MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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ジョージ・ソロス講演 - 神は死んだ?
c0131701_5394311.jpgクォンタム・ファンドを率い、「イングランド銀行を潰した男」と呼ばれる伝説的投資家、ジョージ・ソロスがMITにて講演を行った。

物凄い人気で、ハーバードから駆けつけたものの会場に入れず、外で中継を見ることになった。講演の骨子映像はMITのサイトで見られる。
今回の金融危機の原因は、市場への過信にある。自然現象とは異なる人間の活動を介在する以上、そもそも金融市場は予測不可能だ。さらに人々は、市場が間違いを自己修正すると信じきってしまっていた。そのため、成長している間は自己増幅を続けてどんどん成長したが、内在する問題は市場が自動的に解決しているはずだと考えてしまった。だが今回のように反転し始めると、解かれていなかった問題が顕在化し、一気に崩壊に向かって加速してしまう。

今回弾けてしまったスーパーバブルは、25年間かけて信用の自己増幅が行われてきた結果であり、不動産市場の崩壊は起爆剤として働いたに過ぎない。今後さらに悪循環が加速していくだろう。

この悪循環を食い止めるためには、規制が必要だ。規制は不完全だが、市場も不完全なのだから、信用についても資本についても一定の規制が必要だろう。特に資本注入による金融機関の安定化、国際的な協力体制、信用や不動産価格の下落への歯止めが必要となるだろう。
もとが哲学者だけあって、「自分は失敗から学んできた」「市場は常に間違っている」など、含蓄の深い、そしてこのヘッジファンドの巨人だから言える言葉が印象的だった。

私は映像を通じてしか見ていないが、実際に会場に入れた友人は、「さすがに存在感があり、深い洞察に感嘆した」という肯定的なコメントから、「話の内容に斬新な視点や、裏付けるロジックがあまり感じられず、伝説で語られるような凄さは感じなかった」という否定的なものまで幅広かった。だがクレスゲ・ホールを満員にするほどの影響力の大きさは、それ自体が彼の凄さと、人々が何らかの指針を求めたがる賢さがあるのだろう。

グリーンスパン元FRB総裁(ソロスはその低金利政策と信用増幅の放置をかなり批判していた)の神話が崩壊した今、金融界において人々が神託を求める「預言者」にはバフェット、ソロス、ロジャース、クラヴィスなどのヘッジファンドのトップたちが残っている。そんな一人であるソロスが、市場が「全能の神」であるという信仰を自ら打ち壊したのが面白い。いや、彼の言によれば彼は「神の見えざる手」をそもそも信じていなかったようだが。

神は死んだのか。
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by flauto_sloan | 2008-10-28 15:03 | MITでの学び(非MBA)
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