MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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Israel Trek (3/9) - ペレス大統領: 難しい平和を追い求める
c0131701_4145650.jpgイスラエル立法府のクネセトにて、シモン・ペレス大統領に謁見した。中東和平に対する1994年のノーベル平和賞受賞者であり、パレスチナとの共存を進める左派である。2年前に84歳にて大統領に就任し、左右のバランスが難しいイスラエルの国政を執っている。

今回はスタンフォードGSBのイスラエル・トレックとの共同訪問であり、事前に選んだこちら側の質問に対し、大統領に答えてもらう形式をとった。スローンからは2名が質問したのだが、うち一人はレバノン系アメリカ人であり、アラブ側からの視点からの質問は勇気があり、かつ非常に深いものであった。
世界は善意を礎とすることも、また叩き潰すこともできる。パレスチナ人に居続けてよいと言えばよい。だが独裁者はいらない。モラルが失われれば、イスラエル人を殺せと煽るからだ。

イスラム社会は近代化と伝統の間で揺れ動き、女性などの差別や、科学技術への懐疑が助長されている。視野を広げ、差別ではなく創造に力を注ぐべきだ。ヒズボラが指導するレバノンや、ハマスが第一党のガザは、テロリストによる専制であり、そこの人々が求めている以上の過激な目標を掲げている。ガザやレバノンの未来のため、人々が自分自身で平和を得るために、違いを許容し民主主義をもたらすために、介入する必要があった。

60年のイスラエルの歴史は、奇蹟であった。国家を樹立し、ヘブライ語を復活させた。また戦争に一度でも大敗していたら、今のイスラエルはなかっただろう。戦争をするために国を創ったのではないが、ほかに選択肢はなかった。水も土地も油田も人材も持たなかったイスラエルは、生き延びるために農業とハイテクに特化し、いまや小国ながら大きな可能性を秘めた国となった。世界102カ国からユダヤ人が移り住み、不安定な社会でありながら、ハイテクではイノベーションを繰り返し、またエネルギー、水資源管理、安全保障などの新分野では大きなプレゼンスを持っている。

我々にとって重要なのは歴史であり、失敗することを学び、失敗から学びを得ることが、将来を学ぶために重要だ。構造的に見えていなかったものは何だったのかを知らねば、同じ過ちを繰り返す。我々はこの先がどうなるのかを全く知らないが、科学技術は社会を変え、対立をも変える力を持っており、そこへ力と時間を注ぐことは前進するための基となる。

そのために教育は重要であり、より賢く豊かな国民を育てなければならない。記憶を礎とし、過去を正しく扱えるようになって、はじめて自らを築くことができる。変化は若く賢い世代が生み出す。そのために、学ぶことへの投資は惜しまず、世界の将来像が見える人材を育てたい。

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イスラエルへの批判は強く、アメリカとイスラエルこそがならず者国家だと言う人もいる。誰々が悪い、と言うことは容易いが、ことは複雑であり、糾弾が解決するものは僅かだ。重要なのは何を解決しなければならないかであり、そのために相手をどう理解するかにある。

ペレス大統領の、思慮深い哲学的な一句一句は、その難しさと重要さを痛いほどに理解している深さがある。レバノン人の友人を含め、みな感銘を受けていた。ノーベル賞を受賞した他の二人はすでにこの世にいない。あの前進を記憶し、最後まで平和に向けて戦い続けている高齢の大統領は、イスラエルの精神的支柱であり、この中東に必要な人材なのだろう。

握手をした大統領の手は非常に柔らかかった。

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by flauto_sloan | 2009-03-21 22:36 | Japan/Israel Trek
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