MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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ボーゲル塾始動
ボーゲル塾が始まり、分科会が本格的に動き始めた。

同じ班には、実に様々なバックグラウンドを持つ人たちがいる。ひとつのテーマについて、彼らの様々な知見を引き出し、どう成果に結び付けるか。久々に日本人を相手にしたリーダーシップの実践の場でもある。

論点となったものの一つに、漫画やアニメなどのソフトパワーが日本の国際社会における役割に与える影響があった。漫画やアニメが日本の貿易収支に貢献している割合は微々たるものであり、投資対効果を考えたら、もっと他に重視すべきものがあるはずだ、という意見があった。

ボーゲル先生の意見は、ソフトパワーは海外から見た日本の印象に大きく貢献しているため、決して軽視すべきものではない、というものだった。まだ中国が貧しい発展途上国だった頃(天安門以前)、中国国民の日本に対する印象は好ましいものだった。日本はODAなどを通じてかなりの規模で開発支援をしていたが、そうした直接的な貢献に加えて、漫画など文化が流入したことが好印象に大きく貢献していたと言う。お金がいくら返ってくるという性質ものではないが、中長期的に重要であることは間違いないと仰った。

私はボーゲル先生に同意だ。確かにソフトパワーが金銭面で経済に与える影響は少ないし、NPVを基に予算配分をしようとしたら、優先度は下がるだろう。だが国家レベルの取り組みであれば、資本の論理だけでソフトパワーを判断してはならないだろう。資本の論理のみが意思決定の指針であるなら、警察と自衛隊以外は全て民営化すべきだ*1

赤字財政なのも確かだが、損得を重視した短期的な施策だけでなく*2、中・長期的な施策も同時に行っていくことで、不確実性が高い将来でも日本が競争力を保ち続けられる可能性が高まる*3ソフトパワーの増強もそうした中長期的な施策の対象となるべきだと思う

せっかく漫画やアニメという、スケーラブルで競争力のあるビジネスを持っているのだから、その価値を最大化するための教育や法整備などの支援をし、日本文化を世界中に埋め込む、くらいの気概があってもいいのではないか*4

・・・といった考えが刺激される、面白いスタートだった。

*1 ・・・という夜警国家論は言い過ぎだし正しくないだろうが、要は非効率を吸収することが政府の大きな役割の一つであろう、と言いたい
*2 費用対効果が高い短期的な施策は国民への説明が容易だが、躊躇気的で不確実性が高いものは説明責任を果たすのが難しい。だが難しいものを避けていては国家の大計は語れないのではないか、と感じた
*3 企業においては、POI(Portfolio of Initiative)というフレームワークで、不確実性に対応するための取り組みを設計する。時間軸を短期、中期、長期ととり、企業にとっての不確実性を既知、未知、不確実ととり、3x3の象限にバランスよく施策を配置し、短期的業績と中長期的持続可能性を両立させる
*4 ITmediaの富野由悠季監督(ガンダムの監督)のインタビューは、日本がアニメで競争力を持ち続けるために必要な環境を考えるに当たり、非常に示唆に富んだ面白いものだった

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by flauto_sloan | 2008-10-29 22:10 | Harvardでの学び
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