は、参加人数を昨年に比べて倍増させたことだ。昨年はだいたい60人参加登録して40人が当日参加していたが、今年は60-80人登録してそれ以上が集まった(口コミによる飛び入り参加がいる)。しかも3回は100人越えの大盛況だ。ボストンの日本人研究者が全部で何人なのかはわからないが、ペネトレーションはかなり高いといえよう。

次の成果は、発表したいという熱意を持った方がどんどん自薦してくれるようになったことだ。ボストンの日本人は優秀な方ばかりで、最先端の研究成果を、より多くの人に知ってもらいたいと願っている。これだけ多くの日本人が集まる場は、発表にうってつけの機会だ。発表者選びに苦労していた前年度が嘘のように、長い発表者候補リストから一部しか選べないという、申し訳ない悩みを抱えることになった。

最後は、発表会の後の懇親会(飲み会)への参加率が向上したことだ。全体の参加者が増えて、懇親会への参加率も増えたのだから、毎回飲み会は大賑わいだ。そこではまさに、異業種の交流が生まれていた。

なぜこの成果を達成したかの戦略・戦術は割愛するが、スローンで学んだことが直接的に役に立った。このコミュニティを私の実験の場とさせてもらったのだが、ハイフェッツ教授のリーダーシップ、スターマン教授のシステム・ダイナミクス、シュマランゼー前学部長のインダストリアル・エコノミクス、アンダーソン教授のテクノロジー・セールスでの学びを適用してこその成功だったといえる。

それら個別の学びは大きかったが、一歩下がって、メタレベルでの学びをまとめると、以下のようになる。
  • 事前計画は重要だが、状況の変化に応じて即興的に決断と計画を変えることはもっと重要
  • ステークホルダーとその性質、相互関係を、好奇心をもって理解することが第一歩だ
    • ステークホルダーの集団が受容できる変化のペースを見極めるには、まず何らかの行動をしてみる必要がある
    • 何事、誰に対しても好奇心を失わず、色々と訊ねてみよう
    • グループとしての学習がどれくらいの早さで行われ、どれくらい永続的かによって、介入の仕方は異なる
  • 派手で目立つものだけが改革ではない。地味な変化でも、それが組織のシステム全体を大きく前に動かせる変化であれば、大きな成果につながりうる
    • 派手な変化は、正しく見えてもステークホルダーが拒否する可能性が高く、結果的に意図せざる結果になるリスクを認識していなければならない
    • なにがレバレッジ・ポイントかは試行錯誤の中から見えてくる。そのためにシステム像をより深く精確に理解しようとする努力は惜しまない
    • ただし変化を起こしてから成果が現れるまでに時間のズレがあるため、辛抱強く待ち続けなければならない
  • 自分ひとりの成果はあり得ず、信頼できる仲間を持ち、感謝の気持ちを忘れてはならない
    • 信頼は組織の礎であり、損なわないように最も気をつけねばならない。特に、感謝の念は上辺だけでなく心から持っていなければならない
    • 誰からでも、どんなグループからでも学べるものはあるし、それは自分では気づかないものであることが多い。真摯に話を聞き、耳に痛い意見にこそ耳を傾ける
    • だがリーダーとして決断すべきときは肚を括る。以後は後悔ではなく、気づきと学習を心がける
  • 自分の感情(特に好悪)は、自分が何に囚われていて、何に気づいていない可能性があるのかのバラメーターである。感情を隠す隠さないよりも、自分の感情をどう捉えてどう対処するのかが重要だ

以上は、わかっていてもなかなかできない。だが今回、どうやったら自分の心を自由に遊ばせられるのかがわかった気がする。できない自分、わかっていない自分は受け入れるしかない。自分を問題化して解決しようとし過ぎてはいけない。問題の源泉は組織内外のシステムであることも多いからだ。

むしろ、感謝と好奇心と遊び(即興)という3つの基本的な指針だけは忘れないようにしたい。
そうすれば、知識・見識に加え胆識を養え、四焉における遊に辿り着けるような気がしている。

数多くの素晴らしい人々と出会え、自らの成長の機会を与えてくれた最高のコミュニティだった。残り2回はゆっくりと楽しむことにしよう。
[PR]
by flauto_sloan | 2009-04-04 21:03 | MITでの学び(非MBA)
<< 彦龍のラーメンをボストンで思い出す NYP/Dutois - デュトワ賛 >>