MIT Sloanにて、2007年から2009年までMBA遊学していた、ふらうとです。ボストンとNYでの暮らしや音楽、そして学びを書きつらねています。外資系コンサルティング会社に在籍(社費留学)。趣味はフルート演奏
by flauto_Sloan
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BSO/Pollini/Levine - 熟練と復活
c0131701_10471018.jpgマウリッツォ・ポリーニといえば、一世を風靡した大ピアニストだ。彫刻のような端整の取れた顔立ちの彼ももう66歳。やや衰えが見えたものの、風格のある演奏は味わいがあった。続くメインの悲愴も、レヴァインの復活がよくわかる名演だった。

ポリーニ
ポリーニはひんやりとした響きと、峻厳なピアニズムが特徴的だ。曲はシューマンの協奏曲であり、シューマンの内なる情熱が、ポリーニの内省的な音楽にどう調和するのかが楽しみだった。

1楽章は遅めのテンポだったが、立ち上がりの安定感がいまひとつで、重い印象を受けた。ああ、この人も年老いてしまったのか、と思いもした。
だが、2楽章、3楽章と、徐々に音楽が活き活きとしだした。特に3楽章へアタッカ(楽章の途切れがなく続くこと)で飛び込んだときの色彩の変化は見事。その頃にはもう、ポリーニの風格が音楽から伝わってきていた。よく喩えられるように、イタリアの建築物のような端整で堅牢な音楽。それでいて堅苦しくなく、澄んでいる。全盛期は過ぎてしまっているのだろうが、熟練の音楽性が伝わる演奏だった。

レヴァインの悲愴
メインはチャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』。去年初めてBSOを聴いたときに、同じくレヴァインが指揮をした曲だ。だが昨年とは大きく異なる名演だった。

ダイナミクス、弦の厚みのある響き、木管の哀愁ただよう音色とアンサンブル、金管の力強さと透明感、どれをとっても「今年のBSOは一味違う」と思わせる。レヴァインの指揮も、細かい解釈まで指示が行き届いていて、立体感が素晴らしい。

特に3楽章の金管の力強さは前回以上で、それだけに4楽章の寂寥感が一層引き立っていた。4楽章の弦の歌わせ方は、くどくなるギリギリのところまで引っ張っていた。悲愴というと果てしなく沈みゆく悲しみと捉えがちだが、このレヴァインの演奏は、生や光への憧れを最後まで抱いている、そんな悲しみを表現していた。

レヴァインは大病から恢復して、一皮剥けたのだろうか。今年のBSOが楽しみになった。
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by flauto_sloan | 2008-10-17 10:24 | 音楽・芸術
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