MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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交渉人はどんな人か - Power & Negotiation
今学期履修している "Power & Negotiation" は、非常に実践的で面白い。毎週交渉をシミュレーションしていくうちに、だんだんとクラスの中に、誰がタフ・ネゴシエーターかといった評判が出来上がっていく。

では、どんな人が優れた交渉人なのだろうか。

クラスのスーパー・ネゴシエーター
授業の最初の頃は、インド人や中東系がだいたい交渉が強かった。交渉がどれだけ生活に根付いているか、という文化的側面がスキルに直結していた。時に無茶なことも言ってくるが。

だが授業にて、交渉の背後にある構造を考えるようになると、あるスローン・フェロー(スローンのエグゼクティブMBA)の女性がスーパー・ネゴシエーターとなった。


ハーバード医学部で幹細胞の研究をしている非常に優秀な女性で、物腰は柔らかくゆっくりで、話すと極めて理知的。私も一度交渉をしたが、気づくと二人の間に連帯感ができ、共に価値を最大化するための問題解決となっていた。最後はお互いに満足して交渉が終わる。そして彼女の要求は殆ど満たされる。

交渉は、参加者で如何に価値を作り出し、それをどう配分するのか、という問題解決なのだが、彼女はその術をよく理解している。そして、彼女のプランを実践するための準備を入念に行ってくる(相手の関心やその強さの分析など)。

昨日の交渉では、彼女の凄さが遺憾なく発揮され、クラス中を驚愕させた。


サボタージュの成功
シミュレーションは、ある地域開発プロジェクトを題材に、6人の利害関係者が、5つの論点について駆け引きをして、自分の利益を主張しつつ交渉をするというもの。その中で彼女の役には、隠された目的があった。議論を難航させ、交渉を座礁させてプロジェクトを頓挫させる、というサボタージュだ。

このサボタージュというのが実に難しい。妨害がばれたら、議論から強制排除されてしまう仕組みもあるため、一見議論に協力しながら、他の利害関係者を唆して議論を混迷させる。そんな絶妙で難しい役目を彼女は見事にやってのけ、クラスでそのグループのみが、プロジェクトを頓挫させた。

彼女の戦術は、まさに交渉のセオリーを理解した上での裏の書き方だった。
  • 合意し易い論点を軸に、連帯感を醸成する
    →予めその論点を特定し、それが議論になる前に紛糾する論点を持ってくる
  • distributive bargaining(一方が勝つと一方が負ける)を組合わせてintegrative bargaining(一方が勝つともう一方も勝つ)を作り出す
    →要素分解してdistributive bargainingに戻し、利害が反する人でグループを作って対抗する
など、非常に勉強になった。


優れた交渉人とは
彼女を見ていると、優れた交渉人は、交渉の理論を把握し、それを利用して交渉のシナリオを作れる人なのだと思う。押しの強さといった人間的一面も重要なのだが、構造/戦略レベルの失敗を感情や口上といった戦術レベルで挽回するのは困難だ。そして何より準備が重要。

教授と個人的に話した時に聞いたのだが、教授もまた交渉が好きではないらしい。だが仕事として「交渉人格」を作り、タフな交渉に臨むのだという。

優れた営業マンは押しが強そうな人間とは限らない、というが、優れた交渉人もまた、押しが強そうで交渉が好きでたまらなさそうな人、という訳では決してなさそうだ。自分はラテン系などに比べて交渉があまり得意でないと感じていたため、彼らを見ていると心強くなる。
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by flauto_sloan | 2008-11-05 10:45 | MITでの学び(MBA)
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