MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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Yes, we can!! - 大統領選の終結
c0131701_23424885.jpgバラック・オバマ上院議員が第44代米国大統領に当選した。

長い選挙戦の終わるこの日、ケネディースクールでは人数限定のパーティーがあり、私の住むMITアッシュダウンでは皆で選挙の行方を大画面で見ていた。


c0131701_23432711.jpg西海岸が開票され、オバマ議員の当選が決まると歓喜の声が。寮生もぞくぞく集まり、中には感極まって涙する人も。

泥沼化したイラク、金融危機と将来への不安が広まる超大国アメリカでの希望、それがオバマの体現したものだった。

深夜を回ったところで行われた、オバマ議員の勝利演説は、非常に感動的であり、アメリカ国民ではない私も涙がでる、力強い歴史に残るスピーチだった(邦訳はびじうさんを参照)。



オバマは黒人初の大統領だが、代々アメリカに住んでいる黒人ではない。そのため公民権運動を戦い抜いた黒人から、始めは「同胞」と受け入れられずに苦労したという。だが選挙戦を通じて彼が発していた「変化」「希望」「融合」のメッセージは人種を超えて受け入れられた。

そんな彼だからこそ、演説は建国の父の思いから始まり、106歳の黒人女性の目を通してアメリカの歴史を振り返り、今が大きな変曲点であると力強く宣言したのだろう。また、キング牧師の有名な"I have a dream"のスピーチと同じ盛り上げ方*1であったことは、志半ばに斃れ神格化されたキング牧師の志を継いだのが、オバマだと連想させる。

昨年にボストンでの演説を聴いたときに比べて、人間的に大きく成長し、風格が備わったことを感じた。是非とも彼のリーダーシップに期待したい。


翌日のリーダーシップの授業で議論したのだが、そんなアメリカの歴史を作った彼の歴史的演説には、大きく二つのメッセージが籠められている。

一つは、オバマ自身が変革の体現者であるということ。非常に厳しい時代に、変化と希望をもたらす者として大統領として選ばれた。そのカリスマ性で希望を一身に集め、大統領選に勝利したことで人々の期待を、彼の身体を通じて具現化したのだ。

もう一つは、人々に仕事を投げ返したこと。世紀のカリスマが全て何とかしてくれる、人々がそう思うのは容易い。そこでオバマは「変革はあなたたちが参加し、共に行っていくものだ」と作業を国民に投げ返した。新たな世界に人々を導くと、その変革に伴って価値観が変わり、失うもの(富や名声に限らず、信条や誇りなども)も多い。だがよりよいアメリカにするためには、それを受け入れて乗り越えなければならないことを、人々に思い起こさせた。

人々の期待を、このカリスマが今後どうやって利用して、アメリカを立て直していくのか。極めて難しい挑戦だ。選挙戦では新たなメディアや草の根の支援活動で力を得たカリスマ=オバマが、大統領としては政府という秩序だった組織を運営し、独断だけではない合理的な判断が必要になっていくとき、彼の本領はどこまで発揮でき、人々の求めるものをどこまで、どんなペースで具現化していくのか。

間違いなく、これからの4年間はアメリカ史に残る重要な局面である。歴史的瞬間に立ち会えたことに、カリスマ的リーダーの名演説に、それに涙するアメリカ人の友人に、心に熱いものがこみ上げて来た。


最後に、マケインの敗北演説も非常に印象的だった。テキサスの支持者(大部分が白人)の前で、彼らにゆっくりと、オバマを支持しアメリカとしてまとまっていくことを呼びかけていた。分裂していてはこの困難をアメリカは乗り越えられない。それをよくわかったが故の、敗将の最後の仕事だった。大統領選を戦い抜いた両雄を讃えたい。


*1 "I have a dream"または"Now is the Time"の繰り返しと、今夜の"Yes, we can!"は同じ興奮をもたらした
*2 ハイフェッツ教授が「この中で昨日の勝利演説を聞いた者は?」と尋ねると、文字通りクラス全員が挙手をした

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by flauto_sloan | 2008-11-04 23:12 | ボストンでの生活
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