MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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N.Negroponte "One Laptop Per Child"
もうすぐクリスマス。
夢見る子供たちのために、サンタになってみませんか?



特別授業(と春学期の授業の宣伝)であるSIP(sloan innovation period)の初日である今日は、あるイベントの後に、かねてから話を聞きたいと思っていた、ニコラス・ネグロポンテ教授の "One Laptop Per Child (OLPC)" についての講演に参加した。MITの "Poverty week" の開会基調講演だった。


ネグロポンテの夢
ネグロポンテ教授は、途方もなくスケールが大きい。MITメディア・ラボの共同創立者として、マン・マシン・インターフェースの一大拠点を築き上げる。「おもちゃ箱をひっくり返した」と形容されるメディアラボのコンセプトから設計までを手がけ、天才アーキテクチャーとしての才を遺憾なく発揮している。

今はMITを休職している彼の夢は、貧困をなくすことだ。そのためにン・プロフィット機関の "One Laptop Per Child" を立ち上げ、途上国の子供にラップトップPCを配り始めた。OLPCはあくまで貧困撲滅に向けた教育プロジェクトであり、決してPCありきのプロジェクトではない。PCを手段として途上国の子供たちがより勉強を楽しみ、プログラミングを覚えて貧困から抜け出せるのではないか、そんなアイディアから生まれたプロジェクトだ。

彼の貢献は着実なインパクトを生み出し、世界中の政治・経済のリーダーの尊敬を集めている。先日MITを訪れた、ルワンダ大統領も感謝の意を表していた。多くのビジネスリーダーも賛同し、惜しみない協力を寄せている。

そんな彼の講演は、情熱に溢れた、素晴らしいものだった。


OLPC
誰しも、初めてパソコンを買って、電源を入れたときのわくわくした気持ちを覚えていることだろう。インターネットで世界につながり、写真をすぐにみんなで見られて、音楽も聴ける。

貧しく、物もない村の学校に届けられた、緑色でちょっとおどけた格好のパソコンを手にした子供たちが、どれほど目を輝かせることか、想像してほしい。想像してみたら、この記事の子供たちの写真を見てほしい。


セネガル、パキスタン、コロンビアなど一部地域から始まったOLPCの活動は、今やその規模を世界中に広げている。電気も電話もない村々でも使えるよう、省電力だし電源は手巻きだ。子供が持ち帰ってきたパソコンを見た両親が驚くのが、LCDの明かりであることが多いという。電灯がないため、夜に家で一番明るいのがパソコンなのだ。カメラもWiFiも備え付けているため、家族の写真を撮って遠くの人に送ることもできる。

OLPCは5つの原則がある。子供が実際に自分のものとすること(貸与ではない)、低学年から配布すること(児童労働を避ける)、子供たち全員に行き渡らせること、ネットワークに繋がること、そしてフリー/オープンソースを利用することだ。

OLPCが直面している課題は、コストの増加と競合だという。銅など材料費の増大やドル安のため、$100を目標にしていたPCのコストは、まだ$187だという(ただしもし4年前と同じ原材料費と為替だったら、もう$100を達成していたらしい)。

また競合が登場したことで、原則のひとつである「全員に行き渡らせる」が達成しにくくなっているという(ただし、単なるコピー品の登場は歓迎している*)。非営利でない競合が途上国の高官を口説いて先に入った場合、利益が出る地域にしか廉価PCを売らないため、普及率が高まらないまま終わってしまう。

この金融危機も逆風だろう。そんなOLPCをよく知りつつ支援する方法がある。


11月17日から、Amazonで"Give one, Get one"キャンペーンが行われる。$199を払うと、一台があなたの手許に届き、もう一台が世界のどこかの子供たちの許に届けられる、という夢のあるキャンペーンだ。

技術が子供に与える夢がある。
あなたもサンタになってみませんか。

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* 面白かったのは、ネグロポンテにも大きな誤算があったという。コピーやアイディアの盗用が予想以上に早く表れたことだ。
「あんなに早くコピー製品が表れるとは、全く誤算でした。おかげで想定した以上にPCが普及してしまっています(笑) だからこれからは新機能など、計画の早いうちからどんどん発表して、いち早くコピー製品が現れるようにしようとおもいます。
また、コピー製品の開発を加速するために、パートナーとは『秘密開示契約』を結ぶことにしました(笑)」と、器量の大きいユーモアを語っていた

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by flauto_sloan | 2008-10-20 18:27 | MITでの学び(非MBA)
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