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MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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MET/椿姫
椿姫は好きなオペラの一つで、これまで二期会、新国立劇場、ベルリン・ドイツ・オペラと3つのバージョンで聴いた。そして今回はMETだ。

なかなか好演だった。ヴィオレッタは安定感があり、清純な歌声が素晴らしい。娼婦でありながら純粋な愛に目覚めた時、そして最後に命尽きる時、それぞれ生きることへの憧れと悲しみが伝わってくる。アルフレードは立ち上がりが鈍かったため、『乾杯の歌』がやや硬かったが、第二幕からは盛り返してきた。むしろ父親の存在感が素晴らしかった。

目を見張ったのは舞台装置。退廃的な世紀末パリ、というオペラにはよくある時代設定なのだが、ここまで作りこまれた舞台はなかなか無かった。全体的にセピア色がかった色彩感でありながら、豪華絢爛さを失わない。享楽の儚さ、幸せな生活の脆さ、人生の切なさの舞台として、視覚的にも多くのメッセージが伝わってくる。

今ひとつだったのは演出と指揮者。演出はとりたてて目新しいものも、考えさせるものもない。指揮者は統率力に欠けていたし、テンポを無理に早く設定して、アンサンブルを崩してしまっていた。

だが全体としては非常に楽しめた、いい演奏だった。
by flauto_sloan | 2008-10-31 23:44 | 音楽・芸術
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