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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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交渉古今東西
Power & Negotiation の最後の授業は、チームレポートの発表会だった。各チームが実際にあった交渉をひとつ取り上げ、どのような構造(関係者、利害、争点)があり、どういう交渉先述の下で結果が定まったかを分析する。

面白かった発表をいくつか紹介。
  • 松坂の代理人とレッドソックスとの交渉: 「悪魔」と呼ばれる代理人Scott Borasが、Agent-principal問題ぎりぎりの交渉をして100億円の移籍を実現させたもの。交渉期限当日も全くレッドソックスと交渉する気配を見せず、GMが直接彼の家を訪れ、サインしてくれるよう懇願したという。こうなると交渉力もあったものではない
  • ベルサイユ条約: 第一次世界大戦の戦後処理は、米・仏・英・日・伊の思惑が錯綜した結果、一国だけ他国の利害の外にいた日本のみが得をした。他国は中途半端な結果を得ただけで、やがて第二次世界大戦を招いただけだった
  • OPEC: 石油価格が激しく推移したここ2年、OPEC内部ではアラブ諸国(長期的視野に立ち、石油高騰による需要減を避けたい)と、ベネズエラ等(短期的に利益を叩き出すため、価格を吊り上げたい)との激しい交渉と駆け引きがあった。OPEC会合ではアラブ諸国が優勢だったが、ベネズエラは会合の隙を突いて価格吊り上げに走る。最終的にはアラブ諸国が増産に踏み切り、石油価格は安定した
他にも六カ国協議、米軍のイラク統治など興味深いテーマが多かった。また、ベルサイユ条約など日本が関わっていた過去の交渉例がいくつかあり、六カ国協議と比較して、過去の日本外交のしたたかさと、現在の不甲斐無さを痛感もした。いつからこれ程に構造把握と交渉・駆け引きに弱くなってしまったのだろうか。同級生がプレゼンの中で日本を主要プレーヤーとして取り上げるかどうかで、嫌というほどにプレゼンスの低下を感じてしまうのが悲しい。

ちなみに私のチームは… 題材選びを誤ったために、レポート提出直前に分析上の致命的な欠陥を発見。発表でも予想通り教授にそこを突かれ、最も焼かれたチームとなってしまった… 残念。
by flauto_sloan | 2008-12-09 18:01 | MITでの学び(MBA)
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